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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成15年一般-第2問(労働関係諸法令)
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■平成15年一般-第2問(労働関係諸法令)

次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、この問において「障害者雇用促進法」とは「障害者の雇用の促進等に関する法律」のことである。


(A)厚生労働省「平成13年度能力開発基本調査」によると、自己啓発にあたっての問題点として、「やるべきことがわからない」をあげた従業員の割合は、「忙しくて自己啓発の余裕がない」、「費用がかかりすぎる」、「休暇取得・早退等が会社の都合でできない」をあげた従業員の割合より高くなっている。

(B)職業能力開発促進法及び同法施行規則によると、事業主は、職業能力開発推進者を選任し、その雇用する労働者の職業能力の開発及び向上が段階的かつ体系的に行われることを促進するために、必要な措置を定めた計画を作成するように努めなければならないが、特に、常時雇用する労働者が100人を超える事業所については、職業能力開発推進者を選任し、当該計画を作成することが義務づけられている。

(C)障害者雇用促進法に基づく障害者雇用率を基礎として、事業所において雇用すべき障害者の数を算出するにあたり、障害者の就業が困難であると認められる職種の労働者が相当の割合を占める業種の事業所については、事業主の申請に基づき、業種ごとにその事業所で雇用している労働者の数に応じて定められている「除外率」を用いることにより、その数を減ずることが認められている。

(D)常時雇用する労働者(障害者雇用促進法第43条第1項に規定されている短時間労働者を除く。)が1,000人の事業所で、適用される障害者雇用率が1.8%、除外率が40%の場合における当該事業所の法定雇用障害者数は、次の計算により11名となる。(一部改正)
(1,000人−1,000人×40%)×1.8%=10.8人

(E)平成14年に障害者雇用促進法が改正され、従前からあった子会社に関しての特例である、いわゆる特例子会社制度に加え、関係会社(特例子会社の親事業主と厚生労働省令で定める特殊の関係がある会社をいう。)についても同法第14条第1項の規定の適用については、申請に基づき,当該関係会社が雇用する労働者は当該親事業主のみが雇用する労働者と、当該関係会社の事業所は当該親事業主の事業所とみなす、と規定されるなど、親事業主と特例子会社及び関係会社の企業グループで障害者雇用率を算定することが可能となった。



■解説

(A)誤り
平成13年度能力開発基本調査
平成13年度能力開発基本調査によると、自己啓発にあたっての問題点(複数回答)は、「忙しくて自己啓発の余裕がない」をあげた者の割合が最も高く43.0%であり、次いで「費用がかかりすぎる」(25.9%)、「休暇取得・早退等が会社の都合でできない」(18.3%)、「セミナー等の情報が得にくい」(15.3%)、「自己啓発の結果が社内で評価されない」(15.2%)、「適当な教育訓練期間が見つからない」(15.0%)、「コース受講や資格取得の効果が定かでない」(13.2%)、「やるべきことがわからない」(10.9%)となっている。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)誤り
職業能力開発促進法11条・12条、職業能力開発促進則2条
事業主は、職業能力開発推進者を選任し、その雇用する労働者の職業能力の開発及び向上が段階的かつ体系的に行われることを促進するために、必要な措置を定めた計画を作成するように努めなければならないとされている。
しかし、この規定は事業所の規模に関係なく努力規定にとどまっており、「常時雇用する労働者が100人を超える事業所については、職業能力開発推進者を選任し、当該計画を作成することが義務づけられている。」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
障害者雇用促進法43条1項、障害者雇用促進法附則3条2項、障害者雇用促進則附則1条3項・則別表第4
除外率設定業種では、障害者を雇用する義務が軽減されることになっており、その業種の法定雇用障害者数は、その雇用する労働者の数から、当該事業所に係る除外率設定業種ごとの労働者の数に当該除外率設定業種に係る除外率を乗じて得た数を合計した数を控除した数に障害者雇用率を乗じて算出することになっている。
なお、具体的な計算式は次のとおりである。
(常用労働者数−除外率設定業種ごとの労働者数×除外率)×障害者雇用率
また、除外率は一定業種について5%から90%の範囲内で定められており、その適用にあたって申請は不要である。
よって、「事業主の申請に基づき」とした問題文は誤りである。

(D)誤り
障害者雇用促進法43条1項、障害者雇用促進法附則3条2項
法定雇用障害者数は、その雇用する労働者の数から、当該事業所に係る除外率設定業種ごとの労働者の数に当該除外率設定業種に係る除外率を乗じて得た数を合計した数を控除した数に障害者雇用率を乗じて算出することになっている。
なお、具体的な計算式は次のとおりであり、その数に1人未満の端数があるときは、その端数は切り捨てることになっている。
(常用労働者数−除外率設定業種ごとの労働者数×除外率)×障害者雇用率
よって、問題文の計算式から算出した人数「10.8」の場合、端数処理により「10」となり、「11名となる」とした問題文は誤りである。

(E)正解
障害者雇用促進法44条・45条
平成14年10月1日の法改正により、特例子会社制度に加え、関係会社の特例の制度が設けられた。
これにより、子会社の申請によって厚生労働大臣の認定をうけることにより、子会社が雇用する労働者は当該親事業主のみが雇用する労働者と、子会社の事業所は親事業主の事業所とみなされ、子会社以外の関係会社も含めた企業グループ内で、法定雇用障害者数の算定を行うことも可能になった。

  

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