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■平成13年一般-第2問(労働関係諸法令)

次の記述のうち,誤っているものはどれか。なお、以下において「男女雇用機会均等法」とは「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」のことである。

(A)男女雇用機会均等法に基づく指針(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針)においては、いわゆるセクシュアルハラスメントの防止のために、事業主は雇用管理上、「事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」について配慮すべきであるとしているが、就業規則に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を規定すれば、その配慮をしていると認められる。

(B)一定の役職に昇進するための試験の合格基準として、男性の適性を考えた基準及び女性の適性を考えた基準の双方を用意することは、たとえ男女双方のそれぞれの適性を適切に生かす上で効果的な工夫であったとしても、男女雇用機会均等法に違反する。

(C)募集又は採用に当たって、男性又は女性を表す職種の名称を用いることは、職種の内容を正確に応募者に伝えるために望ましいことであり、たとえば「カメラマン募集」とすることは男女雇用機会均等法に違反しない。

(D)高年齢者等の雇用の安定等に関する法律では、65歳未満の定年を定めている事業主は、高年齢者の65歳までの安定した雇用の確保を図るために必要な措置を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務の担当者を選任するように努めなければならないとされており、この担当者は高年齢者雇用推進者と呼ばれている。

(E)高年齢者等職業安定対策基本方針では、事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項を示しており、賃金・人事処遇制度の見直しについても言及している。見直しが必要である場合の留意事項として、年齢的要素を重視する賃金・人事処遇制度から、能力、職務等の要素を重視する制度に向けた見直しに努めること、を指摘している。



■解説

(A)正解
男女雇用機会均等法21条、指針(平成10年3月13日労働省告示20号)
事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントに関する方針を明確化し、労働者に対してその方針の周知・啓発をすることについて配慮をしなければならないことになっているが、次のような場合は、事業主の方針の明確化及びその周知、啓発について配慮をしていると認められるとされている。
1.社内報、パンフレット等広報又は啓発のための資料等に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する事項を記載し、配布すること。
2.服務上の規律を定めた文書に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する事項を記載し、配布又は掲示すること。
3.就業規則に職場におけるセクシュアルハラスメントに関する事項を規定すること。
4.労働者に対して職場におけるセクシュアルハラスメントに関する意識を啓発するための研修、講習等を実施すること。

(B)正解
男女雇用機会均等法6条・10条、指針(平成10年3月13日労働省告示19号)
一定の役職への昇進のための試験を実施する場合において、女性労働者に対して男性労働者と異なる取扱いをすることは、労働者の配置、昇進及び教育訓練について、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱いを禁止した規定に違反することになるが、この異なる取扱いをしていると認められる例としては、一定の役職に昇進するための試験の合格基準を、女性労働者について男性労働者と異なるものとすることなどがある。
そして、問題文の場合はこの例に該当しており、男女雇用機会均等法に違反することとなる。

(C)誤り
男女雇用機会均等法5条・10条、指針(平成10年3月13日労働省告示19号)、平成10年06月11日女発第168号
募集又は採用に当たって、女性であることを理由として、その対象から女性を排除することは、労働者の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない規定に違反することになる。
そして、この女性を排除していると認められる例として、募集又は採用に当たって、男性を表す職種の名称を用いること(女性を排除しないことが明らかである場合を除く)などがあるとされている。
なお、男性を表す「職種の名称」とは、例えば、ウェイター、営業マン、カメラマン、ベルボーイ、潜水夫等「マン」、「ボーイ」、「夫」等男性を表す語が職種の名称の一部に含まれているものがこれに当たるものであるとされており、「女性を排除しないことが明らかである場合」とは、例えば「カメラマン(男女)募集」とする等男性を表す職種の名称に括弧書きで「男女」と付け加える方法や、「ウェイター・ウェイトレス募集」のように男性を表す職種の名称と女性を表す職種の名称を並立させる方法が考えられている。
よって、「たとえばカメラマン募集とすることは男女雇用機会均等法に違反しない」とした問題文は誤りである。

(D)正解
高年齢者等雇用安定法9条・11条、高年齢者等雇用安定則5条
65歳未満定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、高年齢者雇用確保措置を講じなければならないことになっているが、その措置を推進するため、必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者を高年齢者雇用推進者として選任するように努めなければならないとされている。

(E)正解
高年齢者等雇用安定法6条、指針(平成17年4月1日厚生労働省告示205号)
高年齢者雇用確保措置を適切かつ有効に実施し、高年齢者の意欲及び能力に応じた雇用の確保を図るために、賃金・人事処遇制度の見直しが必要な場合には、次の事項に留意することとされている。
1.年齢的要素を重視する賃金・人事処遇制度から、能力、職務等の要素を重視する制度に向けた見直しに努めること。この場合においては、その雇用する高年齢者等の雇用及び生活の安定にも配慮した、計画的かつ段階的なものとなるよう努めること。
2.職業能力を評価する仕組みの整備と その有効な活用を通じ、高年齢者の意欲及び能力に応じた適正な配置及び処遇の実現に努めること。
3.勤務形態や退職時期の選択を含め人事処遇について個々の労働者の意欲及び能力に応じた多様な選択が可能な制度となるよう努めること。この場合においては、高年齢者等の雇用の安定及び円滑なキャリア形成を図るとともに、企業における人事管理の効率性を確保する観点も踏まえつつ、早い段階からの選択が可能となるよう勤務形態等の選択に関する制度の整備を行うこと。

  

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