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■健康保険法 | ||||
昨日は、日曜日だったんで、勉強をお休みにしました。 なので、解説編は今日書きます。 いつものように問題からです。 (問題) 引き続き1年以上被保険者であったAさんが退職しました。 その後の健康保険は任意継続被保険者になることを選択せず、退職後すぐに健康保険組合の被保険者である夫Bの被扶養家族となりました。 会社を退職したときにすでに妊娠していたAさんは、退職後5月たって無事出産しました。 さて、ここからが問題ですよ。 このAさんの場合は、資格喪失後の出産育児一時金の支給要件を満たしているので、出産育児一時金の支給を受けることができます。 それと、同時に夫Bの被扶養家族なので、夫の加入している健康保険組合から家族出産育児一時金の支給を受けることもできます。 この場合、Aさんは出産育児一時金と家族出産育児一時金の計60万円を受け取ることができるでしょうか? (解説) 少し健康保険法の勉強をしたことがある方に、たまに聞かれる内容なんですが、結果は、残念ながら併給はできず、どちらかを選択することになります。 なぜなら、出産という一つの保険事故に対する給付について、健康保険制度から重複して給付がなされることは、条理上不合理だからです。 根拠となる、行政解釈は次のようになってます。(保険者が国家公務員共済組合と健康保険の場合ですが考え方は同様です。) 「夫が国家公務員共済組合員、妻が健康保険の被保険者であって、妻妊娠のため資格喪失、夫の被扶養者となり、資格喪失後約6か月以内に分娩したとき、健康保険の出産育児一時金と共済組合の家族出産育児一時金とは併給されない。(昭和26年7月20日保文発第2423号)」 なお、保険給付の選択については受給権者の意思に委ねられています。(つまりどちらに請求してもOKということ) ちなみに、こちらの行政解釈は、 「被保険者本人としての出産育児一時金を受給するか、被扶養者としての家族出産育児一時金を受給するかは請求者の選択に任せる。(昭和48年11月保険発第99号・庁保険発第21号)」 実務上の内容になりますが、請求する場合は、選択しなかったほうの保険者に、出産に関する給付を請求していない証明をしてもらい請求します。 ※たとえば、家族出産育児一時金を請求する場合は、被保険者として加入していた保険者(社会保険事務所・健康保険組合)に証明を書いてもらうことになります。 少しお得情報です。 被扶養者として加入している保険者が健康保険組合である場合は、法定給付(30万円)の他に付加給付としていくらか支給される場合があるので、その場合は、家族出産育児一時金を選択しましょう。 なお、資格喪失者に対しては付加給付はありませんので、退職前まで加入していたのが健康保険組合でも残念ながら付加給付は支給されませんよ。 以上 (ご注意) 平成19年4月1日から資格喪失後6か月以内に出産した場合の出産手当金は廃止されています。(出産育児一時金は支給される) また、任意継続被保険者期間中に出産したとしても出産手当金は支給されません。(出産育児一時金は支給される) しかしながら、退職後の出産手当金の継続受給の要件を満たした人が、たまたま任意継続被保険者となった場合は、継続受給として残りの期間の出産手当金を受けることができますので注意してくださいね。 |
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