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トップページ過去問研究室(労働安全衛生法) 平成20年労基-第10問(特定元方事業者、統括安全衛生責任者)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年労基-第10問(特定元方事業者又は統括安全衛生責任者)

労働安全衛生法で定める特定元方事業者又は統括安全衛生責任者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者が同一の場所で混在して仕事をすることによって生ずる労働災害を防止するため、労働安全衛生法施行令第7条第2項で定める仕事の区分により、統括安全衛生責任者を選任しなければならないが、この場合、その労働者及び関係請負人の労働者が常時40人のずい道の建設の仕事については、統括安全衛生責任者を選任する必要はない。

(B)労働安全衛生法第15条第2項は、「統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない」と規定しており、統括安全衛生責任者は当該事業場における事業の実施について実質的に統括管理する権限及び責任を有しているが、当該作業場所を巡視することに関する措置を講ずる必要はない。

(C)都道府県労働局長は、特定元方事業者の労働者及び関係請負人の労働者が一の場所で行う仕事に係る労働災害の発生率が他の同業種、同規模の仕事と比べて高く、それが統括安全衛生責任者の不適切な業務執行に基づくものであると考えられる場合、当該統括安全衛生責任者の業務執行について当該統括安全衛生責任者を選任した事業者に対し勧告することができる。

(D)特定元方事業者が講ずべき措置の事項として、労働安全衛生法第30条第1項第1号は、「協議組織の設置及び運営を行うこと」と規定しているが、統括安全衛生責任者を選任した特定元方事業者は、当該統括安全衛生責任者に当該事項を統括管理させる必要はない。

(E)特定元方事業者が講ずべき措置の事項として、労働安全衛生法第30条第1項第4号は、「関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと」と規定しており、関係請負人である事業者は、労働安全衛生法第59条第2項の規定に基づいて、作業内容を変更したときの安全又は衛生のための教育を行う必要はない。


■解説

(A)誤り
法15条1項、令7条2項
特定元方事業者(建設業、造船業を行う元方事業者)は、その労働者及び関係請負人の労働者が同一の場所で混在して仕事をすることによって生ずる労働災害を防止するため、常時50人以上(ずい道等の建設、一定の橋梁の建設、圧気工法による作業の場合は常時30人以上)の労働者を使用する場合は、統括安全衛生責任者を選任しなければならないことになっている。
よって、「常時40人のずい道の建設の仕事」について、「統括安全衛生責任者を選任する必要はない」とした問題文は誤りである。
なお、労働者には、特定元方事業者の労働者及び関係請負人を含めることとされている。

(B)誤り
法15条1項・2項、法30条1項
統括安全衛生責任者は、当該場所においてその事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならないとされており、当該事業場における事業の実施について実質的に統括管理する権限及び責任を有している。
そして、統括安全衛生責任者は、協議組織の設置及び運営を行うこと、作業間の連絡及び調整を行うこと、作業場所を巡視すること、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと等に関する必要な措置を講じなければならないとされている。
よって、「当該作業場所を巡視することに関する措置を講ずる必要はない」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
法15条5項、昭和53年2月10日基発77号
都道府県労働局長は、一の場所において行われている仕事の労働災害発生率が他の同業種、同規模の仕事と比べて高く、それが統括安全衛生責任者の不適切な業務執行に基づくものであると考えられる場合等に、当該統括安全衛生責任者の業務の執行について当該統括安全衛生責任者を選任した事業者に勧告することができることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
法15条1項、法30条1項
特定元方事業者(建設業、造船業を行う元方事業者)は、その労働者及び関係請負人の労働者が同一の場所で混在して仕事をすることによって生ずる労働災害を防止するため、常時50人以上(ずい道等の建設、一定の橋梁の建設、圧気工法による作業の場合は常時30人以上)の労働者を使用する場合は、統括安全衛生責任者を選任し、その者に元方安全衛生管理者の指揮(建設業の場合のみ)をさせるとともに、協議組織の設置及び運営を行うこと、作業間の連絡及び調整を行うこと、作業場所を巡視すること、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと等の事項を統括管理させなければならないとされている。
よって、「統括安全衛生責任者を選任した特定元方事業者は、当該統括安全衛生責任者に当該事項を統括管理させる必要はない」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法30条1項、法59条2項
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、協議組織の設置及び運営を行うこと、作業間の連絡及び調整を行うこと、作業場所を巡視すること、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと等に関する必要な措置を講じなければならない。(統括安全衛生責任者を選任した特定元方事業者はこれらの事項を統括安全衛生責任者に統括管理させる。)
よって、問題文の前半部分の記述は正しい。
しかし、関係請負人である事業者であっても作業内容を変更したときの安全又は衛生のための教育を行う必要があり(関係請負人である事業者を排除する規定が存在しないため)、「教育を行う必要はない」とした問題文は誤りとなる。

  

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