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■平成18年一般-第3問(労働経済)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。
なお、この問において、「調査」とは厚生労働省「平成16年労使コミュニケーション調査」のことであり、「基礎調査」とは、厚生労働省「平成17年労働組合基礎調査」のことである。


(A)調査によると、労使コミュニケーションの重要度について、事業所の9割近くが「重要」と回答しているが、労働組合の有無別では、労働組合「なし」の事業所に比べ「あり」の事業所の方が「重要」と考えている割合が高い。

(B)調査によると、労使間の意思疎通についての評価は、「非常に良い」と「やや良い」を合わせた『良好』とする割合は、事業所回答では6割を超え、労働者回答では4割を超え、両者の回答とも、「悪い」と「やや悪い」を合わせた『悪い』とする割合を大きく上回っている。また、重視する意思疎通事項として割合が高いのは、事業所回答では「職場の人間関係」、「日常業務改善」、「作業環境改善」の順になっているが、労働者回答では、「職場の人間関係」、「賃金、労働時間等労働条件」、「日常業務改善」の順になっている。

(C)調査によると、労使協議機関が「あり」とする事業所割合は4割弱で、企業規模が大きいほど設置割合は高くなっている。また、設置の根拠としては、「労働協約」とする割合が6割を超えて最も多いが、「就業規則」とする割合は4分の1程度となっている。

(D)労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる、と労働組合法に規定されている。

(E)基礎調査によると、平成17年6月30日現在の労働組合数や労働組合員数はともに前年に比べて減少し、推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は低下したものの20%にとどまった。



■解説

(A)正解
平成16年労使コミュニケーション調査
平成16年労使コミュニケーション調査結果によると、労使コミュニケーションの重要度別事業所割合をみると、「重要」と考えているが88.8%、「どちらともいえない」10.4%、「重要ではない」0.9%となっている。
労働組合の有無別では、労働組合「なし」の事業所に比べ、労働組合「あり」の事業所で「重要」と考えている割合が高くなっている。
よって問題文は正解となる。

(B)正解
平成16年労使コミュニケーション調査
平成16年労使コミュニケーション調査結果から労使間の意思疎通の評価をみると、「非常に良い」と「やや良い」を合わせた『良好』とする事業所割合は61.6%、「どちらともいえない」は31.6%、「やや悪い」と「非常に悪い」を合わせた『悪い』は6.7%となっており、事業所において従業員との円滑なコミュニケーションを実現する上で、どういう面での意思疎通を重視するかをみると、「職場の人間関係」とする割合は66.4%、「日常業務改善」63.1%、「作業環境改善」50.4%となっている。
また、労使コミュニケーションの良好度別労働者割合をみると、「非常に良い」と「やや良い」を合わせた『良好』は44.0%、「どちらともいえない」は40.1%、「やや悪い」と「非常に悪い」を合わせた『悪い』は15.9%となっており、労使の円滑なコミュニケーションを実現する上で、どういう面での意思疎通を重視するかをみると、「職場の人間関係」とする労働者割合が60.5%、「賃金、労働時間等労働条件」50.9%、「日常業務改善」41.0%となっている。
よって問題文は正解となる。

(C)正解
平成16年労使コミュニケーション調査
平成16年労使コミュニケーション調査結果によると、労使協議機関が「あり」とする事業所割合は37.3%となっており、企業規模が大きいほど労使協議機関の設置割合は高くなっている。また、設置の根拠は、「労働協約」60.4%、「就業規則」24.0%となっている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
労働組合法14条
労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずることになっている。
よって、問題文は正解となる。
なお、労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効となり、この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによるとされている。(規範的効力)
また、労働契約に定がない部分についても同様とされている。(法16条)

(E)誤り
平成17年労働組合基礎調査
平成17年労働組合基礎調査結果によると、平成17年6月30日現在における単位労働組合の労働組合数は61,178組合で、前年に比べ1,627組合減(2.6%減)となった。単一労働組合の労働組合員数は1,013万8千人で、前年に比べ17万1千人減(1.7%減)となり、11年連続の減少となった。
推定組織率は18.7%で、前年の19.2%に比べ0.5ポイントの低下となり、低下傾向が続いている。
よって、「推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は低下したものの20%にとどまった」とした問題文は誤りとなる。
なお、「推定組織率」とは、労働組合員数を、総務省統計局の「労働力調査」の雇用者数で除して得られた数値である。

  

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