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労働契約法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (A)労働契約法第3条第2項では、労働契約は就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきとしているが、これには、就業の実態が異なるいわゆる正社員と多様な正社員の間の均衡は含まれない。 (B)労働契約の基本的な理念及び労働契約に共通する原則を規定する労働契約法第3条のうち、第3項は様々な雇用形態や就業実態を広く対象とする「仕事と生活の調和への配慮の原則」を規定していることから、いわゆる正社員と多様な正社員との間の転換にも、かかる原則は及ぶ。 (C)労働契約法第4条は、労働契約の内容はできるだけ書面で確認するものとされているが、勤務地、職務、勤務時間の限定についても、この確認事項に含まれる。 (D)裁判例では、労働者の能力不足による解雇について、能力不足を理由に直ちに解雇することは認められるわけではなく、高度な専門性を伴わない職務限定では、改善の機会を与えるための警告に加え、教育訓練、配置転換、降格等が必要とされる傾向がみられる。 (E)労働契約法第7条にいう就業規則の「周知」とは、労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知り得るようにしておくことをいい、労働基準法第106条の定める「周知」の方法に限定されるものではない。
(A)誤り 労働契約法3条2項、平成26年7月30日基発0730第1号 労働契約法第3条第2項では、労働契約は就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきとしているが、これには、いわゆる正社員と多様な正社員の間の均衡も含まれる。同項を踏まえて、多様な正社員についていわゆる正社員との均衡を図ることが望ましいとされている。 よって、「均衡は含まれない。」とした問題文は誤りとなる。 (B)正解 労働契約法3条3項、平成26年7月30日基発0730第1号 労働契約法第3条第3項では、労働契約は労働者及び使用者が仕事と生活の調和に配慮しつつ締結し、又は変更すべきものであることを規定しており、これには転換制度も含まれる。同項を踏まえて転換できるようにすることが望ましいとされている。 そして、労働契約の基本的な理念及び労働契約に共通する原則を規定する労働契約法第3条のうち、第3項は様々な雇用形態や就業実態を広く対象とする「仕事と生活の調和への配慮の原則」を規定していることから、いわゆる正社員と多様な正社員との間の転換にも、かかる原則は及ぶものであることに留意が必要であるとされている。 よって、問題文は正解となる。 (C)正解 労働契約法4条、平成26年7月30日基発0730第1号 労働契約法第4条では、労働契約の内容はできるだけ書面で確認するものとされており、勤務地、職務、勤務時間の限定についても、この確認する事項に含まれるものとされている。 また、使用者と労働者の間で勤務地、職務又は労働時間に限定がある労働契約を締結する場合のほか、いわゆる正社員と勤務地、職務又は労働時間が限定された正社員との間で転換が行われる場合も、労働契約法第4条第2項による書面による確認に含まれるものであることに留意が必要であるとされている。 よって、問題文は正解となる。 (D)正解 平成26年7月30日基発0730第1号 能力不足解雇について、能力不足を理由に直ちに解雇することは認められるわけではなく、高度な専門性を伴わない職務限定では、改善の機会を与えるための警告に加え、教育訓練、配置転換、降格等が必要とされる傾向がみられる。他方、高度な専門性を伴う職務限定では、警告は必要とされるが、教育訓練、配置転換、降格等が必要とされない場合もみられるとされている。 そして、多様な正社員の能力不足解雇をめぐる個別労働関係紛争を未然に防止する観点から、使用者は、改善の機会を与えるために警告を行うとともに、可能な範囲で教育訓練、配置転換、降格等を行うことにより解雇を回避できないか留意することが必要であることとされている。 よって、問題文は正解となる。 (E)正解 労働契約法7条、平成24年8月10日基発0810第2号 労働契約法第7条の「周知」とは、例えば、 @常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること A書面を労働者に交付すること B磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること 等の方法により、労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知り得るようにしておくことをいうものであることとされている。 このように周知させていた場合には、労働者が実際に就業規則の存在や内容を知っているか否かにかかわらず、労働契約法第7条の「周知させていた」に該当するものであることとされている。 よって、問題文は正解となる。 なお、労働基準法第106条の「周知」は、労働基準法施行規則第52条の2により、@からBまでのいずれかの方法によるべきこととされているが、労働契約法第7条の「周知」は、これらの3方法に限定されるものではなく、実質的に判断されるものであるとされている。 |
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