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■平成13年一般-第4問(労働経済)

労働経済に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)労働市場の動向を示す指標である求人倍率は、求人数を求職者数で除することにより得られる。求人倍率には新規求人と新規求職者の比である新規求人倍率と、有効求人と有効求職者の比である有効求人倍率があり、後者は景気の動向とほぼ一致した動きを示し、前者は先行的な動きを示すとされている。

(B)総務省「労働力調査」の完全失業率は、完全失業者数を分子に、労働力人口を分母として算定される。この場合の労働力人口には、自営業主及び家族従業者も含まれるが、調査期間中に仕事をした時間が15時間未満である家族従業者は含まれない。

(C)賃金には名目賃金と実質賃金という概念がある。ある時点の賃金が月額20万円で、その1年後に月額22万円に増加したとする。この場合、名目賃金が10%増加したのであって、これだけでは実質賃金がどれほど増加したのかは分からない。

(D)春季労使交渉における賃上げ率を把握する指標として、従来、労働省労政局調べの主要企業春季賃上げ率が利用されてきており、これでみると平成12年春の賃上げ率(加重平均)は2.06%であった。この賃上げ率には、定期昇給に相当する賃上げ率も含まれているから、その点を考慮するとベースアップに相当する賃上げ率はさらに低くなるものと考えられる。

(E)平成12年版労働白書では、いわゆるフリーターの数は1997年には151万人に達していると推計している。また、フリーターの数を年齢5歳階級別にみると、フリーターの数の最も多い年齢層は20〜24歳層である。
なお、この場合のフリーターは、(1)年齢は15〜34歳、(2)現在就業している者については勤め先における呼称が「アルバイト」又は「パート」である雇用者で、男性については継続就業年数が1〜5年未満の者、女性については未婚で仕事を主にしている者、(3)現在無業の者については家事も通学もしておらず「アルバイト・パート」の仕事を希望する者、として定義されている。



■解説

(A)正解
求人倍率は、求職者数に対する求人の割合をいい、求人数を求職者数で除して求めることができる。
そして、求人倍率には、新規求人倍率と有効求人倍率がある。
新規求人倍率は、公共職業安定所に当月に新たに登録された新規求職者に対する新規求人の割合をいい、景気の動向に先行した動きを示し、一方、有効求人倍率は、有効期間内(申込月を含めて3か月間)の有効求職者に対する有効求人の割合をいい、景気の動向とほぼ一致した動きを示すとされている。

(B)誤り
完全失業率は、完全失業者を分子に労働力人口を分母として算定される。(完全失業率=完全失業者÷労働力人口)
労働力人口とは、15歳以上の就業者数と完全失業者数を合せたもので、このうち、就業者とは毎月の最後の1週間に収入を伴う仕事に1時間以上従事した者及び休業者(自営業者、家族従事者、雇用者)をいい、完全失業者とは毎月の最後の1週間に収入を伴う仕事に1時間以上従事せず、就業が可能で求職活動をした者をいう。
よって、「調査期間中に仕事をした時間が15時間未満である家族従業者は含まれない」とした問題文は誤りである。

(C)正解
賃金には名目賃金と実質賃金という概念がある。
名目賃金とは、労働者が労働の対価として使用者から実際に受ける賃金をいい、実質賃金とは、名目賃金をその時点の物価水準で除した実際の購買力を示す賃金をいう。
よって、ある時点の賃金とその1年後の賃金がわかったとしても、それぞれの時点における物価水準が分からなければ、実質賃金の増加率は分からないことになる。

(D)正解
平成12年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況について(平成12年7月18日労働省労政局労働組合課)、平成13年労働経済白書
2000年の民間主要企業の状況をみると、春季賃上げ率は2.06%で、3年連続で前年を下回り、過去最低の数字となっている。
なお、賃上げ率には、定期昇給相当分が含まれているため、その点を考慮するとベースアップ相当分の賃上げ率は少なかったと考えられる。

(E)正解
平成12年労働白書
1997年の年齢5歳段階別にみたフリーターの数は、15歳から19歳までが20万人、20歳から24歳までが82万人、25歳から29歳までが35万人、30歳から34歳までが14万人で合計151万人に達していると推計されている。
よって、最も多い年齢層は、20歳から24歳までの層である。
なお、フリーターについては、年齢が15歳から34歳以下で、現在就業している者については、勤め先における呼称が「アルバイト」又は「パート」である雇用者で、男性については継続就業年数が1年から5年未満の者、女性については未婚で仕事を主にしている者、現在無職の者については、家事も通学もしておらず「アルバイト・パート」の仕事を希望する者と定義されている。

  

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