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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成13年健保-第2問(保険料)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成13年健保-第2問(保険料)

保険料に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)被保険者が3月31日に退職した場合、事業主は被保険者の報酬から3月分及び4月分の保険料を控除し、それぞれ翌月末日まで納付する。

(B)任意継続被保険者は、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの6ヶ月間又は4月から翌年3月までの12ヶ月間を単位として保険料を前納することができるが、保険料を前納しようとする場合は、前納しようとする額を前納に係る期間の初月の1日までに払い込まなければならない。

(C)健康保険事業の事務の執行に要する費用について国庫負担が行われているが、健康保険組合に対しては、各健康保険組合の被保険者数と標準報酬月額の総額を基準として厚生労働大臣が算定した額が交付される。

(D)健康保険の保険料は一般保険料と介護保険料を合算して徴収することになっているが、健康保険の保険料率の法定上限には介護保険料率は含まれない。

(E)事業主が被保険者に対して賞与等を支払ったときは、事業主は保険者に翌月末日までに標準賞与額に係る保険料を納付するとともに、健康保険被保険者賞与支払届を提出しなければならない。(一部改正)



■解説

(A)誤り
法156条3項、法164条1項、法167条1項
資格喪失日は退職日の翌日なので、被保険者が3月31日に退職した場合の資格喪失日は4月1日になる。(法36条)
そして、前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、資格喪失月分の保険料は、算定しないことになっているので、問題文の場合、納付が必要なのは3月分の保険料までで、4月分の保険料は発生しない。(法156条3項)
よって、4月分の保険料を控除することはできないので、誤りとなる。
なお、被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料を報酬から控除することができる(法167条1項)ことになっているので、問題文の場合だと2月分(前月分)及び3月分(その月分)の保険料を控除することが可能である。
ちなみに、保険料の納付期限については、翌月の末日なので正しい。(法164条1項)

(B)誤り
法165条、令48条、則139条
任意継続被保険者の保険料の前納は、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの6月間又は4月から翌年3月までの12月間を単位として行うことを原則とする。
ただし、例外的に当該6月又は12月の間において、任意継続被保険者の資格を取得した者又はその資格を喪失することが明らかである者については、当該6月間又は12月間のうち、その資格を取得した日の属する月の翌月以降の期間又はその資格を喪失する日の属する月の前月までの期間の保険料について前納を行うことができる。
※例えば、4月に任意継続被保険者になったものが12月前納を希望する場合、4月分の保険料はそのまま納付し、5月分から翌年3月までの11か月分については前納することができるということ。
なお、任意継続被保険者が、保険料を前納する場合、前納しようとする額を前納に係る期間の初月の前月末日までに納付する必要がある。(4月から10月までの6か月分を前納する場合は3月末までに納付する必要がある)よって、前納期間の初日とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法152条1項
健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定することになっている。
よって、問題文にある「標準報酬月額の総額」については考慮されない。

(D)正解
法160条
平成12年4月1日の介護保険法施行に伴い、従来の保険料率を一般保険料率、介護納付金を納付するための保険料率を介護保険料率と規定し、一般保険料率と介護保険料率を合算した率に保険料率の上限が適用されることになった。
しかし、経済情勢の悪化などの影響から、一般保険料率を引き下げることが困難(すでに上限に近い保険料率を設定していた健康保険組合などは、一般保険料率と介護保険料率を合算した率に保険料率の上限が適用されることより、介護保険料率分の一般保険料率を引き下げる必要がでてきた。)となり、事業運営に影響を及ぼすようになっていたため、平成13年1月1日から保険料率の上限は一般保険料率のみに適用されるように法改正された。
なお、一般保険料率の範囲は、政府管掌健康保険の場合は、1000分の66から1000分の91まで、組合管掌健康保険の場合は、1000分の33から1000分の95までと規定されている。

(E)誤り
法164条1項、則27条
保険料の納期限については、賞与等を支払った月の翌月末日であるので正しい。
しかし、「健康保険被保険者賞与支払届」の提出期限は賞与を支払った日から5日以内となっているので、問題文は誤りとなる。

※本試験の出題時は、特別保険料に関する問題だったが、平成15年4月1日の総報酬制の導入により、標準賞与額対しても、標準報酬月額と同様の保険料率を乗じて得た保険料額が賦課されるようになったために一部改正した。

  

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