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■平成13年健保-第6問(現金給付)

現金給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者が移送費の支給を受けようとする場合には、医師又は歯科医師の意見書及び移送に要した費用の額の証拠書類を添付した申請書を保険者に提出しなければならない。

(B)被保険者の資格を喪失した日の前日まで1年以上被保険者であった者が、資格喪失後6ヶ月以内に分べんしたときは、出産育児一時金及び出産手当金を受けることができる。

(C)傷病手当金の受給中に出産手当金が支払われるときは、出産手当金の支給の方が優先され、その期間中は傷病手当金の支給が停止される。もし出産手当金を支給すべきときに傷病手当金が支給された場合は、出産手当金の内払いとみなされる。

(D)傷病手当金は、強制適用事業所に使用される被保険者任意適用事業所に使用される被保険者」、任意継続被保険者に支給されるが、特例退職被保険者には支給されない。(一部改正)

(E)療養の給付の対象とならない疾病について被保険者が自費で手術を受け、そのために労務不能になった場合には、労務不能についての証明があるとしても、傷病手当金は支給されない。



■解説

(A)正解
法97条、則82条2項
移送費の支給申請書には、医師又は歯科医師の意見書(診断年月日を記載し、記名及び押印をしなければならない)及び移送に要した費用の額に関する証拠書類を添付する必要がある。
なお、意見書の記載内容は、1.移送を必要と認めた理由(付添いがあったときは、併せてその付添いを必要と認めた理由) 2.移送経路、移送方法及び移送年月日とされている。

(B)誤り
法106条
資格喪失後に出産に関する給付を受けるためには、被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であることが必要である。
よって、問題文は、単に「1年以上被保険者」として「引き続き1年以上被保険者」としていないので、誤りとなる。
なお、「資格喪失後6月以内の出産」とする要件は正しい。

(C)正解
法103条
出産手当金と傷病手当金の支給目的は、ともに生活保障である。
よって、両者が競合する場合には、どちらか一方を支給すればその目的は達せられることになる。
そこで、健康保険法では、出産手当金の支給要件を満たしていれば、傷病手当金の支給を停止することにしている。(法103条1項)
しかしながら、出産手当金を支給すべき日にすでに傷病手当金が支給されている場合には、本来なら支給済みの傷病手当金を一旦返還させ、改めて出産手当金を支給することになるが、事務の簡素化のために、すでに傷病手当金が支給されている場合には、その支給額を出産手当金の内払いとみなし調整することにしている。(法103条2項)

(D)正解
法附則3条5項
特例退職被保険者に対しては、傷病手当金は支給されない。
なお、その他の保険給付は一般被保険者の場合と同様である。

(E)正解
法99条、昭和4年6月29日保理第1704号
療養の給付をなさないこととした疾病(美容整形手術の場合など)について被保険者が自費で手術を施し、そのため労務不能となった場合には、これに対し傷病手当金は支給されないことになっている。
なお、自費治療を受けた場合は、すべて傷病手当金が支給されないわけでなく、その治療目的が療養の給付の対象になるか否かで結果が異なるので注意すること。

参考解釈
1.保険給付として受ける療養のためにのみ限らず、然らざる療養のためをも含む。(昭和2年2月26日保険発第345号)
2.自費で傷病の療養をなした場合でも、その傷病の療養のため労務に服することができないことについて相当の証明があるときは支給する。(昭和3年9月11日事発第1811号)

  

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