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■平成18年一般-第5問(労働経済)

次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、この問において「調査」とは厚生労働省「平成16年派遣労働者実態調査」のことである。


(A)調査結果によると、派遣労働者を年齢階級別にみると、15〜34歳の若年層で6割を占め、派遣の種類別では男女計では登録型が6割を超えているが、性別では男性が常用雇用型が多く、女性では登録型が多い。

(B)調査結果によると、派遣先での残業の頻度は、「まったくない」と「1カ月以上に1回程度又はほとんどない」を合わせると7割を占める。この割合を男女別にみると、女性の方が多くなっている。

(C)調査結果によると、現在の派遣就業中の賃金(時間給換算額、以下同じ。)をみると、1,281円であるが、金額別では1,000円未満の労働者が19%、1,000〜1,500円未満の労働者が53%、1,500〜2,000円未満の労働者が21%、2,000円以上の労働者が3%を占めている。また、派遣業務別にみて賃金が2,000円以上になっているのは、「ソフトウェア開発」、「機械設計」及び「通訳、翻訳、速記」であり、1,000円未満となっているのは、「建築物清掃」と「介護」である。

(D)調査結果によると、派遣先に要望のある派遣労働者の割合は56%、要望内容では「正社員として雇用してほしい」が33%と最も多く、次いで「指揮命令系統を明確にしてほしい」、「派遣契約期間を長くしてほしい」の順となっている。 一方、派遣元に要望のある派遣労働者の割合は66%で、要望内容では「継続した仕事を確保してほしい」が62%と最も多く、次いで「賃金制度を改善してほしい」は34%となっている。

(E)個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律は、労働契約の存否その他の労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争について、当事者の申立てにより、事件を審理し、調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合には、審判による解決を図ることを目的とする。



■解説

(A)正解
平成16年派遣労働者実態調査
派遣労働者実態調査結果によると、派遣労働者を年齢階級別にみた場合、25〜29歳25.5%、30〜34歳24.5%、20〜24歳10.0%となっており、15〜34歳の若年層で60.8%を占めている。
また、派遣の種類をみると、登録型の者は61.6%、常用雇用型の者は38.4%となっており、これを性別にみると、男は登録型37.7%、常用雇用型62.3%と常用雇用型が多く、女は登録型75.8%、常用雇用型24.2%と登録型が多くなっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
平成16年派遣労働者実態調査
派遣労働者実態調査結果によると、派遣先における残業の頻度は、「まったくない」が13.9%で、「1カ月以上に1回程度又はほとんどない」が13.8%となっており、これらを合わせると27.7%となる。
よって、「7割を占める」とした問題文は誤りである。
なお、残業の頻度を男女別にみると、男性は「まったくない」が9.8%で、「1カ月以上に1回程度又はほとんどない」が7.0%で合わせて16.8%、女性は「まったくない」が16.3%で、「1カ月以上に1回程度又はほとんどない」が17.8%で合わせて34.1%となっており、女性のほうが多くなっている。

(C)誤り
平成16年派遣労働者実態調査
派遣労働者実態調査結果によると、派遣就業中の賃金(時間給換算額、以下同じ。)の平均賃金は、1,281円となっている。これを金額別にみると、「1,000円未満」19.2%、「1,000円〜1,500円未満」52.9%、「1,500円〜2,000円未満」21.2%、「2,000円以上」3.4%となっている。
また、主な派遣業務別に平均賃金をみると、「ソフトウェア開発」が1,711円と最も高く、次いで「機械設計」1,605円、「書籍等の制作・編集」1,533円、「通訳、翻訳、速記」1,516円、「研究開発」1,497円の順となっている。一方、低い順にみると、「建築物清掃」が978円、次いで「介護」983円、「医療関連業務」1,033円、「販売」1,097円、「物の製造」1,100円の順となっている。
よって、「ソフトウェア開発」、「機械設計」及び「通訳、翻訳、速記」の平均賃金は2,000円以上となっておらず、問題文は誤りとなる。

(D)誤り
平成16年派遣労働者実態調査
派遣労働者実態調査結果によると、派遣先への要望のある派遣労働者の割合は、55.6%となっている。このうち、要望の内容(3つまでの複数回答)をみると「正社員として雇用してほしい」が33.0%と最も多く、次いで「指揮命令系統を明確にしてほしい」24.7%、「派遣契約期間を長くしてほしい」22.9%の順となっている。
また、派遣元への要望のある派遣労働者の割合は66.4%となっている。このうち、要望の内容(3つまでの複数回答)をみると「賃金制度を改善してほしい」が61.6%と最も多く、次いで「継続した仕事を確保してほしい」33.5%の順となっている。
よって、派遣元への要望内容として、「「継続した仕事を確保してほしい」が62%と最も多く、次いで「賃金制度を改善してほしい」は34%となっている。」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
個別労働関係紛争解決促進法1条
個別労働関係紛争解決促進法の目的は、「この法律は、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。以下「個別労働関係紛争」という。)について、あっせんの制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする」と規定されている。
よって、問題文は誤りである。
なお、問題文の記述は、労働審判法の目的(法1条)の内容である。

  

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