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■平成18年一般-第2問(労働経済)

次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、この問において、「16年調査」とは、厚生労働省「平成16年就労条件総合調査」のことであり、「17年調査」とは、厚生労働省「平成17年就労条件総合調査」のことである。


(A)17年調査によると、変形労働時間制を採用している企業割合は全体では56%である。そのうち1年単位の変形労働時間制を採用している企業割合が最も多く、それを企業規模別にみると、企業規模が小さくなるほど採用割合が高い。

(B)17年調査によると、深夜(午後10時から午前5時)の所定内労働を採用している企業割合は3割を超えており、内容としては、「交替制勤務の所定内深夜労働がある企業」よりも「交替制勤務以外の所定内深夜労働がある企業」の割合の方が多い。また、大企業ほど採用が多く、企業規模1,000人以上では6割を超えている。

(C)就業規則で所定内労働時間が、午後10時から午前5時までと定められている企業においては、午後10時から午前6時まで労働させた場合は、労働基準法第37条の規定により、使用者は7時間分の深夜業の割増賃金を支払うのはもとより、所定内労働時間を超えて労働させた1時間分について、時間外割増賃金を支払わなければならない。

(D)16年調査によると、過去3年間に賃金制度の改定を行った企業割合は4割に迫っており、企業規模1,000人以上の大企業では6割を超えているが、30〜99人規模の企業での改定は殆どみられない。改定内容で多いのは、「業績・成果に対応する賃金部分の拡大」や「職務遂行能力に対応する賃金部分の拡大」が2割前後を占めている。

(E)16年調査によると、個人業績を賃金に反映させる企業は過半数を超え、そのうち業績評価制度がある企業は6割を超えているが、業績評価制度がある企業における評価側の課題で多いのは、「仕事がチームワークによるため、個人の評価がしづらい」であり、「部門間の評価基準の調整が難しい」は少なかった。



■解説

(A)正解
平成17年就労条件総合調査
平成17年就労条件総合調査結果では、変形労働時間制を採用している企業数割合は55.7%と、前年(54.8%)に比べて0.9ポイント上昇した。これを種類別(複数回答)にみると「1年単位の変形労働時間制」が36.4%(同36.9%)、「1か月単位の変形労働時間制」が15.3%(同14.3%)、「フレックスタイム制」が6.8%(同5.9%)となっている。
企業規模別にみると、「1か月単位の変形労働時間制」及び「フレックスタイム制」は規模が大きくなるほど割合が高くなっているが、「1か月単位の変形労働時間制」は、企業規模が、30〜99人で37.3%、100〜299人で36.3%、300〜999人で30.6%、1,000人以上で24.4%と企業規模が小さくなるほど割合が高くなっている。
よって、問題文は正解である。

(B)誤り
平成17年就労条件総合調査
平成17年就労条件総合調査結果によると、深夜(午後10:00〜午前5:00)の所定内労働がある企業数割合は32.1%となっている。この内容(複数回答)をみると、「交替制勤務の所定内深夜労働がある企業」は22.7%、「交替制勤務以外の所定内深夜労働がある企業」は10.5%となっている。
よって、「「交替制勤務の所定内深夜労働がある企業」よりも「交替制勤務以外の所定内深夜労働がある企業」の割合の方が多い。」とした問題文は誤りである。
なお、所定内深夜労働がある企業を規模別にみると、30〜99人で27.2%、100〜299人で40.3%、300〜999人で48.2%、1,000人以上で62.5%と企業規模が大きくなるほど採用割合が高くなっている。

(C)誤り
労働基準法37条1項・3項
使用者が、午後10時から午前5時までの間(深夜業)において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないことになっているため、問題文の場合(午後10時から午前6時まで労働させた場合)、午後10時から午前5時までの7時間分の深夜業に対する割増賃金を支払う必要がある。
しかしながら、所定内労働時間を超えて労働させた午前5時から午前6時までの1時間分については、深夜業の割増賃金を支払う必要はなく、また、法定労働時間内の残業であるため、必ずしも割増賃金を支払う法令上の義務はない。
よって、「所定内労働時間を超えて労働させた1時間分について、時間外割増賃金を支払わなければならない」とした問題文は誤りである。
なお、問題文については、休憩時間について考慮していないため、解説でもその点については触れていない。

(D)誤り
平成16年就労条件総合調査
平成16年就労条件総合調査結果によると、平成13年から15年までの過去3年間に賃金制度の改定を行った企業数割合は38.4%となっている。これを企業規模別にみると、1,000人以上61.1%、300〜999人52.2%、100〜299人41.7%、30〜99人35.4%となっている。
これを改定項目別にみると、「業績・成果に対応する賃金部分の拡大」が20.7%と最も高く、次いで「職務遂行能力に対応する賃金部分の拡大」17.6%、「職務、職種などの仕事の内容に対応する賃金部分の拡大」15.5%、「職能資格制度の改定・導入」10.1%などとなっている。
よって、「30〜99人規模の企業での改定は殆どみられない」(35.4%となっているため)とした問題文は誤りである。

(E)誤り
平成16年就労条件総合調査
平成16年就労条件総合調査結果によると、個人業績を賃金に反映させる企業は、53.2%となっており、個人業績を賃金に反映させる企業で、業績評価制度がある企業数割合は62.8%となっている。
そして、個人業績を賃金に反映させる企業で、業績評価制度がある企業について、業績評価制度の評価側の課題をみると、「部門間の評価基準の調整が難しい」54.5%、「評価者の訓練が充分にできていない」50.5%、「格差がつけにくく中位の評価が多くなる」36.3%、「評価に手間や時間がかかる」24.5%、「仕事がチームワークによるため、個人の評価がしづらい」19.0%となっている。
よって、「業績評価制度がある企業における評価側の課題で多いのは、「仕事がチームワークによるため、個人の評価がしづらい」(19.0%)であり、「部門間の評価基準の調整が難しい」(54.5%)は少なかった」とした問題文は誤りである。

  

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