社会保険労務士試験に楽に合格する方法論を研究するサイト
社会保険労務士試験情報局
トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成15年健保-第9問(保険給付)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成15年健保-第9問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)被保険者が死亡した場合において、その者により生計を維持していなかった兄弟が埋葬を行ったときは、埋葬費が支給される。

(B)療養費の額は、現に療養に要した費用の額から、一部負担金に相当する額及び食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額である。(一部改正)

(C)被保険者の負傷が自動車事故等の第三者の行為によって生じた場合において、被保険者が第三者から当該負傷について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。

(D)被保険者が柔道整復師の施術を受ける必要があるときは、療養費が支給される。

(E)循環器疾患による傷病手当金の支給期間が満了した後も引き続き労務不能である被保険者が循環器疾患と因果関係にない眼疾を併発した場合には、眼疾のみの場合において労務不能が考えられるか否かによって傷病手当金を支給するか否かが決定される。



■解説

(A)正解
法100条2項、昭和26年6月28日保文発第2162号
「埋葬に要した費用に相当する金額の支給(埋葬費)」は、埋葬料の支給を受けるべきものがいない場合において、実際に埋葬を行った者に対し支給されることになっている。
なお、「埋葬を行った者」とは、その被保険者により、全然生計を維持していなかった父母又は兄弟姉妹或は子等が現に埋葬を行った場合は当然含まれるものとされている。

(参考)
埋葬料の支給対象となる生計を維持していた者とは?
1.死亡当時その収入により生計を維持した者をいい、死亡者の収入により生計を維持した事実があれば足りる。民法上の親族又は遺族であることを要せず、かつ、被保険者が世帯主であることも、また、被保険者により生計を維持する者が被保険者と同一世帯にあったか否かは関係のないことである。(昭和7年4月25日保規第129号)
2.被保険者により生計の全部若しくは大部分を維持した者のみに限られず、生計の一部分を維持した者をも含む。(昭和8年8月7日保発第502号)

(B)誤り
法87条2項
療養費の額は、療養(食事療養及び生活療養を除く。)について算定した費用の額から一部負担金相当額を控除した額及び食事療養又は生活療養について算定した費用の額から食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額を控除した額を基準として、保険者が定めることになっている。
よって、「現に療養に要した費用の額から、一部負担金に相当する額及び食事療養標準負担額又は生活療養標準負担額」とした問題文は誤りである。

(C)正解
法57条2項
給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れるとされている。
なお、「損害賠償を受けたとき」とは、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から現実に損害賠償の支払いを受けたときをいい、示談の成立のみでは、この規定に該当しない。

(D)正解
法87条1項、昭和18年3月30日保発第796号
被保険者又は被扶養者が、柔道整復師の手当を受ける必要があるときは、療養費又は家族療養費を支給するとされている。

(E)正解
法99条、昭和26年6月9日保文発第1900号、昭和26年7月13日保文発第2349号
前に発生した疾病について傷病手当金支給期間が満了し、その後もなお、疾病の療養のため労務不能である者について、他の疾病が発生し、この後に発生した疾病についてみても労務不能と考えられる場合には、前の疾病について療養継続中ではあっても、また、前後の疾病の程度が同程度であっても、後の疾病について支給されるべきであるとされている。

  

→社会保険労務士試験過去問研究室(健康保険法)に戻る
Copyright (C) 2005 社会保険労務士試験情報局 All Rights Reserved