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トップページ過去問研究室(健康保険法) 令和1年健保-第8問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■令和1年健保-第8問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるものは報酬又は賞与として扱うものではないが、被保険者の在職時に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格が明確であり、被保険者の通常の生計にあてられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、報酬又は賞与に該当する。

(B)産前産後休業期間中における保険料の免除については、例えば、5月16日に出産(多胎妊娠を除く。)する予定の被保険者が3月25日から出産のため休業していた場合、当該保険料の免除対象は4月分からであるが、実際の出産日が5月10日であった場合は3月分から免除対象になる。

(C)保険者は、毎年一定の期日を定め、被保険者証の検認又は更新をすることができるが、この検認又は更新を行った場合において、その検認又は更新を受けない被保険者証は無効である。

(D)資格喪失後の継続給付としての傷病手当金を受けるためには、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったことが要件の1つとされているが、転職等により異なった保険者における被保険者期間(1日の空白もなく継続しているものとする。)を合算すれば1年になる場合には、その要件を満たすものとされている。なお、これらの被保険者期間には、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者の期間は含まれないものとする。

(E)傷病手当金は、労務不能でなければ支給要件を満たすものではないが、被保険者がその本来の職場における労務に就くことが不可能な場合であっても、現に職場転換その他の措置により就労可能な程度の他の比較的軽微な労務に服し、これによって相当額の報酬を得ているような場合は、労務不能には該当しない。また、本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない副業ないし内職等の労務に従事したり、あるいは傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合その他これらに準ずる場合も同様に労務不能には該当しない。



■解説

(A)正解
法3条5項・6項、平成15年10月1日保保発第1001002号・庁保険発第1001001号
被保険者の在職時に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格が明確であり、被保険者の通常の生計にあてられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、法第3条第5項又は第6項に規定する報酬又は賞与に該当するものであること。
よって、問題文は正解となる。
なお、支給時期が不定期である場合についても賞与として取り扱い、これが年間4回以上支払われているものであれば、報酬として通常の報酬月額に加算して取り扱うこと。
また、退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるもの又は事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものについては、従来どおり、法第3条第5項又は第6項に規定される報酬又は賞与には該当しないものと取り扱うこと。

(B)正解
法159条の3
産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しないことになっている。
問題文の場合、5月16日に出産(多胎妊娠を除く。)する予定の被保険者の産前休業の開始日(出産予定日以前42日)は、4月5日であるため、保険料の免除対象は4月分からであるが、実際の出産日が5月10日であった場合の産前休業の開始日は3月30日となるため3月分から保険料免除の対象となる。
よって、問題文は正解となる。

(C)正解
則50条
保険者は、毎年一定の期日を定め、被保険者証の検認若しくは更新又は被扶養者に係る確認をすることができることになっている。保険者が検認又は更新を行った場合において、その検認又は更新を受けない場合、その被保険者証は無効となる。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法104条、法附則3条6項
被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法99条1項、平成15年2月25日保保発第0225007号・庁保険発第4号被保険者がその本来の職場における労務に就くことが不可能な場合であっても、現に職場転換その他の措置により就労可能な程度の他の比較的軽微な労務に服し、これによって相当額の報酬を得ているような場合は、労務不能には該当しないものであるが、本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない副業ないし内職等の労務に従事したり、あるいは傷病手当金の支給があるまでの間、一時的に軽微な他の労務に服することにより、賃金を得るような場合その他これらに準ずる場合には、通常なお労務不能に該当するものであること。
よって、「同様に労務不能には該当しない。」とした問題文は誤りとなる。

  

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