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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成19年一般-第1問(次世代育成支援対策推進法)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成19年一般-第1問(次世代育成支援対策推進法)

次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、この問において、「次世代法」とは「次世代育成支援対策推進法」のことである。


(A)次世代法は平成15年7月16日に公布され、平成19年4月1日から施行されている。

(B)次世代法第 条には、次世代法の基本理念として、「母が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。」と規定されている。

(C)次世代法第5条において、事業主の責務が定められているが、それによると、「事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者に係る多様な労働条件の整備その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行うことにより自ら次世代育成支援対策を実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない。」と規定されている。

(D)次世代法によれば、国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が100人以上のものは、一般事業主行動計画の策定が義務付けられており、100人未満のものは一般事業主行動計画の策定が努力義務となっている。
また、一般事業主行動計画には、計画期間、達成しようとする目標、実施内容と実施時期を定める必要がある。なお、常時雇用する労働者の数が100人以上の一般事業主が、一般事業主行動計画を策定し厚生労働大臣にその旨を届け出ない場合には、反則金が課される。(一部改正)

(E)次世代法第7条第1項の規定において、都道府県が策定する都道府県行動計画においては、職業生活と家庭生活との両立の推進のために、男性を含めたすべての人が、仕事時間と生活時間のバランスがとれる多様な働き方を選択できるようにすべきとしており、また、一般事業主行動計画においては、働き方の見直しに資する多様な労働条件を整備する中で、例えば、所定外労働時間の削減を図るために、「ノー残業デー」や「ノー残業ウィーク」の導入・拡充、フレックスタイム制や変形労働時間の活用など具体的な対策を計画期間中に導入することを義務付けている。



■解説

(A)誤り
次世代法附則1条
次世代育成支援対策推進法は、一部を除き公布の日(平成15年7月16日)から施行されている。
よって、「平成19年4月1日から施行されている」とした問題文は誤りとなる。
なお、次世代育成支援対策推進法は、平成27年3月31日限りで効力を失うことになっている。(附則2条)

(B)誤り
次世代法3条
次世代育成支援対策推進法の基本理念は、「次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行われなければならない。」とされている。
よって、「母が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
次世代法5条
次世代育成支援対策推進法5条に事業主の責務としては、「事業主は、基本理念にのっとり、その雇用する労働者に係る多様な労働条件の整備その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行うことにより自ら次世代育成支援対策を実施するよう努めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない。」と規定されている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
次世代法12条
国及び地方公共団体以外の事業主(以下「一般事業主」という。)であって、常時雇用する労働者の数が100人を超えるものは、一般事業主行動計画を策定することが義務付けられている。(義務に違反しても反則金は課されない。)一方、一般事業主であって、常時雇用する労働者の数が100人以下のものは、一般事業主行動計画の策定が努力義務とされている。
なお、一般事業主行動計画においては、次の事項を定めるものとされている。
(1)計画期間
(2)次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
(3)実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期
よって、一般事業主行動計画の策定が義務付けられているのが「常時100人以上の労働者を雇用する一般事業主」(正解は常時100人を超える場合)とし、一般事業主行動計画の策定が努力義務とされているのが「常時100人未満の労働者を雇用する一般事業主」(正解は常時100人以下の場合)とした点、そして「常時雇用する労働者の数が100人以上の一般事業主が、一般事業主行動計画を策定し厚生労働大臣にその旨を届け出ない場合には、反則金が課される」とした点から問題文は誤りとなる。

(E)誤り
次世代法7条1項、行動計画策定指針
主務大臣は、次世代育成支援対策の総合的かつ効果的な推進を図るため、基本理念にのっとり、市町村行動計画等の策定に関する指針(行動計画策定指針)を定めなければならないとされている(次世代法7条1項)が、その指針において、都道府県が策定する都道府県行動計画においては、職業生活と家庭生活との両立の推進のために、男性を含めたすべての人が、仕事時間と生活時間のバランスがとれる多様な働き方を選択できるようにするとともに、「働き方の見直し」を進めることが必要であるとしている。
よって、問題文の前半部分の記述は正しい。
しかしながら、一般事業主行動計画の策定に当たっては、次世代育成支援対策として重要なものと考えられる次のような事項を踏まえ、各企業の実情に応じて、必要な事項をその内容に盛り込むことが望ましいとしている。
(1)雇用環境の整備に関する事項
(2)その他の次世代育成支援対策に関する事項
そして、「雇用環境の整備に関する事項」のうち「働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備」として「所定外労働は、本来、例外的な場合にのみ行われるものであるという認識を深め、ノー残業デーやノー残業ウィークの導入・拡充、フレックスタイム制や変形労働時間制の活用、時間外労働協定における延長時間の短縮等、所定外労働を削減するための方策を検討し、実施する。企業内に安易に残業するという意識がある場合には、それを改善するための意識啓発等の取組を行う。」と示している。
よって、「具体的な対策を計画期間中に導入することを義務付けている」とした問題文後半の記述は誤りとなる。

  

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