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■平成21年一般-第1問(労働経済)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)平成19年12月、政労使の代表者からなる、政府の「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が取りまとめられた。

(B)「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」において、仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民1人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」である、とされている。

(C)「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、仕事と生活の調和した社会の実現に向けた企業、働く者、国民、国及び地方公共団体の取組を推進するため、政策によって一定の影響を及ぼすことができる項目について数値目標が設けられており、例えば、2017年の目標として、年次有給休暇取得率については完全取得、男性の育児休業取得率については10%となっている。

(D)平成20年3月1日から施行されている労働契約法において、労働契約の原則が第3条に規定されているが、同条第3項において、「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。」とされている。

(E)平成20年4月1日から施行されている改正労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第4条第1項の規定に基づき、厚生労働大臣は事業主等に対して、労働時間等の設定の改善に関し、適切に対処するために必要な事項について改善命令を発することができるようになった。



■解説

(A)正解
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(平成19年12月18日決定)
ワーク・ライフ・バランスの実現とは、国民一人ひとりが、仕事だけでなく家庭や地域生活などにおいても、ライフステージに応じた自らの望む生き方を手にすることができる社会を目指すものであり、労働力確保等を通じた我が国社会経済の長期的安定の実現や持続可能性の確保にとって大変重要な課題である。
そこで、官民が一体となって、ワーク・ライフ・バランスの実現に取り組むため、経済界、労働界、地方の代表者、関係会議の有識者から構成される「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」を開催し、ワーク・ライフ・バランス実現のための憲章及び行動指針の策定・推進を図ることとされ、平成19年12月18日、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定された。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」
仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」とされており、具体的には、@就労による経済的自立が可能な社会、A健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、B多様な働き方・生き方が選択できる社会とされている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
「仕事と生活の調和推進のための行動指針」
「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、仕事と生活の調和した社会の実現に向けた企業、働く者、国民、国及び地方公共団体の取組を推進するため、政策によって一定の影響を及ぼすことができる項目について数値目標が設けられている。
行動指針に掲げる目標の例としては、2017年までに、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を半減、年次有給休暇取得率を完全取得、第1子出産前後の女性の継続就業率を55%、女性の育児休業取得率を80%、男性の育児休業取得率を10%、男性の育児・家事時間(6歳未満児のいる家庭)を2.5時間/日とすることとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
労働契約法3条3項
労働契約法3条において労働契約の原則が次のように規定されている。
(1)労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
(2)労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
(3)労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
(4)労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
(5)労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
よって問題文は正解となる。

(E)誤り
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法4条1項
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法4条1項において、厚生労働大臣は、第2条(事業主等の責務)に定める事項に関し、事業主及びその団体が適切に対処するために必要な指針(労働時間等設定改善指針)を定めるものとされているが、「事業主等に対して、労働時間等の設定の改善に関し、適切に対処するために必要な事項について改善命令を発することができる」とは規定されていない。
よって、問題文は誤りとなる。
なお、同法5条においては、「厚生労働大臣は、労働時間等の設定の改善のための事業主の取組の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、関係団体に対し、労働時間等の設定の改善に関する事項について、必要な要請をすることができる。」と規定されているが、「必要事項について改善命令を発することができる」とする規定はない。

  

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