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トップページ過去問研究室(労働安全衛生法) 平成27年労基-第9問(労働安全衛生法の派遣労働者への適用)
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■平成27年労基-第9問(労働安全衛生法の派遣労働者への適用)

労働安全衛生法の派遣労働者への適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)事業者は、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに衛生管理者を選任しなければならないが、この労働者数の算定に当たって、派遣就業のために派遣され就業している労働者については、当該労働者を派遣している派遣元事業場及び当該労働者を受け入れている派遣先事業場双方の労働者として算出する。

(B)派遣就業のために派遣される労働者に対する労働安全衛生法第59条第1項の規定に基づくいわゆる雇入れ時の安全衛生教育の実施義務については、当該労働者を受け入れている派遣先の事業者に課せられている。

(C)派遣就業のために派遣され就業している労働者に対する労働安全衛生法第59条第3項の規定に基づくいわゆる危険・有害業務に関する特別の教育の実施義務については、当該労働者を派遣している派遣元の事業者及び当該労働者を受け入れている派遣先の事業者の双方に課せられている。

(D)派遣就業のために派遣され就業している労働者に対して行う労働安全衛生法に定める医師による健康診断については、同法第66条第1項に規定されているいわゆる一般定期健康診断のほか、例えば屋内作業場において有機溶剤を取り扱う業務等の有害な業務に従事する労働者に対して実施するものなど同条第2項に規定されている健康診断も含めて、その雇用主である派遣元の事業者にその実施義務が課せられている。

(E)派遣就業のために派遣され就業している労働者に対して労働安全衛生法第66条の8第1項に基づき行う医師による面接指導については、当該労働者が派遣され就業している派遣先事業場の事業者にその実施義務が課せられている。



■解説

(A)正解
法12条、労働者派遣法45条、平成21年3月31日基発331010号
派遣元事業場、派遣先事業場ともに派遣労働者を含めて常時使用する労働者数を算出し、それにより算定した事業場の規模等に応じて、@総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医等の選任等、A衛生委員会の設置等を行うこととされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法59条1項、労働者派遣法45条、平成21年3月31日基発331010号
派遣元事業者は、派遣労働者を雇い入れたときは、当該派遣労働者に対し、遅滞なく雇入れ時の安全衛生教育を適切に行うこととされている。
よって、「派遣先の事業者に課せられている」とした問題文は誤りとなる。
なお、派遣先事業者は、派遣労働者を受け入れたときは、派遣元事業者による雇入れ時等の安全衛生教育について、当該派遣労働者が従事する業務に関する安全又は衛生を確保するために必要な内容の教育が実施されているか等、その実施結果を派遣元事業者に書面等により確認することとされている。

(C)誤り
法59条3項、労働者派遣法45条、平成21年3月31日基発331010号
派遣先事業者は、特別教育が必要な一定の危険又は有害な業務に派遣労働者を従事させるときは、当該派遣労働者が当該業務に関する特別教育を既に受けた者か等を確認し、当該派遣労働者に対し、必要な特別教育を適切に行うこととされている。また、その実施結果を派遣元事業者に書面等により報告することになっている。
よって、「派遣元の事業者及び当該労働者を受け入れている派遣先の事業者の双方に課せられている」とした問題文は誤りとなる。
なお、派遣元事業者は、特別教育が必要な一定の危険又は有害な業務に派遣労働者が従事する場合には、派遣先事業者が行った当該業務に係る特別教育の実施結果を書面等により確認することとされている。

(D)誤り
法66条、労働者派遣法45条、平成21年3月31日基発331010号
一般健康診断の実施及びその結果に基づく事後措置は派遣元事業者が行わなければならない。
しかし、特殊健康診断の実施及びその結果に基づく事後措置は派遣先事業者が行わなければならず、派遣先事業者は、特殊健康診断の結果の記録の写しを派遣元事業者に送付し、特殊健康診断の結果に基づき就業上の措置を実施したときは、派遣元事業主に対し、当該措置の内容に関する情報を提供することとされている。
よって、「派遣元の事業者にその実施義務が課せられている」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法66条の8、労働者派遣法45条、平成18年2月24日基発224003号、平成21年3月31日基発331010号
派遣労働者に対する面接指導については、派遣元事業主に実施義務が課せられている。
よって、「派遣先事業場の事業者にその実施義務が課せられている」とした問題文は誤りとなる。
なお、派遣労働者の労働時間については、実際の派遣就業した日ごとの始業し、及び終業した時刻並びに休憩した時間については、派遣先が派遣元事業主に通知することとなっており、面接指導が適正に行われるためには派遣先及び派遣元の連携が不可欠である。

  

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