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■平成13年健保-第3問(健康保険組合)

健康保険組合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)健康保険組合の医療に関する給付、老人保健拠出金、退職者給付拠出金等の財源の不均衡を調整するため、健康保険組合連合会は健康保険組合から拠出金を徴収し、財政の窮迫している組合に交付金を支給する。

(B)健康保険組合は、規約により、被保険者が介護保険第2号被保険者に該当しない場合でも、その被扶養者が介護保険第2号被保険者に該当する場合には、その被保険者から介護保険料を徴収することができる。

(C)健康保険組合が解散するときは、組合会において議員定数の4分の3以上の多数による議決があり、かつ、厚生労働大臣の認可を必要とする。

(D)督促を受け、なお、指定された期限までに保険料を納付しない場合、健康保険組合は、厚生労働大臣(地方厚生局長、地方厚生支局長)の認可を受けることにより、国税滞納処分の例にしたがって自ら保険料の滞納処分を行うことができる。

(E)健康保険組合の保険料率は、組合の設立時においては理事会、その後は組合会が議決し、厚生労働大臣の認可を受けて決定する。



■解説

(A)正解
法附則2条1項・2項・3項
健康保険組合の医療に関する給付、老人保健拠出金、日雇拠出金、退職者給付拠出金、介護納付金の納付に要する費用の財源の不均衡(景気のよい業界の健康保険組合は保険料収入が多いし、衰退産業の健康保険組合は保険料収入が少ないので不均衡が生じる)を調整するため、健康保険組合連合会は、会員である健康保険組合に対する交付金の交付の事業を行っている。
そして、この交付事業に要する費用は健康保険組合が拠出金として拠出することになるが、健康保険組合は、この拠出金の財源に充てるために調整保険料を徴収する。

(B)正解
法附則7条1項
介護保険第二号被保険者以外の被保険者で介護保険第二号被保険者である被扶養者がある被保険者を「特定被保険者」という。
健康保険組合は、規約で定めるところにより、特定被保険者に関する保険料額を一般保険料額と介護保険料額との合算額とすることができる。
そして、この場合は、被保険者が介護保険第二号被保険者でなくても、介護保険料を徴収することができる。
なお、特定被保険者のパターンとしては、「被保険者が40歳未満で、被扶養者が40歳以上64歳以下(介護保険第2号被保険者)の場合」と「被保険者が65歳以上(介護保険第1号被保険者)で被扶養者が40歳以上64歳以下(介護保険第2号被保険者)の場合」がる。
後者の場合は、被保険者は自身の介護保険料を納付(原則として年金から控除)し、なおかつ加入する健康保険組合に介護保険料(被扶養者の分)を納付する必要もある。

(C)正解
法26条1項・2項
健康保険組合の解散事由には「自主解散(組合会議員の定数の4分の3以上の多数による組合会の議決が必要)」、「自然解散(健康保険組合の事業の継続の不能による解散)」、「強制解散(厚生労働大臣の解散命令による解散)」がある。
なお、自主解散及び自然解散の場合は、厚生労働大臣の認可が必要になる。
解散により消滅した健康保険組合の権利義務は政府が承継する。
具体的には、解散した健康保険組合の組合員であった被保険者は、政府管掌の被保険者となり、その被保険者を使用する適用事業所の所在地の社会保険事務所長等がその保険を管掌し、任意継続被保険者については、任意継続被保険者の住所地の社会保険事務所長等が事務を行う。

(D)正解
法180条
保険料等を滞納し督促を受けた者又は保険料繰上徴収の規定により保険料納付告知を受けた者が、なお、保険料等を納付しない場合に、保険者は、国税滞納処分の例により強制徴収することができる。
健康保険組合についても自ら国税滞納処分の例により強制徴収を行うことが可能だが、監督官庁の認可を受ける必要がある。

(E)誤り
法12条、法14条、法19条1号、則3条
適用事業所の事業主は、健康保険組合を設立しようとするときは、健康保険組合を設立しようとする適用事業所に使用される被保険者の2分の1以上の同意を得て、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならないとされている。
そして、その規約において定める必要がある事項として保険料に関する事項(一般保険料率及び介護保険料率)がある。
よって、設立時に規約を作成し、厚生労働大臣の認可を受けるのは、「理事会」ではなく、その健康保険組合の適用事業所になる「事業主」である。
なお、強制設立(法14条)の場合も同様である。
ちなみに、設立後に規約の変更が生じた場合(保険料に関する事項を変更する場合も含まれる)は、組合会の議決を経て、厚生労働大臣の認可が必要である。

(参考)
規約に記載しなければならない事項
1.名称
2.事務所の所在地
3.健康保険組合の設立に係る適用事業所の名称及び所在地
4.組合会に関する事項
5.役員に関する事項
6.組合員に関する事項
7.保険料に関する事項
8.準備金その他の財産の管理に関する事項
9.公告に関する事項
10.保険給付に関する事項
11.一部負担金に関する事項
12.その他組織及び業務に関する重要事項

※規約の変更は厚生労働大臣の認可事項であるが、上記のうち2及び3(設立事業所の増加又は減少(事業所の廃止に係る場合を除く。)に係る場合を除く。)については、厚生労働大臣に届け出れば足りる。

  

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