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■平成14年一般-第5問(労働経済)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、この問において「男女雇用機会均等法」とは「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」のことである。


(A)採用内定に関しては、「企業の求人募集に対する大学卒業予定者の応募は労働契約の申込であり、これに対する企業の採用内定通知は右申込に対する承諾であって、誓約書の提出とあいまって、これにより、大学卒業予定者と企業との間に、就労の始期を大学卒業の直後とし、それまでの間誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したものと認めるのが相当である。」旨の最高裁判決がある。

(B)企業の採用活動で、男性に送付する会社の概要等に関する資料の内容を、女性に送付する資料の内容と比較して詳細なものとすることは、男女雇用機会均等法違反となる。

(C)厚生労働省「雇用管理調査(平成13年)」(以下「雇用管理調査」という。)によると、平成13年3月大学卒業予定者に対する企業の採用活動開始時期は、事務職、技術・研究職では「12年4月」とする企業割合が最も高く、企業規模が大きくなるほど「12年4月以前」とする企業割合が高い。事務職、技術・研究職の採用内定時期は、「12年6月」とする企業割合が最も高いが、規模が大きくなるほど「12年6月以前」とする企業割合が高くなっている。

(D)雇用管理調査によると、平成13年3月大学卒業予定者の採用で、最も多く内々定ないし内定を出した時期を前年と比べると、事務職、技術・研究職とも「前年よりも早まった」とする企業割合が最も高く、次いで「前年と変わらなかった」、「前年よりも遅くなった」の順と なっている。このように学生の採用活動の時期や内定を出す時期が早まっているのは、産業界と大学間で結ばれていた「就職協定」が、平成12年に廃止になったためと考えられる。

(E)雇用管理調査によると、中途採用者を採用した企業における採用の際の重視項目は、管理職、事務職では「職務経験」とする企業が最も 多く、技術・研究職では「専門的知識・技能」とする企業が最も多い。現業職では「熱意・意欲」、「健康・体力」の順となっている。中途採用者のポストや賃金等の格付け決定基準は、いずれの職種においても「在職者賃金とのバランス」とする企業が最も多く、次いで管理職では「能力」、事務職、技術・研究職、現業職では「年齢」となっている。



■解説

(A)正解
大日本印刷事件(昭和54年7月20日最高裁判決)
採用内定通知を受けたにもかかわらず、入社間近になって、「当初から不適格と思っていたが、それを打ち消す材料が出るかもしれないので採用内定としておいたが、そのような材料がでなかった」という理由で内定取消しされた者が雇用関係の確認を求めた裁判で、最高裁判所は、「企業の求人募集に対する大学卒業予定者の応募は労働契約の申込であり、これに対する企業の採用内定通知は右申込に対する承諾であって、誓約書の提出とあいまって、これにより、大学卒業予定者と企業との間に、就労の始期を大学卒業の直後とし、それまでの間誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したものと認めるのが相当である。」という判断をした。
よって、問題文は正解である。

(B)正解
男女雇用機会均等法5条、指針(平成18年10月11日厚生労働省告示第614号)
求人の内容の説明等募集又は採用に係る情報の提供について、男女で異なる取扱いをすることは、男女雇用機会均等法の募集及び採用の規定に違反するとされている。
なお、異なる取扱いをしていると認められる例として次のようなものがあるとされている。
1.会社の概要等に関する資料を送付する対象を男女のいずれかのみとし、又は資料の内容、送付時期等を男女で異なるものとすること。
2.求人の内容等に関する説明会を実施するに当たって、その対象を男女のいずれかのみとし、又は説明会を実施する時期を男女で異なるものとすること。
よって、問題文は正解である。

(C)正解
平成13年雇用管理調査結果
雇用管理調査によると、採用活動の開始時期をみると、事務職、技術・研究職では「12年4月」とする企業割合が最も高くそれぞれ18.3%、19.6%、現業職では「12年3月」とする企業割合が最も高く17.8%となっている。これを企業規模別にみると、いずれの職種でも規模が大きくなるほど12年4月以前とする企業割合が高くなっている。
また、採用で最も多く内々定ないし内定を出した時期をみると、事務職、技術・研究職、現業職のいずれの職種でも「12年6月」とする企業割合が最も高くそれぞれ24.4%、24.6%、19.2%となっている。これを企業規模別にみると、いずれの職種でも規模が大きくなるほど12年6月以前とする企業割合が高くなっている。
よって、問題文は正解である。

(D)誤り
平成13年雇用管理調査結果
雇用管理調査によると、採用で最も多く内々定ないし内定を出した時期を前年と比べると、事務職、技術・研究職、現業職のいずれの職種でも「前年と変わらなかった」とする企業割合が最も高くそれぞれ57.7%、62.7%、61.2%となっている。これを企業規模別にみると、いずれの職種でも規模が大きいところでは「前年よりも早まった」とする企業割合が「前年よりも遅くなった」とする企業割合を上回っている。
よって、「前年よりも早まったとする企業割合が最も高く」とした問題文は誤りである。
また、就職協定が廃止されたのは平成9年であり、「平成12年」とした点も誤りである。

(E)正解
平成13年雇用管理調査結果
雇用管理調査によると、平成12年(1月〜12月)において中途採用者を「採用した」とする企業について中途採用の際の重視項目(複数回答3つまで)をみると、管理職では「職務経験」とする企業割合が最も高く60.3%、次いで「行動力・実行力」45.3%、「専門的知識・技能」43.9%となっている。事務職でも「職務経験」が最も高く50.2%であるが、次いで「熱意・意欲」40.4%、「一般常識・教養」37.1%となっている。また、技術・研究職では「専門的知識・技能」が最も高く69.9%、次いで「職務経験」57.2%、「熱意・意欲」40.3%となっており、現業職では「熱意・意欲」が最も高く59.7%、次いで「健康・体力」58.7%、「職務経験」37.8%となっている。
一方、平成12年(1月〜12月)において中途採用者を「採用した」とする企業について中途採用者のポスト・賃金等の格付け決定基準(複数回答)をみると、管理職、事務職、技術・研究職、現業職のいずれの職種においても「在職者賃金とのバランス」とする企業割合が最も高くそれぞれ62.8%、68.4%、67.1%、67.5%となっている。次いで管理職では「能力」50.1%、「前職の賃金」40.2%、「年齢」40.0%となっているが、事務職、技術・研究職、現業職では「年齢」がそれぞれ55.3%、50.9%、48.1%となっており、「能力」がそれぞれ38.7%、48.4%、38.5%となっている。
よって、問題文は正解である。

  

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