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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成13年健保-第4問(保険給付)
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■平成13年健保-第4問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)薬剤に係る一部負担金は、被保険者が保険医療機関において処置、手術、その他の治療にともなう薬剤の支給があった場合も、支払わなければならない。(参考問題)

(B)被保険者が監獄、留置場又は労役場に拘禁又は留置されているとき、埋葬料・埋葬費を除き、被保険者及び被扶養者に対してその期間に係る給付は行われない。

(C)海外にいる被保険者及び被扶養者が海外の医療機関で療養等を受け、事業主を経由して療養費の支給申請があった場合、保険者からの療養費の支給は送料を差し引いた金額が被保険者に送金される。

(D)特定療養費は、介護保険法に規定する指定介護療養施設サービスを行う療養病床等に入院中の者については、支給されない。

(E)健康保険の療養の給付を受けている者が、同一の疾病又は負傷について介護保険法の規定による介護給付を受けられるようになった場合は、その疾病に関し療養の給付又は介護保険法の給付のいずれかを選択しなければならない。(一部改正)



■解説

(A)誤りだった
法改正により廃止された規定
平成15年3月31日までは、通常の一部負担金等とは別に、外来時に支給を受けた薬剤について一部負担金を負担する薬剤一部負担金制度があったが、注射薬の場合など、処置、手術、その他の治療に伴う薬剤に対しては薬剤一部負担金の対象にならなかった。

(B)誤り
法118条2項
被保険者が監獄、留置場又は労役場に拘禁又は留置されて給付制限を受けている場合であっても、その被扶養者に対する保険給付は制限されない。
なお、上記の給付制限を受けている被保険者であっても、保険給付がすべて制限されるわけではなく、死亡した場合の埋葬料又は埋葬に要した費用に相当する金額については支給される。(昭和2年2月5日保理第490号)
よって、被扶養者に対しても給付が制限されるとした問題文は誤りである。

(C)誤り
昭和56年2月25日保険発第10号・庁保険発第2号
現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行わせ、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行わないとされている。
なお、療養費等の受領が事業主又は事業主の代理人に委任された場合は、当該療養費等の授受の状況を明らかにしておく必要がある。
よって、被保険者に送金は行わないので誤りとなる。
(参考)
海外療養費に関する留意点
1.療養費支給申請書等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付すること。
2.療養費支給申請書等の証拠書類に添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載すること。
3.海外における療養費の支給申請書に添付させる証拠書類の様式は「診療内容明細書」及び「領収明細書」を参考にする。
4. 現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行わせ、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行わないとされている。なお、療養費等の受領が事業主又は事業主の代理人に委任された場合は、当該療養費等の授受の状況を明らかにしておく必要がある。
5.現に海外にある被保険者の療養費等の支給に係る照会は、事業主等を経由して行うこと。
6.海外における療養費等の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いること。

(D)正解
法63条4項、法86条13項
療養の給付は、介護保険法に規定する療養病床等に入院している者については行わないとされており、この規定は、特定療養費の支給に関しても準用されている。
よって、問題文の記述は正しい。

(E)誤り
法55条2項
被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給は、同一の疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりこれらに相当する給付を受けることができる場合には行わないとされている。
よって、同一の疾病等について療養の給付と介護保険法の給付を受けることができる場合には、どちらかを選択するのではなく、介護保険法からの給付が優先されることになる。

  

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