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トップページ過去問研究室(労働安全衛生法) 平成28年労基-第9問(労働安全衛生法の総則等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成28年労基-第9問(労働安全衛生法の総則等)

労働安全衛生法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働安全衛生法における「事業者」は、労働基準法第10条に規定する「使用者」とはその概念を異にするが、「労働者」は、労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。

(B)労働安全衛生法における「労働災害」は、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいうが、例えばその負傷については、事業場内で発生したことだけを理由として「労働災害」とするものではない。

(C)労働安全衛生法における事業場の業種の区分については、その業態によって個別に決するものとし、経営や人事等の管理事務をもっぱら行なっている本社、支店などは、その管理する系列の事業場の業種とは無関係に決定するものとしており、たとえば、製鉄所は製造業とされるが、当該製鉄所を管理する本社は、製造業とはされない。

(D)厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害防止計画を策定しなければならないこととされており、現在、「死亡災害の撲滅を目指して、2017年と比較して、2022年までに労働災害による死亡者の数を15%以上減少させること」などを盛り込んだ2018年4月から2022年3月までの5年間にわたる計画が進められている。(一部改正)

(E)労働者は、労働安全衛生法第26条により、事業者が同法の規定に基づき講ずる危険又は健康障害を防止するための措置に応じて、必要な事項を守らなければならないが、その違反に対する罰則の規定は設けられていない。



■解説

(A)正解
法2条、昭和47年9月18日発基91号
労働安全衛生法における主たる義務者である「事業者」とは、法人企業であれば当該法人(法人の代表者ではない。)、個人企業であれば事業経営主を指している。これは、従来の労働基準法上の義務主体であった「使用者」と異なり、事業経営の利益の帰属主体そのものを義務主体としてとらえ、その安全衛生上の責任を明確にしたものである。
一方、労働安全衛生法における「労働者」とは、労働基準法第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
よって問題文は正解となる。

(B)正解
法2条
労働安全衛生法における「労働災害」とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。
業務上の負傷について労働災害と認められるためには、その業務との因果関係等が必要であり、事業場内で発生したことを理由として労働災害とするものではない。
よって問題文は正解となる。

(C)正解
昭和47年9月18日発基91号
事業場の業種の区分については、その業態によって個別に決するものとし、経営や人事等の管理事務をもっぱら行なっている本社、支店などは、その管理する系列の事業場の業種とは無関係に決定するものとする。たとえば、製鉄所は製造業とされるが、当該製鉄所を管理する本社は、「その他の業種」とされる。
よって問題文は正解となる。

(D)正解
法6条、平成30年2月28日厚生労働省発基安0228第1号(第13次労働災害防止計画の策定について)
厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(労働災害防止計画)を策定しなければならない。
第13次労働災害防止計画では、国、事業者、労働者等の関係者が一体となって、一人の被災者も出さないという基本理念の実現に向け、以下の目標を計画期間中(2018年度から2022年度)に達成することを目指す。
@死亡災害については、一たび発生すれば取り返しがつかない災害であることを踏まえ、死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少させる。
A死傷災害(休業4日以上の労働災害をいう。以下同じ。)については、死傷者数の増加が著しい業種、事故の型に着目した対策を講じることにより、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに5%以上減少させる。
B重点とする業種の目標は以下のとおりとする。
・建設業、製造業及び林業については、死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少させる。
・陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設及び飲食店については、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少させる。
C上記以外の目標については、以下のとおりとする。
・仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上(71.2%:2016年)とする。
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上(56.6%:2016年)とする。
・ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上(37.1%:2016年)とする。
・化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(以下「GHS」という。)による分類の結果、危険性又は有害性等を有するとされる全ての化学物質について、ラベル表示と安全データシート(以下「SDS」という。)の交付を行っている化学物質譲渡・提供者の割合を80%以上(ラベル表示60.0%、SDS交付51.6%:2016年)とする。
・第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少させる。
・職場での熱中症による死亡者数を2013年から2017年までの5年間と比較して、2018年から2022年までの5年間で5%以上減少させる。
よって問題文は正解となる。

(E)誤り
法26条、法120条
労働者は、労働安全衛生法第26条により、事業者が同法の規定に基づき講ずる危険又は健康障害を防止するための措置に応じて、必要な事項を守らなければならないことになっているが、この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられることになっている。
よって、「罰則の規定は設けられていない。」とした問題文は誤りとなる。

  

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