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トップページ過去問研究室(一般常識) 平成28年一般-第10問(社会保障全般)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成28年一般-第10問(社会保障全般)

次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は平成27年版厚生労働白書を参照している。

(A)75歳以上の方々の医療給付費は、その約4割を現役世代からの後期高齢者支援金によって賄われている。この支援金は、加入者数に応じた負担から負担能力に応じた負担とする観点から、被用者保険者間の按分について、平成22年度から3分の1を総報酬割(被保険者の給与や賞与などすべての所得で按分)、残りの3分の2を加入者割とする負担方法を導入した。また、より負担能力に応じた負担とするために、平成26年度には総報酬割を2分の1、平成27年度には3分の2と段階的に引き上げ、平成28年度からは全面総報酬割を実施することとされた。

(B)主治医と大病院に係る外来の機能分化をさらに進めるとともに、病院勤務医の負担軽減を図るため、平成28年度から、特定機能病院等において、紹介状なく受診する患者に対して、原則として療養に要した費用の2割の負担を求めることとされた。

(C)平成22年に厚生労働省が実施した「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」によれば、「介護保険を評価している(「大いに評価」又は「多少は評価」)」と回答した方は全体の約2割にとどまっている。

(D)平成12年から平成14年にかけ、物価が下落したにも関わらず、特例措置により年金額を据え置いた結果、平成25年9月時点において本来の年金額より2.5%高い水準(特例水準)の年金額が支給されている状況であったが、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)の施行により、平成25年10月から平成27年4月にかけて特例水準の解消が行われた。この特例水準が解消したことにより、平成16年の制度改正により導入されたマクロ経済スライドが、平成27年4月から初めて発動されることとなった。

(E)日本年金機構では、毎年誕生月に送付している「ねんきん定期便」によって、国民年金・厚生年金保険の全ての現役加入者及び受給権者に対し、年金加入期間、年金見込額、保険料納付額、国民年金の納付状況や厚生年金保険の標準報酬月額等をお知らせしている。



■解説

(A)誤り
平成27年版厚生労働白書
75歳以上の方々の医療給付費は、約5割を公費、約1割を保険料、残る約4割を現役世代からの後期高齢者支援金によって賄われている。この後期高齢者支援金は、原則、各保険者の加入者数に応じて負担しているが、被用者保険者*10の財政力にばらつきがあることから、加入者数に応じた負担では、財政力が弱い保険者の負担が相対的に重くなる。このため、負担能力に応じた負担とする観点から、2010(平成22)年度から被用者保険者間の按分について、3分の1を総報酬割(被保険者の給与や賞与などのすべての所得で按分)、3分の2を加入者割とする負担方法を導入していた。
この被用者保険者の後期高齢者支援金について、より負担能力に応じた負担とし、被用者保険者間の支え合いを強化するため、総報酬割部分を2015(平成27)年度に2分の1、2016(平成28)年度に3分の2と段階的に引き上げ、2017(平成29)年度から全面総報酬割を実施するとともに、全面総報酬割の実施にあわせて、被用者保険者の負担の増加が今後とも見込まれる中で、拠出金負担の重い被用者保険者への国費による支援の枠組みを制度化することとしている。
よって、総報酬割部分を2分の1にしたのが、「平成26年度」、総報酬割部分を3分の2にしたのが「平成27年度」、全面総報酬割を実施したのが「平成28年度」とした問題文は誤りとなる。

(B)誤り
平成27年版厚生労働白書
フリーアクセスの基本は守りつつ、主治医と大病院に係る外来の機能分化をさらに進めるとともに、病院勤務医の負担軽減を図るため、2016年度から、特定機能病院等において、紹介状なく受診する患者に対して、原則として一定額の負担を求めることとされた。
よって、「原則として療養に要した費用の2割の負担」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
平成27年版厚生労働白書
2010(平成22)年に厚生労働省が実施した「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」によれば、60%を超える方から「介護保険を評価している」との回答があった。
よって、「全体の約2割」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
平成27年版厚生労働白書
2000(平成12)〜2002(平成14)年にかけ、物価が下落したにも関わらず、特例措置により年金額を据え置いた。その結果、2013年9月時点において、本来の年金額より2.5%高い水準(特例水準)の年金額が支給されている状況であった。国年法等一部改正法により、年金財政を安定化し、現役世代である将来の年金受給者の年金額を確保する観点から、2013年10月から2015年4月にかけて特例水準の解消が行われた。特例水準が解消したことにより、現在の高齢世代と将来世代の均衡を図り、将来の給付水準を確保するために必要な措置として、2004
(平成16)年の制度改正により導入されたマクロ経済スライドが、2015年4月から初めて発動されることとなった。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
平成27年版厚生労働白書
2009(平成21)年4月から毎年誕生月に送付している「ねんきん定期便」によって、国民年金・厚生年金保険の全ての現役加入者の方に対し、年金加入期間、年金見込額、保険料納付額のほか、最近の月別状況として直近1年間の国民年金の納付状況や厚生年金保険の標準報酬月額等をお知らせするとともに、更に35歳、45歳、59歳の方には全ての加入記録をお知らせし、ご本人に年金記録をチェックしていただいているが、あわせて、年金記録の「もれ」や「誤り」の確認や「ねんきんネット」の加入・利用について、ご本人への働きかけを行っている。
よって、「全ての現役加入者及び受給権者」とした問題文は誤りとなる。

  

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