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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成20年一般-第3問(パートタイム労働法等)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年一般-第3問(パートタイム労働法等)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、「パートタイム労働法」とは「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」のことである。

(A)厚生労働省「平成18年パートタイム労働者総合実態調査」によれば、パート(正社員以外の労働者でパートタイマー、アルバイト、準社員、嘱託、臨時社員などの名称にかかわらず週の所定労働時間が正社員よりも短い労働者をいう。以下「パート」という。)を雇用している事業所の雇用理由(複数回答)をみると、「人件費が割安なため(労務コストの効率化)」が最も多く、次いで「1日の忙しい時間帯に対処するため」、「簡単な仕事内容のため」の順となっている。また、パートの雇用理由を「人件費が割安なため」とする事業所について、特に割安だと思う内容(3つまでの複数回答)の割合をみると、「賃金」とする割合が最も多く、次いで「賞与」、「退職金」の順となっている。

(B)厚生労働省「平成19年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況」によれば、「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」との賃金についての雇用形態間格差を企業規模別にみると、大企業の方が小企業に比べ、当該格差が大きくなっている。

(C)パートタイム労働法第8条第1項によれば、事業主は、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者であって、当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているもののうち、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いが禁止されている。

(D)パートタイム労働法第9条第2項によれば、賃金について、事業主は、雇用する短時間労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等が、通常の労働者と同視すべき場合には、賃金(通勤手当及び退職手当を除く。)を通常の労働者と同一の方法により決定しなければならないと定められている。

(E)パートタイム労働法第12条第1項によれば、事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、同項第1号から第3号までに定められた措置のうちいずれかの措置を講じなければならないこととなったが、第1号においては、「通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること」と定められている。



■解説

(A)正解
平成18年パートタイム労働者総合実態調査
平成18年パートタイム労働者総合実態調査によると、パート等労働者を雇用している事業所の雇用理由(複数回答)をみると、「人件費が割安なため(労務コストの効率化)」が71.0%と最も多く、次いで「1日の忙しい時間帯に対処するため」39.5%、「簡単な仕事内容のため」36.3%の順となっている。また、雇用理由を「人件費が割安なため」とする事業所について、特に割安だと思う内容(3つまでの複数回答)の割合をみると、「賃金」とする割合が最も多く70.5%、次いで「賞与」が63.5%、「退職金」が47.9%となっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
平成19年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況
平成19年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況によると、正社員・正職員の賃金を100とした雇用形態間格差をみると、企業規模別では、大企業が54、中企業62、小企業67となっており、大企業の方が小企業に比べ、当該格差が大きくなっている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
パートタイム労働法8条1項
事業主は、職務の内容、退職までの長期的な人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者であって、期間の定めのない労働契約を締結している者については、賃金の決定をはじめ教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由として差別的取扱いをしてはならないとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)誤り
パートタイム労働法9条2項
パートタイム労働者の賃金のうち、基本給、賞与、役付手当など職務の内容に密接に関連する賃金(職務関連賃金)の決定方法について、事業主は、通常の労働者との均衡を考慮し、パートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを勘案して賃金を決定することが努力義務とされている。
さらに、通常の労働者と比較して、パートタイム労働者の職務の内容と一定の期間の人材活用の仕組みや運用などが同じ場合は、その期間について、賃金を通常の労働者と同一の方法で決定することが努力義務とされている。
よって、「決定しなければならないと定められている」と義務規定と記述した問題文は誤りとなる。
なお、この規定は、通常の労働者とパートタイム労働者とで職務の内容と人材活用の仕組みや運用などが同じであれば、単位当たりの仕事の対価は同じであるべきという理念を表したものとされている。

(E)正解
パートタイム労働法12条1項
事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次のいずれかの措置を講じなければならないとされている。
(1)通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。
(2)通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。
(3)一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。
よって、問題文は正解となる。

  

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