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■平成17年一般-第4問(労働経済)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)サービス産業の国民経済に占める比重が、経済の発展につれて増大することは、ペティの法則によって明らかにされたが、このペティの経験法則を、パーキンソンは、国際的かつ長期間にわたる膨大なデータの収集・整理に基づく統計的観察から帰納的に導いた。このことからペティ・パーキンソンの法則ともいわれる。

(B)厚生労働省の平成14年産業労働事情調査結果報告書(サービス業就業実態調査)で、就業形態別の労働者数の割合を調査業種計でみると、一般社員が最も多く、次いでパートタイマー、その他の社員、契約社員、派遣労働者の順となっている。また、就業形態別の労働者数の変動状況を1年前と比べて「増えた」、「ほぼ同じ」、「減った」でみると、調査業種計ではすべての就業形態で「ほぼ同じ」とする事業所の割合が最も高いが、パートタイマー、その他の社員、契約社員、派遣労働者では「増えた」割合が「減った」割合を大きく上回っているものの、一般社員ではわずかに上回るにとどまっている。

(C)事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針は、平成15年に改正され、事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方が示されたほか、通常の労働者への転換に関する条件の整備等事業主が講ずべき適切な措置が一部追加された。

(D)厚生労働省の平成16年版雇用管理調査によると、フリーターを正社員として採用する場合のフリーターであったことをマイナスに評価する理由で最も多いのは「根気がなくいつ辞めるかわからない」で7割を超えている。次いで「責任感がない」、「職業に対する意識などの教育が必要」、「年齢相応の技能、知識がない」、「組織になじみにくい」の順になっている。

(E)政府は、高い若年失業率、増加するフリーターや無業者といった若年失業問題の重要性に鑑み、平成15年6月に取りまとめた「若者自立・挑戦プラン」を強化することとし、平成16年6月に、内閣官房長官を新たに加えた関係 閣僚(内閣官房長官、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣及び経済財政政策担当大臣)による「若者自立・挑戦戦略会議」において「若者自立・挑戦プランの強化の基本的方向」を取りまとめた。



■解説

(A)誤り
サービス産業の国民経済に占める比重が、経済の発展につれて増大することは、ペティの「政治算術」の記述を元に、クラークが「ペティの法則」として提示したものである。
そして、このペティの経験法則を、クラークは、国際的かつ長期間にわたる膨大なデータの収集・整理に基づく統計的観察から帰納的に導いたために、「ぺティ・クラークの法則」とも言われている。
よって、ペティの経験法則を帰納的に導いたのを「パーキンソン」とした問題文は誤りである。
なお、「パーキンソンの法則」とは、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」、「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」といったもので、官僚組織の肥大化に対する説明などに用いられている。

(B)正解
平成14年産業労働事情調査結果報告書(サービス業就業実態調査)
事業所における就業形態別労働者の割合を調査業種計でみると、一般社員69.8%、一般社員以外30.2%となっており、また、一般社員以外(30.2%)の内訳は、パートタイマー(18.6%)、その他の社員(6.0%)、契約社員(3.4%)、派遣労働者(2.2%)の順となっている。
また、就業形態別に1年前と比べた事業所における労働者の人数変動状況を調査業種計でみると、全ての就業形態で「ほぼ同じ」が最も高く、次いで「増えた」、「減った」の順となっているが、特に派遣労働者、契約社員、パートタイマーの3形態については「増えた」割合が「減った」割合を大きく上回っている。

(C)正解
パートタイム労働法8条、指針(平成15年8月25日厚労省告示第297号)
平成15年8月25日に改正(平成15年10月1日適用)された、事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針には、事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置を講ずるに当たっての基本的考え方が示されたほか、通常の労働者への転換に関する条件の整備等事業主が講ずべき適切な措置が一部追加された。
なお、通常の労働者への転換に関する条件の整備において、「事業主は、短時間労働者の通常の労働者への転換について、これを希望し、かつ、その能力を有する短時間労働者のニーズが自らのニーズに合致する場合において、当該事業所の実情に即して、これが可能となる制度の導入、必要な条件の整備等をするよう努めるものとする」とされている。

(D)正解
平成16年版雇用管理調査
フリーターであったことをマイナスに評価する企業について、マイナスに評価する理由をみると、「根気がなくいつ辞めるかわからない」とする企業割合が最も多く70.7%、次いで「責任感がない」が51.1%、「職業に対する意識などの教育が必要」が42.6%、「年齢相応の技能、知識がない」が38.1%、「組織になじみにくい」が36.3%の順となっている。

(E)正解
平成16年版労働経済白書(166ページ)
政府は高い若年失業率、増加するフリーターや無業者といった若年失業問題の重要性に鑑み、「若者自立・挑戦プラン」を強化することとし、平成16年6月に、内閣官房長官を新たに加えた関係5閣僚による「若者自立・挑戦戦略会議」において「若者自立・挑戦プランの強化の基本的方向」を取りまとめた。
今後、本年中に各府省が連携して各施策の具体化を進め、アクションプランを取りまとめることとしている。
なお、新たに講ずる施策の基本的方向として掲げられた項目は以下のとおりである。
1.学校段階からのキャリア教育の強化(ものづくり体験等)、専門的職業人の育成
2.フリーター・無業者に対する働く意欲の涵養、向上等
3.成長分野を支える人材育成の推進
4.企業内人材投資の促進
5.誰でもいつでも能力向上を行う機会の提供(草の根eラーニング・システムの導入)
6.国民各層が一体となって取り組む国民運動の推進

  

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