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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成20年健保-第7問(法令全般関係)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)健康保険の被保険者が75歳に達したときは、健康保険の被保険者資格を有したまま後期高齢者医療の被保険者となる。

(B)結核患者である健康保険の被保険者が公費負担による通院医療を受ける場合、原則として、その費用の70%を健康保険が、30%を都道府県が負担することとされており、当該被保険者の負担はない。

(C)健康保険組合が厚生労働大臣に提出すべき書類は、当該健康保険組合の主たる事務所の所在地を管轄する年金事務所を経由するものとされている。(一部改正)

(D)第三者の行為によって給付事由が生じた被保険者の傷病について保険者が損害賠償の請求権を代位取得した際、自動車損害賠償保障法による自動車損害賠償責任保険において被保険者の重過失が認められ、保険金の額が減額された場合には、保険者は過失により減額された割合で減額した額で加害者側に求償して差し支えない。

(E)健康保険組合の設立を命じられた事業主が、正当な理由がなく、厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったときは、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。



■解説

(A)誤り
法3条1項、法36条、高齢者医療確保法50条
後期高齢者医療の被保険者等(後期高齢者医療の被保険者及び生活保護法の適用を受けるなどして後期高齢者医療の被保険者の適用を除外されている者)は、健康保険の適用を除外されており、健康保険の被保険者又は被扶養者が後期高齢者医療の被保険者等となった場合は、その日から被保険者又は被扶養者でなくなる。
よって、問題文は正解となる。
なお、後期高齢者医療の被保険者とは、(1)後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75五歳以上の者、(2)後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75五歳未満の者であって、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたものとされている。

(B)誤り
法55条3項、感染症予防法37条の2、平成7年6月16日健医発786号・庁保発24号
結核患者である健康保険の被保険者が公費負担による通院医療を受ける場合は、その医療に要した費用の100分の95に相当する額を公費負担とすることができるが、健康保険により給付される部分については、公費で負担することを要しないものとされているため、実際の公費負担は、100分の95と健康保険の給付との差額となる。
したがって、最終的な患者負担額は、当該医療に要した費用の100分の5に相当する額になる。
たとえば、70歳未満の被保険者の場合、健康保険の給付が100分の70、公費負担が100分の25、患者負担が100分の5となる。
よって、「その費用の70%を健康保険が、30%を都道府県が負担することとされており、当該被保険者の負担はない」とした問題文は誤りとなる。

(C)誤り
則18条
健康保険組合が厚生労働大臣に提出すべき書類は、管轄地方厚生局長等を経由するものとされている。
よって、「年金事務所を経由」とした問題文は誤りとなる。

(D)正解
法57条、昭和49年1月28日庁保険発1号・保険発10号
健康保険法57条第1項の規定により代位取得した権利の行使については、従来裁判所の判決において被保険者の過失が認められ過失相殺が行われた場合を除き原則として全額求償する取扱いとされている。
しかしながら、求償事務の現状にかんがみ従来の裁判所における判決以外に自動車損害賠償保障法による自動車損害賠償責任保険または自動車損害賠償責任共済において被保険者の重過失が認められ、保険金額または共済金額の減額(過失の程度により20%、30%、または50%が減額される。)が行われた場合には、裁判所の判決の場合に準じて過失により減額された割合で減額した額でもって求償して差し支えない取扱いとされている。よって、問題文は正解となる。

(E)誤り
法218条
健康保険組合の設立を命ぜられた事業主が、正当な理由がなくて厚生労働大臣が指定する期日までに設立の認可を申請しなかったときは、その手続の遅延した期間、その負担すべき保険料額の2倍に相当する金額以下の過料に処せられる。
よって、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる」とした問題文は誤りとなる。

  

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