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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成14年健保-第3問(保険給付)
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■平成14年健保-第3問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)埋葬費は、5万円の範囲内でその埋葬に要した費用に相当する金額であるが、その額が5万円に満たないときは5万円が支給される。(一部改正)

(B)保険者は、偽りその他の不正な行為によって保険給付を受け又は受けようとした者に対して、保険給付の全部又は一部を6ヵ月以内の期間において不支給とすることができるとされているが、この給付制限は傷病手当金と出産手当金に限られ、また、詐欺その他の不正な行為があった日から1年を経過したときは不支給の対象とはならない。(一部改正)

(C)海外出張中の被保険者が海外の病院で療養を受けた場合、その療養費の支給申請は事業主を経由して行い、事業主が代理受領することになっており、また、支給額の算定に用いる邦貨換算率は、支給申請日における外国為替換算率を用いる。

(D)自宅において療養生活を送っている被保険者であって、保険者が必要であると認める者について、保険医療機関の看護師により療養上の世話を受けたときは、訪問看護療養費が支給される。

(E)移送費の額は、最も低廉かつ通常の経路及び方法により移送されたときの費用により算定された額の100分の70に相当する額である。ただし、現に移送に要した費用の額を超えることはできない。(一部改正)



■解説

(A)誤り
法100条2項、令35条
埋葬料については、支給額が5万円であるが、埋葬料の支給を受けるべき者がいない場合に埋葬に要した費用に相当する金額を支給する場合は、5万円の範囲内で実費が支給されることになっている。
よって、「その額が5万円に満たないときは5万円が支給される」とした問題文は誤りである。
※問題文の「埋葬費」は法改正前の用語であるが、そのまま記載しています。

(B)正解
法120条
偽りその他不正の行為により保険給付を受け又は受けようとした者に対しては、将来において一定期間傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部の支給を停止することができる。
ただし、保険者が不正行為の事実を発見した場合に、将来においていつでも支給停止の決定を行うことができることとすることは、その受給関係を常に不安定な状態におくことになるので、行為があった日から1年以内においてのみ支給停止の決定をなし得ることになっている。

(C)誤り
昭和56年2月25日保険発第10号・庁保険発第2号
現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行わせ、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行わないとされている。
なお、療養費等の受領が事業主又は事業主の代理人に委任された場合は、当該療養費等の授受の状況を明らかにしておく必要がある。
また、海外における療養費等の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いることになっている。
よって、「支給申請日」の外国為替換算率を用いて支給決定するとした問題文は誤りである。

(参考)
海外療養費に関する留意点
1.療養費支給申請書等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付すること。
2.療養費支給申請書等の証拠書類に添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載すること。
3.海外における療養費の支給申請書に添付させる証拠書類の様式は「診療内容明細書」及び「領収明細書」を参考にする。
4. 現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行わせ、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行わないとされている。なお、療養費等の受領が事業主又は事業主の代理人に委任された場合は、当該療養費等の授受の状況を明らかにしておく必要がある。
5.現に海外にある被保険者の療養費等の支給に係る照会は、事業主等を経由して行うこと。
6.海外における療養費等の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いること。

(D)誤り
法88条1項
指定訪問看護事業者の看護師等により療養上の世話を受けたときに訪問看護療養費が支給されることになる。
なお、保険医療機関の看護師に居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護受けた場合は、「療養の給付」の対象となる。(法63条1項4号)
よって問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法97条、則80条
移送費の支給額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定した金額(現に移送に要した費用の金額を超えることはできない。)とされている。
なお、移送費については定率の自己負担額はない。
よって、算定額の100分の70相当額とした問題文は誤りである。

  

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