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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成14年健保-第2問(標準報酬)
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■平成14年健保-第2問(標準報酬)

標準報酬に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)定期昇給により基本給は上昇したが、残業手当の減少により3ヵ月間の報酬総額の平均額が変わらない場合は、随時改定の対象にならない。

(B)日、時間、出来高又は請負により給与を定めている場合、被保険者資格取得時の標準報酬月額は、取得日の属する月前1ヵ月間に、同一事業所で同様な業務に従事し、同様の給与を受けている者の給与の額を平均した額である。(一部改正)

(C)標準報酬月額の最高等級に該当する被保険者数が、3月31日現在、全被保険者数の1.5%を超え、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から政令により当該最高等級の上に更に等級を加えることができるが、その年の3月31日において改定後の標準報酬月額の最高等級に該当する被保険者数が、全被保険者数の1%を下回ってはならないこととされている。この等級区分の改定にあたっては、社会保障審議会の意見を聴くことが必要である。(一部改正)

(D)標準報酬月額の定時決定の時に、一時帰休により休業手当等を受給中の者については、休職開始直前の報酬月額を基礎として「標準報酬月額」を決定し、その状態が3ヵ月継続した場合に随時改定を行う。(一部改正)

(E)昇給のあった月を含む3ヵ月間の報酬総額の平均額を基礎として算定した標準報酬月額が従前の標準報酬月額に比べて2等級以上の差が出た場合、その翌月から標準報酬月額の随時改定が行われる。(一部改正)



■解説

(A)正解
法43条1項、昭和36年1月26日保発第4号、平成12年12月13日保発第228号・庁保発第44号
随時改定は、固定的賃金が増額又は減額し、その増額又は減額した月から継続した3月間に受けた報酬の総額を3で除して得た額による等級と現在の等級との間に2等級以上の差を生じた場合に行われることになっている。
よって、定期昇給(固定的賃金の増額)したとしても、3月間の報酬総額の平均額は変わらない場合(2等級以上の差が生じない場合)は、随時改定の対象にならない。
なお、報酬総額の平均額は、固定的賃金だけでなく、非固定的賃金も含めて計算する。
ちなみに、固定的賃金が増額したが、残業手当等の非固定的賃金が減少したために、3月間の報酬総額の平均額が従前の報酬より2等級下がった場合でも随時改定の対象にはならない。
ようするに、固定的賃金が増額した場合は、3月間の報酬総額の平均額が従前報酬より2等級以上上昇しなければならず、固定的賃金が減額した場合は、3月間の報酬総額の平均額が従前報酬より2等級以上下降しなければ随時改定の対象にはならない。

(B)正解
法42条1項2号
日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前1月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額を報酬月額として、標準報酬月額を決定することになる。

(C)正解
法40条2項・3項
3月31日現在において、標準報酬月額等級表の上限該当者の割合が100分の1.5を超えた場合に、その状態が継続すると認められるときは、社会保障審議会の意見を聴いて、改定後の上限等級該当者が100分の1を下回らない範囲で、その年の9月1日から政令で等級を加えることができることになっている。

(D)誤り
法41条1項、昭和50年3月29日保険発第25号・庁保険発第8号
標準報酬の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合においては、その休業手当等をもって報酬月額を算定し、標準報酬を決定する。
ただし、標準報酬の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合は、当該定時決定を行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬を決定することになっている。
なお、定時決定の対象月(4月、5月、6月)以外の期間に、一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合は、これを固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象とする。
しかし、当該報酬のうち固定的賃金が減額され支給される場合で、かつ、その状態が継続して3か月を超える場合に限られているので注意すること。
ちなみに、休業手当等をもって標準報酬の決定又は改定を行った後に一時帰休の状況が解消したときは、随時改定の対象となる。

(E)正解
法43条1項、昭和36年1月26日保発第7号、昭和44年6月13日保発第25号・庁保発第9号
標準報酬月額を改定する場合には、昇給又は降級があった月の翌々月を健康保険法43条1項に規定する「その著しく高低を生じた月」と解し、その翌月より行うことになっている。
つまり、固定的賃金の変動があった月から4月目に標準報酬月額が改定されることになる。

  

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