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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成14年一般-第2問(高年齢者の雇用)

高年齢者の雇用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「年齢指針」とは「労働者の募集及び採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えることについて事業主が適切に対処するための指針(平成13年厚生労働省告示第295号)」のことであり、「高年齢者雇用安定法」とは「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」のことである。

(A)平成13年における完全失業率は5.0%に達し、特に男性の60〜64歳層では10%を超えている。

(B)定年(65歳未満のものに限る。)の定めをしている企業では、現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も65歳までは引き続いて雇用する継続雇用制度を導入しなければならない。

(C)β社は、製造業を営む企業であるが、昭和50年から今なお58歳定年制をとっている。この制度には労働者からも大変に感謝されており、定年の日には円満退職ということで、家族を招いてのハッピーリタイヤメントパーティを欠かさずに開催している。同社では、今後も家族的な雰囲気のある経営を続けたいと思っている。

(D)年齢指針は、平成13年10月1日から適用されており、あらゆる職種や業務に関し、事業主が労働者の募集及び採用に当たって、労働者の年齢を理由として、当該労働者を排除しないことを義務付けたものである。

(E)年齢指針は、高年齢者雇用安定法第1条の「この法律は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用の確保の促進、高年齢者等の再就職の促進、定年退職者その他の高年齢退職者に対する就業の機会の確保等の措置を総合的に講じ、もつて高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。」との規定に基づき定められたものである。



■解説

(A)正解
平成13年労働力調査
平成13年の完全失業率は5.0%に達した。
そして、男性の60歳から64歳の年齢層では、10.3%となった。

(B)誤り
高年齢者雇用安定法9条
定年(65歳未満のものに限る)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の措置(高年齢者雇用確保措置)のいずれかを講じなければならないとされている。
1.定年の引上げ
2.継続雇用制度の導入
3.定年の定めの廃止
よって、「継続雇用制度を導入しなければならない」(定年の引上げ又は廃止の措置でもよい)とした問題文は誤りである。
なお、経過措置により、平成18年4月1日から次のとおり段階的に高年齢者確保措置を講じなければならない年齢が引上げられ、平成25年4月1日以後に65歳となる。
そして、経過措置期間中で高年齢者確保措置を講じなければならない年齢に達するまでは、努力規定となっている。(法附則4条)
平成18年4月1日から平成19年3月31日まで 62歳
平成19年4月1日から平成22年3月31日まで 63歳
平成22年4月1日から平成25年3月31日まで 64歳

(C)誤り
高年齢者雇用安定法8条、高年齢者雇用安定則4条の2
事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、高年齢者が従事することが困難であると認められる業務として、鉱業法に規定されている事業における坑内作業の業務に従事する場合を除き、60歳を下回ることができないことになっている。
よって、「58年定年制」を導入している問題文の会社は、高年齢者雇用安定法違反となり、誤りとなる。

(D)誤り
年齢指針(平成13年厚生労働省告示第295号)
年齢指針(平成13年10月1日から適用)では、事業主は、労働者の募集及び採用に当たって、次に掲げる措置を講ずるように努めることとされている。
1.年齢制限が認められる場合を除き、労働者の年齢を理由として、募集又は採用の対象から当該労働者を排除しないこと。
2.事業主が職務に適合する労働者を雇い入れ、かつ、労働者がその有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することが容易になるよう、職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能等の程度その他の労働者が応募するに当たり必要とされる事項をできる限り明示すること。
よって、「あらゆる職種や業務に関し」とした点(例外的に年齢制限が認められる場合もある)、「義務付けたものである」とした点(努力規定である)から、問題文は誤りとなる。

(E)誤り
雇用対策法12条、年齢指針(平成13年厚生労働省告示第295号)
年齢指針は、雇用対策法第7条に定める事項に関し、事業主が適切に対処することができるよう、我が国の雇用慣行、近年における年齢別にみた求人及び求職の状況、特に中高年齢者の再就職をめぐる実態等を考慮して、必要な事項を明らかにするとともに、事業主が労働者の募集及び採用について講ずべき措置について定められたものである。
よって、「高年齢者雇用安定法第1条の規定に基づき定められたものである」とした問題文は誤りである。

(参考)
雇用対策法7条
事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときは、労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えるように努めなければならない。

  

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