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トップページ社会保険労務士試験情報局ブログ版バックナンバー健康保険法その1 2006/02/06
■健康保険法




■最後の注意点(健康保険の給付制限)

先週から健康保険が使用が制限される場合について書いてきましたので、ここで復習です。

・故意の犯罪行為の場合等
→全部制限(保険者の裁量なし)

・著しい不行跡の場合等
→全部又は一部制限(保険者の裁量あり)

・監獄等に拘禁された場合
→死亡以外の給付が制限さされる。被保険者が拘禁されても家族に対しては給付される。

・正当な理由なしに療養の指示に従わない場合
→給付の一部を制限(全部を制限することはできない)

・偽って保険給付をうけた(受けようとした)場合
→6ヶ月以内の期間内で傷病手当金、出産手当金の支給を制限(行為時より1年以内に限る)

・正当な理由なしに文書等の提出に応じないとき
→全部又は一部の給付を制限

さて、これ以外で保険給付が制限される場合があります。(結構知らない方がいるようです。)

それは、交通事故等の第三者の行為による負傷時に示談した場合です。

すでに書きましたが、交通事故等の場合でも健康保険を使用することはできますが、このときに受ける保険給付は本来事故の加害者が負担すべき損害賠償を保険者が代わりに行うという性質を持っています。

よって、被害者である被保険者がもっている加害者に対する損害賠償請求権のうち、保険者が保険給付した部分に関しては法律上当然に損害賠償請求権を取得することになります。(代位取得といいます)

※一般債権を譲渡する場合は民法の規定で第三者に対する通知又は承諾が必要になるが、この場合は必要なし。

なので、被害者である被保険者が加害者と示談をし、その示談に基づいて実際に損害賠償請求が行われた場合は、保険者はそれ以降の保険給付については(示談された金額の範囲で)代位取得できなくなりますので、保険給付は行われなくなります。

あと、軽微な事故のため、加害者側に「健康保険で治療するから損害賠償は必要ないよ」と言って損害賠償の免除をした場合も健康保険の給付をうけることができなくなりますので注意が必要です。

交通事故で負傷し健康保険から保険給付を受ける場合は、示談についてはその時期、金額等よく検討し行う必要があります。また、できれば示談前に専門家に相談するほうが確実だと思います。

さりげなく、PRしておきます。(爆)

では。

  

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