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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成17年健保-第3問(保険料)
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■平成17年健保-第3問(保険料)

保険料に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)任意継続被保険者又は特例退職被保険者が、将来の一定期間の保険料を前納しようとするときは、前納しようとする額を前納に係る期間の初月の前月末日までに払い込まなければならない。

(B)政府管掌健康保険においては、社会保険庁長官が、一般保険料率がおおむね5年間、財政の均衡を保つことができるものとなっているかどうかについて、少なくとも2年ごとに確認し、その結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。(参考問題)

(C)前月から引き続き任意継続被保険者である者が、刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたときは、その翌月以後拘禁が解かれた月の前月までの期間、保険料を徴収しない。(一部改正)

(D)保険料納付義務者が、破産手続き開始の決定を受けたときは、健康保険組合は、納付義務者に納入の告知をしなくても、保険料の繰上徴収を行うことができる。

(E)保険料納付義務者が保険料を滞納するときは、保険者等は健康保険法施行規則に定められた様式の督促状によって督促しなければならないが、納付義務者が公課の滞納によって滞納処分を受けるときは、保険料の督促を口頭で行うことができる。(一部改正)



■解説

(A)正解
法165条、法附則3条6項、則139条
任意継続被保険者の保険料の前納は、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの6月間又は4月から翌年3月までの12月間を単位として行うことを原則とする。
ただし、例外的に当該6月又は12月の間において、任意継続被保険者の資格を取得した者又はその資格を喪失することが明らかである者については、当該6月間又は12月間のうち、その資格を取得した日の属する月の翌月以降の期間又はその資格を喪失する日の属する月の前月までの期間の保険料について前納を行うことができる。(令48条)
例えば、4月に任意継続被保険者になったものが12月前納を希望する場合、4月分の保険料はそのまま納付し、5月分から翌年3月までの11月分については前納することができるということ。
なお、任意継続被保険者が、保険料を前納する場合、前納しようとする額を前納に係る期間の初月の前月末日までに納付する必要がある。(4月から10月までの6月分を前納する場合は3月末までに納付する必要がある)
特例退職被保険者についても任意継続被保険者の資格喪失規定の一部(法38条1項2号、4号及び5号の規定)を除き任意継続被保険者とみなされることになっているので、同様に保険料の前納を選択することができる。

(B)誤りであった
法改正により問題文の規定が削除されたため参考問題とする。
なお、出題当時の規定では、政府管掌健康保険の一般保険料率は、おおむね5年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならないとされており、社会保険庁長官は、少なくとも2年ごとに、一般保険料率が、財政均衡の基準に適合していることを確認し、その結果を公表しなければならないことになっていたが、問題文は、「その結果を厚生労働大臣に報告する」としていたため誤りの肢であった。

(C)誤り
法158条
前月から引き続き被保険者である者が少年院等に収容されたとき、刑事施設や労役場等に拘禁された場合はその月以後(資格取得月の場合はその翌月以降)、収容又は拘禁が解かれた月の前月までの期間、保険料を徴収しないこととされている。(同月内に収容又は拘禁され、解かれた場合は除く)
しかし、この規定は一般被保険者に適用されるもので、任意継続被保険者には適用されないことになっている。
よって、問題文は誤りである。

(D)誤り
法137条、則137条1項
健康保険組合は、保険料その他法の規定による徴収金を徴収しようとするときは、徴収すべき金額を決定し、納付義務者に対し、その徴収金の種類並びに納付すべき金額、期日及び場所を記載した書面(納入告知書)で納入の告知をしなければならない。
ただし、即納させる場合は、口頭で納入の告知をすることが認められている。(則136条)
そして、保険料の繰上徴収を行う場合は、納入告知書にその旨記載しなければならず、納入の告知をした後に保険料の繰上徴収の規定により納期日前に徴収しようとするときは、納期日の変更を納付義務者に書面で告知しなければならないとされている。
よって、「健康保険組合が保険料の繰上徴収をする場合は、納入告知が必要ない」とした問題文は誤りである。

(E)誤り
法180条1項・2項、則153条
保険料等を滞納する者があるときは、保険者等は、期限を指定して、納付義務者に督促しなければならないことになっており、その督促状の様式は「様式第20号」で行うことになっている。
ただし、納付義務者が国税、地方税その他公課を滞納し滞納処分を受ける場合(法172条1号イ)等で、保険料の納期限前に繰上徴収をする場合は 督促する必要はないとされている。
しかしながら、督促する必要がないのは、あくまで保険料の納期限前に繰上徴収する場合であり、保険料の納期限を経過した(滞納)後に、保険料の繰上徴収事由に該当した場合は、督促状によって督促する必要がある。
よって、「保険料の督促を口頭で行うことができる」とした問題文は誤りである。

  

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