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トップページ社会保険労務士試験情報局ブログ版バックナンバー健康保険法その3 2006/08/21
■健康保険法




■出産手当金と報酬との調整

この内容も傷病手当金の場合とほぼ同様です。

注意しなければならないのは、傷病手当金の場合は支給額との調整対象となる、障害厚生年金(障害基礎年金)又は障害手当金との調整、任意継続被保険者、資格喪失後の出産手当金受給者に対する、老齢退職年金給付との調整規定がないことです。

よって、出産手当金の場合は、報酬との調整について理解しておけば問題ないことになります。

では、調整の方法について書いていきましょう。

1.原則
出産した場合において、報酬の全部又は一部の支給を受けることができる場合は、その期間は原則として出産手当金は支給されません。

2.例外
しかし、受けることのできる報酬等の額が、出産手当金の支給額(標準報酬日額の6割)より少ない場合は、その差額が出産手当金として支給されることになっています。

「出産手当金の額>報酬額」の場合は、「出産手当金の額−報酬額」が支給されるということ。

3.通達のまとめ(傷病手当金と共通)
最近は通達からの出題が多いように感じますので、まとめておきます。

■調整対象になる報酬とは?
1.傷病手当金の支給を受ける期間は、事業主が常時における報酬の額から手当金を控除した額を報酬として支給する旨を規定する場合は、その支給の実体は通常の生計費にあてられる労務報酬の一部として支払われるものであると認められるので、報酬との調整規定に該当する。(昭和2年2月1日保理第393号・昭和28年5月18日保文発第2592号)

※この内容は、事業主が傷病手当金、出産手当金の差額として(標準報酬日額の4割)を支給して、休業した労働者が満額の報酬を受け取ることができるようにした場合でも、その差額分を報酬とみなすので、結果的には、手当金の額(標準報酬日額の6割)から支給された差額分(標準報酬日額の4割)を控除した額(標準報酬日額の2割)が手当金の支給額となるということです。

2.就業規則等により休業手当を支給する場合
工場の就業規則で休業手当金を支給することを定めてあるときは、その手当金は、労働の対償と認められ報酬に入るので報酬との調整規定の適用がある。(大正15年11月16日保発第200号)

■見舞金の場合の取扱い
1.名目は見舞金であってもいわゆる御見舞ではなく、事業主と被保険者との雇用関係に基づいて事業主が報酬の一部を支給し生活を保障しようとするものである場合は報酬に入る。(昭和25年2月22日保文発第376号・昭和32年8月6日保文発第6737号)

2.何等の成文もなく、ただ慣例として事業主の意思により私傷病の場合においても日給者又は月給者に対し金銭を給与し、名目を休業手当、休業扶助料、見舞金等と称しているものは単に病気見舞であり報酬と認められず、報酬との調整規定には該当しない。(昭和10年4月20日保規第123号)

■休業中に食事手当を受ける場合
疾病等にかかり療養のために休業中であっても寄宿舎に居住させる利益で報酬の額の決定に影響のあるもの及び食事は継続して受けるものとすれば報酬の一部を受けるものと認められる。(大正15年12月22日保発第14号・昭和3年7月21日庶発第811号・昭和4年6月28日保発第324号)

■報酬額は税金を控除した額?
給料から所得税額を差し引いて、傷病手当金より小額となる場合でも、税込の支給額を、受けることができる報酬の額とする。(昭和24年12月26日保文発第2478号)

以上

 

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