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トップページ過去問研究室(労働安全衛生法) 令和1年労基-第10問(健康診断)
■社会保険労務士試験過去問研究室





■令和1年労基-第10問(健康診断)

労働安全衛生法第66条の定めに基づいて行う健康診断に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)事業者は、常時使用する労働者に対し、定期に、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならないとされているが、その費用については、事業者が全額負担すべきことまでは求められていない。

(B)事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならないが、医師による健康診断を受けた後、6か月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目については、この限りでない。

(C)期間の定めのない労働契約により使用される短時間労働者に対する一般健康診断の実施義務は、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上の場合に課せられているが、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しても実施することが望ましいとされている。

(D)産業医が選任されている事業場で法定の健康診断を行う場合は、産業医が自ら行うか、又は産業医が実施の管理者となって健診機関に委託しなければならない。

(E)事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、受診したすべての労働者の健康診断の結果を記録しておかなければならないが、健康診断の受診結果の通知は、何らかの異常所見が認められた労働者に対してのみ行えば足りる。



■解説

(A)誤り
法66条1項、昭和47年9月18日基発602号
労働安全衛生法等で事業者に義務付けられている健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであることとされている。
よって、「事業者が全額負担すべきことまでは求められていない。」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
法66条1項、則43条
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、所定の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでないとされている。
よって、「6か月を経過しない者を雇い入れる場合」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法66条1項、平成26年7月24日基発0724第2号
事業主が一般健康診断を行うべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の@及びAのいずれの要件をも満たす者であることとされている。
@期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年(労働安全衛生規則第45条において引用する同規則第13条第1項第2号に掲げる業務に従事する短時間労働者にあっては6月。以下この項において同じ。)以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
Aその者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
なお、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満である短時間労働者であっても上記の@の要件に該当し、1週間の労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施することが望ましいこと。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法66条1項、平成27年11月30日健康診断結果措置指針公示第8号(健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針)
事業者は、労働安全衛生法第66条第1項から第4項までの規定に定めるところにより、労働者に対し医師等による健康診断を実施し、当該労働者ごとに診断区分(異常なし、要観察、要医療等の区分をいう。)に関する医師等の判定を受けるものとする。なお、健康診断の実施に当たっては、事業者は受診率が向上するよう労働者に対する周知及び指導に努める必要がある。また、産業医の選任義務のある事業場においては、事業者は、当該事業場の労働者の健康管理を担当する産業医に対して、健康診断の計画や実施上の注意等について助言を求めることが必要である。
よって、「産業医が自ら行うか、又は産業医が実施の管理者となって健診機関に委託」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法66条の3、法66条の6、則51条の4、平成27年11月30日健康診断結果措置指針公示第8号(健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針)
事業者は、労働安全衛生法第66条の3及び第103条の規定に基づき、健康診断結果の記録を保存しなければならない。また、事業者は、労働者が自らの健康状態を把握し、自主的に健康管理が行えるよう、労働安全衛生法第66条の6の規定に基づき、健康診断を受けた労働者に対して、異常の所見の有無にかかわらず、遅滞なくその結果を通知しなければならない。
よって、「何らかの異常所見が認められた労働者に対してのみ」とした問題文は誤りとなる。

  

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