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トップページ過去問研究室(労働安全衛生法) 平成27年労基-第10問(労働安全衛生法に定める健康診断)
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■平成27年労基-第10問(労働安全衛生法に定める健康診断)

労働安全衛生法に定める健康診断に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

(ア)常時使用する労働者に対して、事業者に実施することが義務づけられている健康診断は、通常の労働者と同じ所定労働時間で働く労働者であっても1年限りの契約で雇い入れた労働者については、その実施義務の対象から外されている。

(イ)事業者は、深夜業を含む業務に常時従事する労働者については、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、労働安全衛生規則に定める項目について健康診断を実施しなければならない。

(ウ)事業者は、高さ10メートル以上の高所での作業に従事する労働者については、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、労働安全衛生規則に定める項目について健康診断を実施しなければならない。

(エ)事業者は、労働安全衛生規則に定める健康診断については、その結果に基づき健康診断個人票を作成して、その個人票を少なくとも3年間保存しなければならない。

(オ)健康診断の受診に要した時間に対する賃金の支払について、労働者一般に対し行われるいわゆる一般健康診断の受診に要した時間については当然には事業者の負担すべきものとされていないが、特定の有害な業務に従事する労働者に対し行われるいわゆる特殊健康診断の実施に要する時間については労働時間と解されているので、事業者の負担すべきものとされている。

(A)(アとウ)

(B)(アとエ)

(C)(イとエ)

(D)(イとオ)

(E)(ウとオ)

■解説

(ア)誤り
法66条、平成26年7月24日基発0724第2号
期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年(一定の有害業務に従事する短時間労働者にあっては6月。以下同じ。)以上である者、契約更新により1年以上使用されることが予定されている者、1年以上引き続き使用されている者であり、その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であるときは、「常時使用する労働者」に該当するため健康診断を実施する必要がある。
よって、「その実施義務の対象から外されている」とした問題文は誤りとなる。

(イ)正解
法66条2項、則45条
事業者は、次に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、医師による健康診断を行わなければならないことになっている。(胸部エックス線検査及び喀痰検査については、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りる。)
・多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
・多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
・ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
・土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
・異常気圧下における業務
・さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
・重量物の取扱い等重激な業務
・ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
・坑内における業務
・深夜業を含む業務
・水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
・鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
・病原体によって汚染のおそれが著しい業務
・その他厚生労働大臣が定める業務

よって、問題文は正解となる。

(ウ)誤り
法66条2項、則45条
事業者は、一定の有害業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、医師による健康診断を行わなければならないことになっている(胸部エックス線検査及び喀痰検査については、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りる。)が、「高さ10メートル以上の高所での作業」は含まれていない。(上記(イ)の解説を参照)
よって、問題文は誤りとなる。

(エ)誤り
法66条の3、則51条
事業者は健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成して、5年間保存しなければならないことになっている。
よって、「3年間保存」とした問題文は誤りとなる。

(オ)正解
法66条、昭和47年9月18日基発602号
健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、労働者一般に対して行なわれる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行なわれるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可決な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこととされている。
特定の有害な業務に従事する労働者について行なわれる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間内に行なわれるのを原則とすること。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該健康診断が時間外に行なわれた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであるとされている。

※正解の組合せは、(イ)と(オ)であるため、(D)が正解となる。

  

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