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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成20年一般-第1問(労働経済)
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■平成20年一般-第1問(労働経済)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、「基礎調査結果」とは「平成19年労働組合基礎調査結果の概要」のことである。

(A)総務省「労働力調査詳細集計(速報)平成19年平均結果の概要」によれば、雇用者(役員を除く。)は5,174万人(対平成15年比226万人増)となった。これを雇用の形態別にみると、「正規の職員・従業員」が減少する一方、「パート・アルバイト」、「労働者派遣事業所の派遣社員」、「契約社員・嘱託」等の「非正規の職員・従業員」の増加が著しい。

(B)基礎調査結果によれば、平成19年6月30日現在における労働組合の推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は、18.1%と初めて20%を下回った。一方、単位労働組合のパートタイム労働者の労働組合員数は、対前年比で14.2%増と増加する傾向にあるが、その推定組織率(パートタイム労働者の労働組合員数を短時間雇用者数で除して得られた数値)は4.8%と低下する傾向にある。

(C)基礎調査結果によれば、産業別組織を通じて加盟している労働組合員数(単一労働組合)を、主要団体別に全労働組合員数に占める割合でみると、連合(日本労働組合総連合会)が65.7%、全労連(全国労働組合総連合)が6.8%、全労協(全国労働組合連絡協議会)が1.3%となっている。

(D)厚生労働省「平成19年就労条件総合調査結果の概要」によれば、業績評価制度がある企業の割合は45.6%であり、業績評価制度がある企業のうち、業績評価制度をどのように評価しているかをみると、「うまくいっている」、「うまくいっているが、一部手直しが必要」、「改善すべき点がかなりある」、「うまくいっていない」のうち、「うまくいっているが、一部手直しが必要」が約5割で最も多くなっている。

(E)厚生労働省「平成19年版労働経済白書」によれば、1990年代半ば以降、正規雇用割合が大きく低下し、労働組合の推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)の低下に拍車がかかり、さらに、業績・成果主義的な賃金制度が導入され、労働関係の個別化が進展しており、経済成長と労働生産性の上昇を労働条件の改善につなげる従来のメカニズムは働きにくくなり、2000年代に入ると、労働生産性は高まったにもかかわらず、賃上げや時短の動きはともに停滞している、としている。



■解説

(A)正解
労働力調査詳細集計(速報)平成19年平均結果の概要
平成19年の雇用者(役員を除く)は、5,174万人で、平成15年は4,948万人であったため平成15年と対比すると226万人増となった。
雇用形態別でみると、「正規の職員・従業員」が平成19年3,441万人で、平成15年3,444万人であるため平成15年と対比すると減少傾向にある一方、「非正規の職員・従業員」は平成19年1,732万人で、平成15年1,504万人であるため平成15年と対比すると増加している。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
平成19年労働組合基礎調査結果の概要
平成19年6月30日現在における労働組合の推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は18.1%であった。過去5年間の推定組織率は、平成14年20.2%、平成15年19.6%、平成16年19.2%、平成17年18.7%、平成18年18.2%であり、初めて20%を下回ったのは平成15年であった。
一方、労働組合員数(単位労働組合)のうちパートタイム労働者についてみると、平成19年は58万8千人と前年に比べて14.2%増加し、全労働組合員数に占める割合は5.9%、推定組織率(パートタイム労働者の労働組合員数を短時間雇用者数で除して得られた数値)は4.8%となっている。過去4年間の推定組織率は、平成15年3.0%、平成16年3.3%、平成17年3.3%、平成18年4.3%となっており増加する傾向にある。
よって、労働組合の推定組織率が平成19年に「初めて20%を下回った。」とした点、パートタイム労働者の推定組織率が「低下する傾向にある」とした点から問題文は誤りとなる。

(C)正解
平成19年労働組合基礎調査結果
主要団体別に、産業別組織を通じて加盟している労働組合員数(単一労働組合)を、主要団体別に全労働組合員数に占める割合でみると、連合(日本労働組合総連合会)65.7%、全労連(全国労働組合総連合)6.8%、全労協(全国労働組合連絡協議会)1.3%、金属労協(全日本金属産業労働組合協議会)19.8%、化学エネルギー鉱山労協(日本化学エネルギー鉱山労働組合協議会)4.9%、交運労協(全日本交通運輸産業労働組合協議会)6.3%、公務労協(公務公共サービス労働組合協議会)15.9%となっている。
よって、問題は正解となる。

(D)正解
平成19年就労条件総合調査結果
平成19年就労条件総合調査結果の概要によれば、業績評価制度がある企業数割合は、45.6%となっている。
業績評価制度がある企業について、業績評価制度をどのように評価しているかをみると、「うまくいっている」とする企業数割合が20.0%、「うまくいっているが、一部手直しが必要」49.0%、「改善すべき点がかなりある」24.0%、「うまくいっていない」0.6%となっている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
平成19年版労働経済白書240ページ
平成19年版労働経済白書のまとめ、「我が国社会の変化と求められる成果配分の見直し」では、「1990年代半ば以降、正規雇用割合が大きく低下し、労働組合組織率の低下に拍車がかかり、さらに、業績・成果主義的な賃金制度が導入され、労働関係の個別化が進展している。経済成長と労働生産性の上昇を労働条件の改善につなげる従来のメカニズムは働きにくくなり、2000年代に入ると、労働生産性は高まったにもかかわらず、賃上げ、時短の動きはともに停滞している。」との記述がなされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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