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■平成18年健保-第3問(保険給付)

保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)標準報酬月額が28万円以上である被保険者の被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月に医療給付を受けた場合、被保険者及びその被扶養者について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円未満のときは、その給付率は100分の90である。(一部改正)

(B)保険外併用療養費の支給は、原則として、請求に基づく償還払い方式がとられている。(一部改正)

(C)被保険者又は被扶養者が海外の病院等において療養等を受けた場合に支給される海外療養費は、療養を受けた日の外国為替換算率を用いて算定する。

(D)事業主の資格取得届の提出が遅れたため、まだ被保険者証が交付されていない間に治療を受けた場合は、保険給付の対象とはならない。

(E)被扶養者が保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養又は選定療養を受けた場合、被保険者と同様に保険外併用療養費が支給される。(一部改正)



■解説

(A)正解
法110条2項1号、令34条、平成22年12月20日保発第1220003号
70歳に達する日の属する月の翌月以後にある者は健康保険の高齢受給者となり、医療機関で療養の給付等を受けた場合の給付率は、100分の80(軽減特例措置により平成24年3月31日までは100分の90)又は100分の70となる。
医療機関で療養の給付等を受けた場合の給付率が100分の70となるのは、療養の給付等を受ける月の標準報酬月額が28万円以上である被保険者(高齢受給者)とその被扶養者(高齢受給者)となる。(よって、標準報酬月額が28万円以上である70歳未満の被保険者に扶養されている高齢受給者の負担割合は100分の80(ただし平成24年3月31日までは、100分の90)となる。)
ただし、70歳以上の被保険者及びその70歳以上の被扶養者について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円(70歳以上の被扶養者がいない場合は383万円。後期高齢者医療の被保険者等に該当したことにより被扶養者でなくなった者であって、その該当するに至った日の属する月以後5年を経過する月までの間に限り、同日以後継続して後期高齢者医療の被保険者等に該当する被扶養者がいる場合は520万円)に満たない者については、標準報酬月額が28万円以上であっても、一部負担金は100分の80(ただし平成24年3月31日までは、100分の90)となる。
問題文の場合は、被保険者の年齢についての記述がないが、被保険者の年齢が70歳未満であると仮定した場合は被扶養者の給付率は100分の80(ただし平成24年3月31日までは、100分の90)となり、また、被保険者が高齢受給者であると仮定した場合であっても、被保険者及びその被扶養者について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円未満(「申請によって」の記述がないが)であるので給付率は100分の80(ただし平成24年3月31日までは、100分の90)となる。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法86条4項・5項
被保険者が自己の選定する保険医療機関等から評価療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について保険外併用療養費が支給されるが、その支給額は次の額を合算した額が、保険者から保険医療機関等に直接支払われる現物給付方式となっている。
1.療養(食事療養及び生活療養を除く)について、当該療養に係る費用の額から、その額に一部負担金の割合を乗じて得た額(一部負担金の減免措置がある場合はその額)を控除した額
2.食事療養について、厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(実費がその費用の額を下回るときは実費)から食事療養標準負担額を控除した額
3. 生活療養について、厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(実費がその費用の額を下回るときは実費)から生活療養標準負担額を控除した額
よって、「請求に基づく償還払い方式がとられている」とした問題文は誤りである。

(C)誤り
法87条、昭和56年2月25日保険発第10号・庁保険発第2号
被保険者等が海外にあるときに発生した保険事故に係る療養費等に関する申請手続等は次のとおり行うことになっている。
1.療養費支給申請書等に添付する証拠書類が外国語で記載されている場合は、日本語の翻訳文を添付すること。
2.療養費支給申請書等の証拠書類に添付する翻訳文には翻訳者の氏名及び住所を記載すること。
3.海外における療養費の支給申請書に添付させる証拠書類の様式は、「診療内容明細書」及「領収明細書」を参考にすること。
4.現に海外にある被保険者からの療養費等の支給申請は、原則として、事業主等を経由して行い、その受領は事業主等が代理して行うものとし、国外への送金は行われない。なお、療養費等の受領が事業主又は事業主の代理人に委任された場合は、当該療養費等の授受の状況を明らかにしておく必要がある。
5.現に海外にある被保険者の療養費等の支給に係る照会は、事業主等を経由して行うこと。
6.海外における療養費等の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、その支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いること。
よって、「療養を受けた日の外国為替換算率を用いて算定」とした問題文は誤りである。

(D)誤り
法87条、昭和3年4月30日保理発第1089号
被保険者が保険医について診察を受けた当時、事業主が資格取得届を懈怠していたため、当該被保険者は保険医に対し被保険者たる身分を証明し得ない状態にあったことは、法87条(療養費)の療養の給付等を行うことが困難であると認めるときに該当するとされている。
よって、問題文の場合は療養費の対象となり、「保険給付の対象とはならない」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法110条1項
被扶養者が療養を受けた場合には、被保険者に対する療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費に相当するものが、家族療養費として被保険者に支給されることになる。
よって、「被保険者と同様に保険外併用療養費が支給される」とした問題文は誤りである。

  

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