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■平成24年一般-第4問(職業能力開発)

職業能力開発に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、本問は、「平成23年度能力開発基本調査(厚生労働省)」を参照しており、当該調査における用語及び統計等を使用している。


(A)能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所の割合は約7割であり、問題点の内容としては、「指導する人材が不足している」、「人材育成を行う時間がない」、「人材を育成しても辞めてしまう」が上位3つを占めている。

(B)正社員の自己啓発に対して「支援を行っている」事業所の割合は約8割であり、支援内容としては、「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供」、「社内での自主的な勉強会等に対する援助」、「就業時間の配慮」が上位3つを占めている。

(C)キャリア・コンサルティング制度は、近年徐々に普及し、約5割の事業所がこの制度を持つようになっているが、制度を導入しておらず、かつ、導入を予定していない事業所にその理由をたずねると、「制度を知らない」、「労働者から制度導入の要望がない」、「制度導入のメリットを感じない」が上位3つを占めている。

(D)職業能力評価を行っている事業所の割合は2年連続で減少しているが、評価結果の活用方法としては、「人材の採用」、「人材戦略・計画の策定」、「技能継承のための手段」が上位3つを占めている。

(E)団塊の世代の退職等により発生する技能継承に問題があるとする事業所の割合は約7割に上っており、この問題への取組として、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、再雇用し、指導者として活用している」、「中途採用を増やしている」、「事業所外への外注を活用している」が上位3つを占めている。



■解説

(A)正解
平成23年度能力開発基本調査
能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は67.8%(前回67.5%)となっている。問題点の内容( 複数回答) は、「指導する人材が不足している」(51.7%(前回48.1%))が最も高く、以下、「人材育成を行う時間がない」(44.7%(前回46.6%))、「人材を育成しても辞めてしまう」(37.1%(前回35.8%))、「鍛えがいのある人材が集まらない」(29.5%(前回27.4%))、「育成を行うための金銭的余裕がない」(22.6%(前回26.3%))と続いている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
平成23年度能力開発基本調査
正社員の自己啓発に対して「支援している」事業所割合は66.7%(前回62.2%)となっている。産業別に見ると、複合サービス事業(97.6%)、電気・ガス・熱供給・水道業(95.3%)、金融業・保険業(88.5%)などで高く、宿泊業・飲食サービス業(52.5%)、生活関連サービス業・娯楽業(58.5%)、教育・学習支援業(59.2%)などで低くなっている。企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど自己啓発への支援を行っている割合が高い。とりわけ「100〜299人」の企業で60%台、「300〜999人」の企業で70%台、1000人以上の企業で80%台と100人以上の企業で高い水準にある。支援の内容(複数回答)は、「受講料などの金銭的援助」が80.7%(前回82.9%)と最も高く、以下、「教育訓練機関、通信教育等に関する情報提供」(43.9%(前回45.4%))、「社内での自主的な勉強会等に対する援助」(42.0%(前回41.2%))と続いている。
よって、問題文の記述は誤りとなる。

(C)誤り
平成23年度能力開発基本調査
キャリア・コンサルティング制度を導入している事業所は4.5%(前回4.9%)に留まっている。産業別に見ると、電気・ガス・熱供給・水道業(22.1%)、金融業・保険業(14.9%)が高い。企業規模別に見ると、1,000人以上が7.3%と最も高くなっている。
キャリア・コンサルティング制度を導入していない理由(複数回答)は、「当該制度を知らない」が41.8%(前回44.3%)と最も高く、「労働者からの制度導入の要望(27.5%)」、「制度導入のメリットを感じない(25.4%)」が続いている。
よって、問題文の記述は誤りとなる。

(D)誤り
平成23年度能力開発基本調査
職業能力評価を行っている事業所は68.2%(前回65.3%)となり過去最高の導入状況である。産業別に見ると、複合サービス事業(96.3%)、金融業・保険業(84.1%)、電気・ガス・熱供給・水道業(83.2%)などで高く、運輸業・郵便業(57.8%)で低くなっている。企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど実施率が高く、とりわけ「100〜299人」の企業で60%台、「300〜999人」の企業で70%台、1000人以上の企業で80%台と100人以上の企業で高い水準にある。職業能力評価の活用方法(複数回答)は、「人事考課の判断基準」(89.5%(前回88.8%))が最も高く、以下、「人材配置の適正化」(61.6%(前回63.0%))、「労働者に必要な能力開発の目標」(42.6%(前回40.9%))と続いている。
よって、問題文の記述は誤りとなる。

(E)誤り
平成23年度能力開発基本調査
団塊の世代の退職等により発生する技能継承に問題がある事業所は28.2%(前回27.4%)となっている。産業別に見ると、電気・ガス・熱供給・水道業(65.8%)、製造業(49.1%)、建設業(48.7%)、学術研究、専門・技術サービス業(42.8%)で高く、生活関連サービス業、娯楽業(10.7%)、宿泊業、飲食サービス業(13.3%)などでは低くなっている。
技能継承の問題に対して取り組みを行っている事業所は78.0%(前回78.8%)となっている。取り組みの内容(複数回答) は、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、再雇用し、指導者として活用している」が61.2%(前回63.1%)と最も高くなっている。その他では、「中途採用を増やしている」(28.9%( 前回29.8%))、「技能継承のための特別な教育訓練により、若年・中堅層に対する技能等伝承している」(21.1%(前回20.3%))と続いている。
よって、問題文の記述は誤りとなる。

  

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