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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成21年健保-第8問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成21年健保-第8問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(A)厚生労働大臣は、保険医療機関、保険薬局又は指定訪問看護事業者の指定に関し必要があると認めるときは、当該指定に係る開設者若しくは管理者又は申請者の社会保険料の納付状況につき、当該社会保険料を徴収する者に対し、必要な書類の閲覧又は資料の提供を求めることができる。

(B)被保険者の資格の取得及び喪失は、健康保険組合の被保険者については当該健康保険組合が、全国健康保険協会の被保険者については全国健康保険協会が、それぞれ確認することによってその効力を生ずるが、任意継続被保険者及び特例退職被保険者の被保険者資格の得喪については保険者等の確認は行われない。

(C)保険外併用療養費の支給対象となる先進医療の実施に当たっては、先進医療ごとに、保険医療機関が、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していることを地方厚生局長又は地方厚生支局長に届け出なければならない。

(D)被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者が、療養のため労務に服していなかったが、在職中は報酬を受けていたため傷病手当金の支給を停止されていた場合、退職して報酬の支払いがなくなったときは、傷病手当金の支給を受けることができる。

(E)被保険者の資格喪失後に出産手当金の支給を受けていた者が船員保険の被保険者になったときは、出産手当金の支給は行われなくなる。



■解説

(A)正解
法199条2項
厚生労働大臣は、保険医療機関、保険薬局又は指定訪問看護事業者の指定に関し必要があると認めるときは、当該指定に係る開設者若しくは管理者又は申請者の社会保険料の納付状況につき、当該社会保険料を徴収する者に対し、必要な書類の閲覧又は資料の提供を求めることができることになっている。
よって、問題文は正解となる。

(B)誤り
法39条1項
被保険者の資格の取得及び喪失は、被保険者が全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては厚生労働大臣、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合にあっては当該健康保険組合の確認によって、その効力を生ずることとされている。
よって、「全国健康保険協会の被保険者については全国健康保険協会」とした問題文は誤りとなる。
なお、被保険者の資格の取得及び喪失は、一定の事業所に使用されまたは使用されなくなった等の事実に該当することにより当然生じるものであるが、この当然成立する関係について、保険者等が確認しなければ、その効力が発生しないとしたのは、次の理由による。
すなわち保険給付の請求、保険料の徴収等に関し争いが生じた場合、その争いの原因が、長期間を経過した資格関係についての事業主の届出と事実との相違に起因するものであるときには、それについて争っても、過去の事実についての争いであるために、いずれが正しいかその判断に苦しむことが多く、その裁定に正確を期し難い。
したがって、適正な裁定を行い、被保険者の権利保護と保険給付の正確を期するためには、被保険者の資格の得喪に関して、確認を行い、これにより法的な確定力を付与し、したがって、争いが生じたときには、この確認を受けた事実を基礎として審査を行うことにより適正な裁定を行い、被保険者の権利保護と保険給付の正確を期するためである。
しかし、任意継続被保険者(特例退職被保険者)の資格の得喪については、事業主との関係がないので、事業主との関係において争いが生ずるのを防止しようとする確認の制度を適用する必要がないため確認を行わず、得喪の関係が生ずれば、そのままで効力を生ずることになる。
ちなみに、被保険者の任意適用の取消しによる資格喪失についても厚生労働大臣の認可を要するものであることからあらためて確認を行う必要はないとされている。

(C)正解
法86条、平成18年3月13日保医発0313003号、平成18年9月29日保医発0929002号
保険外併用療養費の支給対象となる先進医療の実施に当たっては、先進医療ごとに、保険医療機関が別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合していることを地方厚生(支)局長に届け出るものとされている。
よって、問題文は正解となる。

(D)正解
法104条、昭和27年6月12日保文発3367号
法第108条(傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整)において「報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、傷病手当金又は出産手当金を支給しない」と規定されているが、これは被保険者の給付受給権の消滅を意味するものではなく、その停止を意味するにすぎないから、その者が資格を喪失し事業主より報酬を受けなくなれば、法第104条(傷病手当金又は出産手当金の継続給付)によりその日より傷病手当金は支給されることになる。
よって、問題文は正解となる。

(参考)
(1)資格喪失の日前療養のため労務不能の状態が3日間連続しているのみでは、いまだ現に傷病手当金の支給を受けているわけではなく、また、支給をうけ得る状態にもないので継続給付としての傷病手当金の支給はうけられない。(昭和2年9月9日保理第3289号)(昭和32年1月31日保発第2号)
(2)資格喪失後継続して傷病手当金を受給している場合に、保険診療を受けていても一旦稼動して傷病手当金が不支給となった場合には、完全治癒であると否とを問わず、その後更に労務不能となっても傷病手当金の支給は復活されない。(昭和26年5月1日保文発第1346号)

(E)正解
法107条
傷病手当金又は出産手当金の継続給付、資格喪失後の死亡に関する給付、資格喪失後の出産育児一時金の給付は、被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは行われないことになっている。これは、船員保険の被保険者となれば、船員保険により同様の給付を受けることができるので、健康保険における保険給付を停止することとした調整規定である。
よって、問題文は正解となる。

  

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