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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成15年一般-第1問(労務管理)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)職業能力開発基本計画(第7次)においては、キャリア・コンサルティングの適切な実施の重要性が指摘されているが、そのキャリア・コンサルティングとは、労働者が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練の受講等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう、労働者の希望に応じて実施される相談をいう。

(B)ホーソン実験とは、シカゴのウェスタン・エレクトリック会社のホーソン工場で、1927年から10年にわたって行われた実験であり、これにより得られた結論の1つは、人間の生産能率には、上司や仲間に対して抱く感情、気分、態度といったような人間関係的な要素は影響していない、というものであった。

(C)厚生労働省「平成13年版労働経済白書」によれば、テレワークとは、情報通信ネットワークを活用して、時間と場所に制約されることなくいつでもどこでも仕事ができる働き方をいい、テレワークには、雇用形態で行われる在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークと、非雇用形態で行われるSOHO(Small Office,Home Office)とがある。このうち、雇用形態で行われる在宅勤務については、平成12年6月に「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」が策定されている。

(D)怠業には、能率を低下させるスローダウンといわれる消極的怠業と、不良品を生産したり機械に損傷を与えるなどの使用者に対する破壊行為、妨害行為を行うサボタージュといわれる積極的怠業があるが、いずれについても労働関係調整法第7条の争議行為であることから、いかなる場合でも、労働組合の正当な行為として認められ、刑事上の免責が与えられることとなる。

(E)建設労働者の雇用の改善等に関する法律によれば、事業主は建設労働者を雇用して建設事業を行う場合には、建設労働者の技能の向上に関すること、建設労働者の職業生活上の環境の整備に関すること及びその他建設労働者に係る雇用管理に関する事項(建設労働者の募集、雇入れ及び配置に関する事項を除く。)のうち、当該建設事業を行う事業所において処理すべき事項を管理させるために、当該事業所ごとに雇用管理責任者を選任しなければならないとされている。(一部改正)



■解説

(A)正解
第7次職業能力開発基本計画
第7次職業能力開発基本計画では、キャリア・コンサルティングの適切な実施の重要性が指摘されている。
そして、キャリア・コンサルティングとは、労働者が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業訓練の受講等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう、労働者の希望に応じて実施される相談とされている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
ホーソン実験とは、シカゴのウェスタン・エレクトリック会社のホーソン工場で、メイヨーやレスリスバーガーが中心となって、1927年から10年にわたって行われた実験である。
そして、この実験の結果、人間の生産能率に重要な影響を与えるのは、作業環境でなく、自然発生した人間環境であることが導きだされた。
具体的には、フォーマル組織(職制を通じた組織)より、インフォーマル組織(職場内で自然に発生する非公式な組織)での人間関係が作業能率に大きな影響を与えるとされている。
よって、「人間の生産能率には、上司や仲間に対して抱く感情、気分、態度といったような人間関係的な要素は影響していない」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
平成13年版労働経済白書、在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン
平成13年度の労働経済白書では、在宅等での労働のうち、「テレワーク」とは、情報通信ネットワークを活用して、時間と場所に制約されることなくいつでもどこでも仕事ができる働き方をいい、テレワークには非雇用であるSOHOと、雇用形態で行われる企業内のテレワーク(「テレワーク雇用(在宅勤務等)」)があるとしている。
このうち、非雇用形態で行われる在宅勤務について、「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」が策定されている。
よって、「雇用形態で行われる在宅勤務については、平成12年6月に「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」が策定されている」とした問題文が誤りである。
なお、同ガイドラインにおいて、在宅ワークとは、情報通信機器を活用して請負契約に基づきサービスの提供等を行う在宅形態での就労のうち、主として他の者が代わって行うことが容易なものをいい、例えば文章入力、テープ起こし、データ入力、ホームページ作成などの作業を行うものがこれに該当する場合が多い。ただし、法人形態により行っている場合や他人を使用している場合などを除くと定義している。

(D)誤り
労働組合法1条2項、労働関係調整法7条
労働関係調整法において、争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいうと定義されている。
また、労働組合の団体交渉その他の行為であって、目的を達成するためにした正当なものについては、刑法第35条(正当行為)の規定の適用があるとされている。(刑事上の免責)
ただし、いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならないことになっている。
よって、能率を低下させるスローダウンといわれる消極的怠業の場合は、正当な争議行為と認められるが、不良品を生産したり機械に損傷を与えるなどの使用者に対する破壊行為、妨害行為を行う積極的怠業については、違法性を帯びており、必ずしも、刑事上の免責が与えられるとは限らず、「いかなる場合でも、労働組合の正当な行為として認められ、刑事上の免責が与えられることとなる」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
建設労働者雇用改善法5条1項
事業主は、建設事業(建設労働者を雇用して行うものに限る。)を行う事業所ごとに、次に掲げる事項のうち当該事業所において処理すべき事項を管理させるため、雇用管理責任者を選任しなければならないことになっている。
1.建設労働者の募集、雇入れ及び配置に関すること。
2.建設労働者の技能の向上に関すること。
3.建設労働者の職業生活上の環境の整備に関すること。
4.その他、建設労働者に係る雇用管理に関する事項で厚生労働省令で定めるもの
よって、雇用管理責任者が管理すべき事項には、「建設労働者の募集、雇入れ及び配置に関する事項」も含まれており、問題文は誤りとなる。

  

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