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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成16年一般-第5問(労働経済)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、この問において「民営職業紹介事業報告」とは厚生労働省「平成14年度民営職業紹介事業報告」のことであり、「労働者派遣事業報告」とは厚生労働省「労働者派遣事業の平成14年度事業報告の集計結果」のことであり、「個別労働紛争法」とは「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」のことである。


(A)民営職業紹介事業報告により、平成14年度の民営職業紹介事業の運営状況をみると、新規求職申込件数及び常用求人数とのいずれも過去最高となった。 しかし、求人と求職に関して、有料職業紹介事業と無料職業紹介事業のシェアを比較してみると、新規求職申込に関しても常用求人に関しても有料職業紹介事業所での扱いが多い。

(B)労働者派遣事業報告によれば、派遣労働者数は、集計をはじめて以来増加傾向を示し、平成14年度についに 200万人の大台を超え、労働者派遣事業に係る売上高は、2兆円を超える規模となった。

(C)個別労働紛争法においては、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(以下「個別労働関係紛争」という。)について、当該個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を含む。)の当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合で、都道府県労働局長が当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、同法に基づいて設置された紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとしている。

(D)個別労働紛争法に基づく個別労働紛争解決制度は、平成13年10月から施行されたところであるが、平成15年度における利用実態は、人事労務管理の個別化等の雇用形態の変化、厳しい経済・雇用情勢等を反映し、民事上の個別労働紛争に係る相談件数は14万件を超え、あっせん申請受理件数についても5千件を超えるなど制度の利用が進んでいる。

(E)社会保険労務士法第2条第1項の規定により、社会保険労務士(特定社会保険労務士に限る)は個別労働紛争法に基づいて設置された紛争調整委員会が同法第5条に基づいて行うあっせんについて、当該紛争の当事者を代理することができる。(一部改正)



■解説

(A)正解
平成14年度民営職業紹介事業報告
平成14年度民営職業紹介事業報告によると、有料職業紹介事業の新規求職申込件数は、1,039,951件と前年度の796,901件に対して実数で243,050件の増、率にして30.5%の増となり、無料職業紹介事業の新規求職申込件数は、486,927件と前年度の458,733件に対して実数で28,194件の増、率にして6.1%の増加となったとされている。
一方、有料職業紹介事業の常用求人数は、657,248人で前年度の515,277人に対して、実数で141,971人の増、率にして27.6%の増となり、無料職業紹介事業の常用求人数は409,968人と前年度の400,253人に対して2.4%の増となったとされている。
よって、新規求職申込に関しても、常用求人に関しても有料職業紹介事業所での扱いが多いという結果となっており、問題文は正解となる。

(B)正解
労働者派遣事業の平成14年度事業報告の集計結果
労働者派遣事業の平成14年度事業報告の集計結果によると、実際に派遣された派遣労働者数は2,129,654人(対前年度比21.8%増)、常用換算派遣労働者数は693,418人(対前年度比13.3%増)であり、労働者派遣事業に係る売上高は、一般労働者派遣事業では1兆8,101億円(対前年度比16.0%増)、特定労働者派遣事業では4,371億円(対前年度比13.4%増)で、この結果、合計は2兆2,472億円(対前年度比15.5%増)となったとしている。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
個別労働紛争法5条1項
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当該個別労働関係紛争の当事者の双方又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせることになっている。
よって、「労働者の募集及び採用に関する事項についての紛争を含む。」とした問題文は誤りである。

(D)正解
平成15年度個別労働紛争解決制度施行状況
平成15年度個別労働紛争解決制度施行状況では、個別労働紛争解決制度は、平成13年10月の施行から2年半を経過したところであるが、人事労務管理の個別化等の雇用形態の変化、厳しい経済・雇用情勢等を反映し、全国約300ヵ所の総合労働相談コーナーに寄せられた民事上の個別労働紛争に係る相談件数は14万件を超えており(総合労働相談件数は73万件超)、また、助言・指導申出受付件数は4千件、あっせん申請受理件数は5千件を超えるなど、制度の利用が進んでいるとしている。

(E)正解
社労士法2条1項1号の4
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第6条第1項の紛争調整委員会における同法第5条第1項のあっせんについて、紛争の当事者を代理すること(あっせん代理)は、社会保険労務士の業務のうち紛争解決手続代理業務の1つとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、紛争解決手続代理業務は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、かつ、付記を受けた特定社会保険労務士に限り行うことができるとされている。

  

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