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■平成28年一般-第2問(労働関係法規等)

労働関係法規等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)障害者雇用促進法第34条は、常時使用する労働者数にかかわらず、「事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない」と定めている。

(B)育児介護休業法第9条の2により、父親と母親がともに育児休業を取得する場合、子が1歳6か月になるまで育児休業を取得できるとされている。

(C)同一企業内に複数の労働組合が併存する場合には、使用者は団体交渉の場面に限らず、すべての場面で各組合に対し中立的態度を保持しなければならないとするのが、最高裁判所の判例である。

(D)労働者派遣法第35条の3は、「派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない」と定めている。

(E)労働条件を不利益に変更する内容の労働協約を締結したとき、当該協約の規範的効力が労働者に及ぶのかについて、「同協約が締結されるに至った以上の経緯、当時の被上告会社の経営状態、同協約に定められた基準の全体としての合理性に照らせば、同協約が特定の又は一部の組合員を殊更不利益に取り扱うことを目的として締結されたなど労働組合の目的を逸脱して締結されたもの」とはいえない場合は、その規範的効力を否定すべき理由はないとするのが、最高裁判所の判例である。



■解説

(A)正解
障害者雇用促進法34条
障害者雇用促進法34条では、「事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。」と規定されている。
なお、「障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与える」とは、障害者に対して障害者でない者と等しい機会を与えることをいい、労働者の募集・採用について、その対象から障害者を排除することや、募集又は採用に当たって障害者に対してのみ不利な条件を付すこと、障害者でない者を優先することは障害者に対して障害者でない者と等しい機会を与えることに該当しないものであることとされている。(平成27年6月16日職発0616第1号)
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
育児介護休業法9条の2
男性の育児休業の取得促進を図る観点から、両親ともに育児休業をした場合の育児休業等の特例(パパ・ママ育休プラス)の場合、育児休業の対象となる子の年齢について、1歳2か月までとされている。
よって、「1歳6か月」とした問題文は誤りとなる。

(C)正解
日産自動車事件(昭和60年4月23日)
複数組合併存下にあっては、各組合はそれぞれ独自の存在意義を認められ、固有の団体交渉権及び労働協約締結権を保障されているものであるから、その当然の帰結として、使用者は、いずれの組合との関係においても誠実に団体交渉を行うべきことが義務づけられているものといわなければならず、また、単に団体交渉の場面に限らず、すべての場面で使用者は各組合に対し、中立的態度を保持し、その団結権を平等に承認、尊重すべきものであり、各組合の性格、傾向や従来の運動路線のいかんによって差別的な取扱いをすることは許されないとするのが最高裁判所の判例である。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
労働者派遣法35条の3
労働者派遣法第35条の3では、「派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(法第40条の2第1項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行ってはならない。」と規定されている。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
朝日火災海上保険(石堂)事件(平成9年3月27日)
労働条件を不利益に変更する内容の労働協約を締結したとき、当該協約の規範的効力が労働者に及ぶのかについて、最高裁判所は「本件労働協約は、上告人の定年及び退職金算定方法を不利益に変更するものであり、昭和53年度から昭和61年度までの間に昇給があることを考慮しても、これにより上告人が受ける不利益は決して小さいものではないが、同協約が締結されるに至った以上の経緯、当時の被上告会社の経営状態、同協約に定められた基準の全体としての合理性に照らせば、同協約が特定の又は一部の組合員を殊更不利益に取り扱うことを目的として締結されたなど労働組合の目的を逸脱して締結されたものとはいえず、その規範的効力を否定すべき理由はない。」と判断した。
よって、問題文は正解となる。

  

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