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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成27年一般-第9問(社会保障全般)
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■平成27年一般-第9問(社会保障全般)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は平成26年版厚生労働白書を参照している。

(A)社会保障と税の一体改革では、年金、高齢者医療、介護といった「高齢者三経費」に消費税増収分の全てを充てることが消費税法等に明記された。

(B)社会保障制度改革国民会議において取りまとめられた報告書等を踏まえ、社会保障制度改革の全体像及び進め方を明らかにするための「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」が平成25年12月に成立・施行(一部の規定を除く。)された。この法律では、講ずべき社会保障制度改革の措置等として、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、医療制度、介護保険制度等の改革について、@改革の検討項目、A改革の実施時期と関連法案の国会提出時期の目途を明らかにしている。

(C)国民健康保険及び後期高齢者医療の保険料(税)は、被保険者の負担能力に応じて賦課される応能分と、受益に応じて等しく被保険者に賦課される応益分から構成され、世帯の所得が一定額以下の場合には、応益分保険料(税)の7割、5割又は2割を軽減している。低所得者の保険料(税)負担を軽減するため、平成26年度の保険料(税)から、5割軽減と2割軽減の対象世帯を拡大することとした。

(D)年金制度では、少なくとも5年に一度、将来の人口や経済の前提を設定した上で、長期的な年金財政の見通しを作成し、給付と負担の均衡が図られているかどうかの確認である「財政検証」を行っている。平成16年改正以前は、給付に必要な保険料を再計算していたが、平成16年改正により、保険料水準を固定し、給付水準の自動調整を図る仕組みの下で年金財政の健全性を検証する現在の財政検証へ転換した。

(E)日本の高齢化率(人口に対する65歳以上人口の占める割合)は、昭和45年に7%を超えて、いわゆる高齢化社会となったが、その後の急速な少子高齢化の進展により、平成25年9月にはついに25%を超える状況となった。



■解説

(A)誤り
平成26年版厚生労働白書
急速な少子高齢化の進展等により、前述のとおり社会保障費の増加が避けられない状況にあることを踏まえ、社会保障の安定財源の確保と財政健全化の同時達成に向け、税制抜本改革法に沿って、2014(平成26)年4月には消費税率が8%へ引き上げられることとなった。また、1999(平成11)年以降、消費税収(国分)については、各政府の予算総則において年金、高齢者医療、介護といった「高齢者三経費」に充てることとされていたが、今回の改革では、子育てや現役世代の医療を加えた「社会保障四経費」に消費税増収分の全てを充てることが消費税法等に明記された。
よって、問題文は誤りとなる。

(B)正解
平成26年版厚生労働白書
社会保障制度改革国民会議において取りまとめられた報告書等を踏まえ、社会保障制度改革の全体像及び進め方を明らかにするための「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」が2013(平成25)年10月に国会に提出され、同年12月に成立・施行された。
この法律では、講ずべき社会保障制度改革の措置等として、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、医療制度、介護保険制度等の改革について、@改革の検討項目、A改革の実施時期と関連法案の国会提出時期の目途を明らかにしている。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
平成26年版厚生労働白書
国民健康保険及び後期高齢者医療の保険料(税)は、被保険者の負担能力に応じて賦課される応能分と、受益に応じて等しく被保険者に賦課される応益分から構成され、世帯の所得が一定額以下の場合には、応益分保険料(税)の7割、5割又は2割を軽減している。
低所得者の保険料(税)負担を軽減するため、2014(平成26)年度の保険料(税)から、5割軽減と2割軽減の対象世帯を拡大することとした。
また、高齢化の進展等により医療給付費等が増加する一方で、被保険者の所得が伸びない状況において、高所得層により多く負担いただき、中間所得層の被保険者に配慮した保険料(税)設定を可能とするため、国民健康保険及び後期高齢者医療において、同年度分の保険料(税)から、賦課限度額を引き上げることとした。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
平成26年版厚生労働白書
年金制度では、少なくとも5年に1度、将来の人口や経済の前提を設定した上で、長期的な年金財政の見通しを作成し、給付と負担の均衡が図られているかどうかの確認である「財政検証」を行っている。2004(平成16)年改正以前は、給付に必要な保険料を再計算していたが(「財政再計算」と呼ぶ)、2004年改正により、保険料水準を固定し、給付水準の自動調整を図る仕組みの下で年金財政の健全性を検証する現在の財政検証へ転換した。
2014(平成26)年にも財政検証が行われることとなるが、経済前提については、社会保障審議会年金部会の下の経済、金融の専門家からなる専門委員会における議論を経て設定した。平成21年財政検証では3通りの経済前提を設定したが、今回は幅を広げて8通りのケースを設定することとした。また、平成26年財政検証では、社会保障制度改革国民会議の報告書やプログラム法に明記された年金制度の課題の検討に資するような検証作業(オプション試算)を行うこととされていることから、「保険料拠出期間と年金を受給する年齢について様々なヴァリエーションを設定した場合」等、さまざまなオプションを設定して財政検証を行うこととしている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
平成26年版厚生労働白書
日本の高齢化率(人口に対する65歳以上人口の占める割合)は、1970(昭和45)年に75%を超えて、いわゆる高齢化社会となったが、その後の急速な少子高齢化の進展により、2013(平成25)年9月にはついに25%を超える状況となった。家族形態を見ても、以前の3世代同居が減り、いわゆる核家族が主流となってきているが、今後は、高齢単身世帯が増加していくことが見込まれている。加えて、家族の機能を補い、ともに支え合ってきた地域社会が崩壊しつつあり、地域の助け合いも以前ほどは期待できなくなっており、子育てや介護等、新たな支援の体制を作る必要が生じている。
よって、問題文は正解となる。

  

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