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■平成16年一般-第4問(労働経済)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、この問において「女性労働白書」とは厚生労働省「平成15年版働く女性の実情」のことであり、「労働白書」とは厚生労働省「平成15年版労働経済白書」のことである。


(A)女性労働白書によれば、新規学卒者について雇用形態別に入職状況をみると、男女ともに一般労働者で入職する者の割合が低下し、パートタイムでの入職者の割合が上昇し、平成8年以降その変化度合いが高まっているとし、若い世代の女性ほど新規学卒者のパートタイム就職が進んでいる、としている。また、この動きを新規高卒者についてみると、男女ともパートタイムでの入職者の割合が大きく上昇しており、卸売・小売業、飲食店による増加が寄与している、と分析している。

(B)女性労働白書によれば、平成15年の働く女性の状況のポイントとして、女性の労働力率が6年連続で低下していること、女性の平均勤続年数が前年より伸び、3人に1人以上は10年以上の勤続者となっている、ことなどをあげている。

(C)労働白書では、平成14年のフリーターの人数は417万人になると分析している。フリーターを学歴別にみると、中学・高卒者が3分の2を占め、中学・高校卒のフリーターが多いことについては、企業からの求人数の大幅な減少、正規雇用以外の求人の増加、職業に関する意識や専門知識が希薄なまま労働市場に出てきた者も多いこと等が背景にあると考えられる、と分析している。

(D)労働白書では、フリーター増加の背景としては厳しい学卒労働市場における学卒無業者の増加や若年離職率の高まりがある、とし、また、若年者を取り巻く経済環境が豊かになり必ずしも正社員の形態をとらなくても生活できること、若年者の就職環境が厳しく不満足な形での就職が増加していることも影響している、と分析している。

(E)労働白書では、若年者の人材育成における課題として、若者自らが職業意識を高め、適切な職業選択と職業生活の設計ができるよう、職業安定機関と学校が密接に連携して、就職指導、職場適応指導を適切に行い、また、学校、事業主等との協力の下でインターンシップ(就業体験)など在学中の職業体験の機会を拡大し、在学中の早い時期からの職業意識の啓発に積極的に取り組むことが求められている、としている。



■解説

(A)正解
平成15年版働く女性の実情
女性労働白書では、新規学卒者について雇用形態別(一般労働者、パートタイム労働者別)に入職状況をみると、男女ともに昭和58年頃から一般労働者で入職する者の割合が低下し、パートタイムでの入職者の割合が上昇し、平成8年以降その変化度合いが高まっている。このことは、世代別には、若い世代ほど新規学卒者がパートタイムで就職していることを意味しており、男女差も表れている。この動きを新規大卒者と新規高卒者に分けてみると、いずれもパートタイム労働者で就職する者の割合は上昇しており、例えば、直近時点の平成 14年でみて、高卒者の男女差は10.3%ポイントとなっており、高卒女性の上昇が著しい (第2-8図)。新規学卒者で一般労働者として就職していない者の相当数がパートタイム労働者として就職する結果、新規学卒者のうち、パートタイム労働者として就職する者の割合は上昇しているが、平成8年から14年の間に高卒のパートタイム労働者数は女性は74.8%、男性は180.8%伸びているところ、男女とも、卸売・小売業,飲食店による増加が寄与している。また、厚生労働省「パートタイム労働者総合実態調査」によれば、男女とも「正社員として働ける会社がないからパートを選んだ」とする者が増加している、と分析している。

(B)正解
平成15年版働く女性の実情
女性労働白書によると、働く女性の状況のポイントとして、平成15年の女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は、前年に比べ0.2%ポイント低下し48.3%と、6年連続で低下していること、女性の平均勤続年数は9.0年(男性13.5年)と前年に比べ0.2年伸び、勤続10年以上の者の割合は35.2%(対前年差0.8%ポイント上昇)と3人に1人以上は10年以上の勤続者であることなどをあげている。

(C)誤り
平成15年版労働経済白書
労働経済白書では、フリーターを年齢15〜34歳、卒業者、女性については未婚者に限定し、さらに、(1)現在就業している者については勤め先における呼称が「アルバイト」又は「パート」である雇用者で、(2)現在無業の者については家事も通学もしておらず「アルバイト・パート」の仕事を希望する者と定義して集計を行ったところ、フリーターの人数(2002年平均)は209万人(男性94万人、女性115万人)としている。
よって、「平成14年のフリーターの人数は417万人になると分析」とした問題文は誤りである。

(D)正解
平成15年版労働経済白書
労働経済白書では、フリーター増加の背景としては、厳しい学卒労働市場における学卒無業者の増加や若年離職率の高まり、若年者を取り巻く経済環境が豊かになり必ずしも正社員とならなくても生活できること、若年者の就職環境が厳しく不満足な形での就職が増加していることが影響していると考えられると分析している。

(E)正解
平成15年版労働経済白書
労働経済白書では、公共職業訓練、学校教育における人材育成の現状と課題として、若年者では、学卒未就職者や早期離職者、フリーターなどが増加しており、この問題の原因としては、(1)求人の大幅な減少、(2)将来の目標を立てられない若年者の増加、(3)経済社会の構造変化に教育・人材育成・雇用のシステムが対応できていないこと等がある。若年者の人材育成を促進するため、学校、企業、職業安定機関等が連携、協力して、若年者自らの職業意識の向上、企業実習も含む実践的な職業能力開発機会の充実等の課題に取り組むことが重要であるとしている。

  

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