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トップページ過去問研究室(健康保険法) 令和1年健保-第10問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■令和1年健保-第10問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)さかのぼって降給が発生した場合、その変動が反映された月(差額調整が行われた月)を起算月として、それ以後継続した3か月間(いずれの月も支払基礎日数が17日以上であるものとする。)に受けた報酬を基礎として、保険者算定による随時改定を行うこととなるが、超過支給分の報酬がその後の報酬から差額調整された場合、調整対象となった月の報酬は、本来受けるべき報酬よりも低額となるため、調整対象となった月に控除された降給差額分を含まず、差額調整前の報酬額で随時改定を行う。

(B)被保険者の長期にわたる休職状態が続き実務に服する見込がない場合又は公務に就任しこれに専従する場合においては被保険者資格を喪失するが、被保険者の資格を喪失しない病気休職の場合は、賃金の支払停止は一時的であり、使用関係は存続しているため、事業主及び被保険者はそれぞれ賃金支給停止前の標準報酬に基づく保険料を折半負担し、事業主はその納付義務を負う。

(C)給与計算の締切り日が毎月15日であって、その支払日が当該月の25日である場合、7月30日で退職し、被保険者資格を喪失した者の保険料は7月分まで生じ、8月25日支払いの給与(7月16日から7月30日までの期間に係るもの)まで保険料を控除する。

(D)全国健康保険協会管掌健康保険における同一の事業所において、賞与が7月 150万円、12月 250万円、翌年3月 200万円であった場合の被保険者の標準賞与額は、7月 150万円、12月 250万円、 3月 173万円となる。
一方、全国健康保険協会管掌健康保険の事業所において賞与が7月 150万円であり、11月に健康保険組合管掌健康保険の事業所へ転職し、賞与が12月 250万円、翌年3月 200万円であった場合の被保険者の標準賞与額は、 7月 150万円、12月 250万円、 3月 200万円となる。

(E)介護休業期間中の標準報酬月額は、その休業期間中に一定の介護休業手当の支給があったとしても、休業直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬に基づき算定した額とされる。



■解説

(A)正解
法43条1項、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について(平成29年6月2日事務連絡)
遡って昇給が発生した場合、その変動が反映された月(差額調整が行われた月)を起算月として、それ以後継続した3か月間(いずれの月も支払基礎日数が17日以上)に受けた報酬を基礎として、保険者算定による随時改定を行うこととなるが、遡って降給が発生した場合についても、遡って昇給が発生した場合と同様に取り扱うものとする。
なお、超過支給分の報酬がその後の報酬から差額調整された場合、調整対象月の報酬は本来受けるべき報酬よりも低額となるため、調整対象月に控除された降給差額分を含まず、差額調整前の報酬額で随時改定を行う。
よって、問題文は正解となる。

(B)正解
法36条、法161条、昭和25年4月14日保発第20号、昭和26年3月9日保文発第619号
労働協約又は就業規則などにより雇用関係は存続するが、会社から賃金の支給を停止されたような場合には、個々の具体的事情を勘案検討のうえ、実質は使用関係の消滅とみるのを相当とする場合、例えば被保険者の長期にわたる休業状態が続き、実務に服する見込がない場合又は公務に就任しこれに専念する場合等においては、資格を喪失させることが妥当である。
よって、問題文は正解となる。

(C)誤り
法156条3項、法167条1項
前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しないこととされており、また、事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができることになっている。
問題文の事例の場合、7月30日で退職している為、資格喪失日は、7月31日である。
よって、保険料は6月分まで生じ、7月25日支払いの給与(6月16日から7月15日までの期間)まで保険料を控除することになる。

(D)正解
法45条1項、「健康保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政省令等の改正内容の一部に関するQ&Aの送付について」(平成18年8月18日付事務連絡)
年度途中で被保険者資格の取得・喪失があった場合の賞与の累計については、保険者単位とすることとしており、同一の年度内で複数の被保険者期間がある場合については、同一の保険者である期間に支払われた賞与について累計することとなる。
よって、問題文は正解となる。

(E)正解
平成11年3月31日保険発46号・庁保険発9号
介護休業期間中の標準報酬月額は、休業直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬に基づき、算定した額とすることとされている。
よって、問題文は正解となる。

  

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