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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成16年健保-第6問(事業主の責務等)
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■平成16年健保-第6問(事業主の責務等)

事業主の責務等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日より2年間、保存しなければならない。

(B)事業主が、厚生労働大臣又は社会保険庁長官から、被保険者の標準報酬に関して、文書物件の提出を命じられたとき、正当な理由が無くそれに従わなかった場合は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。

(C)事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、日雇特例被保険者の標準賃金日額に係る保険料額が1,000円以上で、その納付を怠ったときは、保険料額の100分の25に相当する追徴金を、その決定された日から起算して30日以内に、保険者に納付しなければならない。

(D)事業主が、正当な理由がなくて、被保険者の賞与額に関する事項を保険者に届出なかった場合は、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。

(E)事業主が保険料過納分の還付を受け、その一部を被保険者に返還する場合の被保険者の返還請求権は、10年で時効により消滅する。



■解説

(A)正解
法197条1項、則34条
事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日より2年間保存しなければならないとされている。
なお、健康保険に関する書類とは、保険料控除、被保険者の資格得喪、報酬等健康保険関係一切の書類をいうが、傷病手当金請求の場合、事業主の労務不能期間に関する証明の根拠を明らかにする出勤簿は間接的なものであるため該当しないとされている。(昭和4年12月28日保規第1858号)

(B)正解
法208条5号
厚生労働大臣又は社会保険庁長官は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関して必要があると認めるときは、事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができることになっている(法198条1項)
そして、事業主が正当な理由なく、立入検査等を拒んだ場合には、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることになっている。

(C)誤り
法170条2項・4項
日雇特例被保険者を使用する事業主は、使用する日ごとにその者及び自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する必要がある。(法169条第2項)
しかし、事業主が正当な理由がないのに日雇特例被保険者に係る保険料の納付を怠ったときは、納付すべき保険料額(保険料額が1,000円未満であるとき除く。)の100分の25に相当する額の追徴金を、決定日から起算して14日以内に納付しなければならないとされている。
よって、「30日以内に納付しなければならない」とした問題文は誤りである。

(D)正解
法208条1号
事業主が、正当な理由がなく、被保険者の資格の取得及び喪失、報酬月額及び賞与額に関する届出をせず、又は虚偽の届出をしたときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることになっている。

(E)正解
法193条1項、昭和5年7月15日保規第225号
事業主が保険者から保険料過納分の還付(この還付を受ける権利の消滅時効は2年)を受け、これを被保険者に返還すべき場合における還付金と返還請求権の時効については、被保険者に返還すべき金額は、広義においては保険料であるが、法193条の保険料には該当しない。
ちなわち、法193条の保険料とは保険者と保険料納付義務者との間におけるものであって、従ってこの場合の被保険者又は被保険者であった者の返還請求権については、法193条の短期時効の適用はない。
また、その返還金は報酬とも認められないので民法167条(一般債権として10年の消滅時効)の適用を受けるとされている。

  

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