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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成22年一般-第7問(医療保険の沿革)

わが国の医療保険の沿革に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)船員保険法は、大正14年に制定され、翌年から施行された。同法に基づく船員保険制度は船員のみを対象とし、年金等給付を含む総合保険であるが、健康保険に相当する疾病給付は対象としていなかった。

(B)健康保険の被保険者が定年等で退職するとその多くが国民健康保険の被保険者となるが、そのうちの厚生年金保険等の被用者年金の老齢(退職)給付を受けられる人とその家族を対象とした退職者医療制度が昭和49年の健康保険法等改正により国民健康保険制度のなかに設けられた。

(C)健康保険制度は、長年にわたり健康保険組合が管理運営する組合管掌健康保険と政府が管理運営する政府管掌健康保険(政管健保)に分かれていた。しかし、平成8年可決成立した健康保険法等の一部を改正する法律により、平成10年10月からは、後者は国とは切り離された全国健康保険協会が保険者となり、都道府県単位の財政運営を基本とすることとなった。

(D)職員健康保険法は、昭和9年に制定された。同法に基づく職員健康保険制度は工場労働者を対象とする既存の健康保険制度とは別個の制度として、俸給生活者を対象につくられたが、5年後の昭和14年には健康保険に統合された。

(E)従来の老人保健法が全面改正され、平成18年6月から「高齢者の医療の確保に関する法律」と改称されたが、この新法に基づき後期高齢者医療制度が独立した医療制度として平成20年4月から発足した。



■解説

(A)誤り
船員保険法は昭和14年4月6日に制定され、翌昭和15年6月1日に全面施行された。船員保険は医療・年金等を含む総合保険として発足した。
よって、「大正14年に制定され、翌年から施行」、「健康保険に相当する疾病給付は対象としていなかった」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
健康保険の被保険者などが定年などで退職すると、その多くが国民健康保険の被保険者となるが、そのうち厚生年金保険など被用者年金の老齢(退職)年金の給付を受けることができる人とその家族が退職被保険者等として退職者医療を受けることができる退職者医療制度が創設されたのは、昭和59年10月1日である。
よって、「昭和49年」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
平成18年に可決成立した健康保険法等の一部を改正する法律により、平成20年10月からは、政府管掌健康保険は国とは切り離された全国健康保険協会が保険者となり、都道府県単位の財政運営を基本とすることとなった。
よって、「平成8年可決成立した健康保険法等の一部を改正する法律により、平成10年10月から」とした問題文は誤りとなる。

(D)誤り
職員健康保険法は、昭和14年に制定され、3年後の昭和17年に健康保険に統合された。
よって、「職員健康保険法は、昭和9年に制定」、「5年後の昭和14年には健康保険に統合」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
平成18年6月に公布された「健康保険法等の一部を改正する法律」において、新たな高齢者医療制度が創設され、平成20年4月から老人保健法の全面改正として、「高齢者の医療の確保に関する法律」(「老人保健法」を改称)が改正施行され、独立した医療制度として後期高齢者医療制度が発足した。
よって、「平成18年6月から「高齢者の医療の確保に関する法律」と改称された」とした問題文は誤りとなる。

※本問については、正しい選択肢を択一すべきところ、該当する選択肢がなかったため、採点に当たっては、全員正解として採点する旨、社会保険労務士試験センターから発表があった。

  

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