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トップページ過去問研究室(労働安全衛生法) 平成15年労基-第8問(総則、雑則等)
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■平成15年労基-第8問(労働安全衛生法に定める総則、雑則等)

労働安全衛生法に定める総則、雑則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働安全衛生法の主たる義務主体である「事業者」とは、法人企業であれば当該法人そのものを指している。

(B)事業者は、労働安全衛生法上、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない責務を負っている。

(C)労働安全衛生法においては、労働基準監督官のみならず、産業安全専門官及び労働衛生専門官についても、同法の規定によるそれぞれの事務を行うため必要があると認めるときは,事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは作業環境測定を行い、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができることとされている。

(D)労働安全衛生法においては、建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、当該仕事を請け負った事業者から、当該仕事による労働災害の発生を防止するためにとるべき措置についての教示を求められたときは、これを教示しなければならないこととされている。

(E)労働基準監督署長は、労働安全衛生法を施行するため必要があると認めるときは、同法に基づく規則により報告が義務づけられている事項(例えば労働安全衛生規則第97条第1項の規定に基づく労働者死傷病報告など)以外の事項であっても、事業者に対し、報告をさせる理由を通知することにより必要な事項を報告させることができる。



■解説

(A)正解
法2条3号、昭和47年9月18日発基91号
労働安全衛生法の義務主体である「事業者」とは、法人企業であれば当該法人そのもの(法人の代表者ではないので注意)、個人企業であれば事業経営主を指す。
これは、労働基準法上の義務主体である「使用者」と異なり、事業経営における利益の帰属主体そのものを義務主体としてとらえ、労働安全衛生法上の責任を明確にしたためである。
なお、法令違反があった場合の罰則の適用については、罰則規定に基づいて、当該違反の実行行為者たる自然人に対してなされ、事業者たる法人や事業経営主に対しても併せて罰則が適用されることになる。(両罰規定)

(B)正解
法3条1項
事業者は単に労働安全衛生法で定める労働災害防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。

(C)正解
法91条1項、94条1項
労働基準監督官は、労働安全衛生法の施行に関する事務をつかさどり、産業安全専門官及び労働衛生専門官は、労働安全衛生法施行事務のうち安全衛生に関する専門的、技術的知識を必要とするものをつかさどる。
そして、それぞれ必要があると認めるときは、事業場に立入り、検査等を行うことができる権限を与えられている。

(D)誤り
法102条
事業者から労働災害の発生を防止するためにとるべき措置について教示を求められた場合に、教示義務があるのは「ガス工作物等設置者」である。
よって、建設工事の注文者等には教示義務はない。

(E)正解
106条1項、則98条
厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、労働安全衛生法を施行するために必要があると認めるときは、「報告させ、出頭を命ずる理由」、そして出頭を命ずる場合には「聴取しようとする事項を通知」し、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命じることができる。

  

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