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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成15年健保-第10問(保険料)
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■平成15年健保-第10問(保険料)

保険料に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うが、任意継続被保険者の負担する保険料を納付する義務を負わない。

(B)政府は、厚生労働大臣が政府管掌健康保険の一般保険料率を変更したときは、速やかに、その旨を国会に報告しなければならない。

(C)保険料その他徴収金を滞納する者がある場合において、保険者が督促をしたときは、保険者は、徴収金額につき年14.6%の割合で、納期限の翌日から、徴収金完納又は財産差押えの日までの日数によって計算した延滞金を徴収する。

(D)健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

(E)事業主が保険者に対して保険料を過納した場合の保険料還付請求権の消滅時効は、2年であるが、被保険者が事業主に対して過納した場合の保険料返還請求権の消滅時効は、10年である。



■解説

(A)正解
法161条2項・3項
事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことになっており、任意継続被保険者は、自己の負担する保険料を納付する義務を負っている。
よって、事業主には、任意継続被保険者の負担する保険料の納付義務はない。

(B)正解
法160条8項
政府は、厚生労働大臣が一般保険料率を変更したときは、速やかに、その旨を国会に報告しなければならないとされている。

(C)誤り
法181条1項
保険料その他徴収金を滞納する者がある場合において、保険者が督促をしたときは、徴収金額につき年14.6%の割合で、納期限の翌日から、徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの日数によって計算した延滞金を徴収することができることになっている。
よって、「納期限の翌日から、徴収金完納又は財産差押えの日までの日数」とした問題文は誤りである。
なお、次の場合及びやむを得ない事情(天災事変等で納付できなかった場合など)があると認められる場合については、延滞金は徴収されない。
1.徴収金額が1,000円未満であるとき
2.納期を繰り上げて徴収するとき
3.公示送達により督促したとき

(D)正解
法180条5項
保険料等を滞納し督促期限までに納付しない場合や保険料の繰上徴収により告知を受けた者が指定期限までに納付しない場合は、厚生労働大臣の認可を受けることにより、健康保険組合は、自ら国税滞納処分の例により処分を行うことができる。

(E)正解
法193条1項、昭和5年7月15日保規第225号
事業主が保険者から保険料過納分の還付(この還付を受ける権利の消滅時効は2年)を受け、これを被保険者に返還すべき場合における還付金と返還請求権の時効については、被保険者に返還すべき金額は、広義においては保険料であるが、法193条の保険料には該当しない。
ちなわち、法193条の保険料とは保険者と保険料納付義務者との間におけるものであって、従ってこの場合の被保険者又は被保険者であった者の返還請求権については、法193条の短期時効の適用はない。
また、その返還金は報酬とも認められないので民法167条(一般債権として10年の消滅時効)の適用を受けるとされている。

  

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