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トップページ過去問研究室(労働安全衛生法) 令和1年労基-第8問(安全衛生管理)
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■令和1年労基-第8問(安全衛生管理)

次に示す建設工事現場における安全衛生管理に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

甲社:本件建設工事の発注者
乙社:本件建設工事を甲社から請け負って当該建設工事現場で仕事をしている事業者。常時10人の労働者が現場作業に従事している。
丙社:乙社から工事の一部を請け負って当該建設工事現場で仕事をしているいわゆる一次下請事業者。常時30人の労働者が現場作業に従事している。
丁社:丙社から工事の一部を請け負って当該建設工事現場で仕事をしているいわゆる二次下請事業者。常時20人の労働者が現場作業に従事している。


(A)乙社は、自社の労働者、丙社及び丁社の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、協議組織を設置しなければならないが、この協議組織には、乙社が直接契約を交わした丙社のみならず、丙社が契約を交わしている丁社も参加させなければならず、丙社及び丁社はこれに参加しなければならない。

(B)乙社は、特定元方事業者として統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせなければならない。

(C)丙社及び丁社は、それぞれ安全衛生責任者を選任しなければならない。

(D)丁社の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法に違反していると認めるときに、その是正のために元方事業者として必要な指示を行う義務は、丙社に課せられている。

(E)乙社が足場を設置し、自社の労働者のほか丙社及び丁社の労働者にも使用させている場合において、例えば、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所に労働安全衛生規則で定める足場用墜落防止設備が設けられていなかった。この場合、乙社、丙社及び丁社は、それぞれ事業者として自社の労働者の労働災害を防止するための措置義務を負うほか、乙社は、丙社及び丁社の労働者の労働災害を防止するため、注文者としての措置義務も負う。



■解説

(A)正解
法15条1項、法30条1項、則635条
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、協議組織の設置及び運営を行わなければならない。
そして、特定元方事業者は、協議組織の設置及び運営については、「特定元方事業者及びすべての関係請負人が参加する協議組織を設置すること」、「当該協議組織の会議を定期的に開催すること」により行わなければならず、関係請負人は、特定元方事業者が設置する協議組織に参加しなければならない。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法15条1項、令7条2項
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が常時50人(ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事又は圧気工法による作業を行う仕事の場合は常時30人)以上であるときは、これらの労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮をさせる必要がある。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
法16条1項
統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならないことになっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法29条2項
元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行なわなければならないことになっている。
問題文の場合、元方事業者として必要な指示を行う義務があるのは、乙社となる。
よって、問題文は誤りとなる。

(E)正解
法24条、法31条1項、則655条
事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならないことになっており、乙社、丙社及び丁社は、それぞれ事業者として自社の労働者の労働災害を防止するための措置義務を負う。
そして、特定事業の仕事を自ら行う注文者は、建設物等を、当該仕事を行う場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。)の労働者に使用させるときは、当該建設物等について、当該労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならないことになっているため、乙社については、丙社及び丁社の労働者の労働災害を防止するための措置義務を注文者として負うことにもなる。
よって、問題文は正解となる。

  

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