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トップページ過去問研究室(健康保険法) 平成22年健保-第10問(法令全般関係)
■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成22年健保-第10問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)任意継続被保険者は、@任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき、A死亡したとき、B保険料を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)、C被保険者となったとき、D船員保険の被保険者となったとき、E後期高齢者医療の被保険者等となったときのいずれかに該当するに至ったときは、その日からその資格を喪失する。

(B)健康保険組合は、共同してその目的を達成するため、健康保険組合連合会(以下本問において「連合会」という。)を設立することができる。連合会を設立しようとするときは、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。連合会は、設立の認可を受けた時に成立する。

(C)被保険者(任意継続被保険者を除く。)は、@適用事業所に使用されるに至った日、Aその使用される事業所が適用事業所となった日、B適用除外に該当しなくなった日のいずれかに該当した日から、被保険者の資格を取得するが、@の場合、試みに使用される者については適用されない。

(D)育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月の翌月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料は徴収されない。

(E)被保険者資格の得喪は、事業主との使用関係の有無により決められるが、この使用関係の有無を判断する場合には、画一的かつ客観的な処理の要請から、形式的な雇用契約の有無によって判断される。なお、このように使用関係の有無を被保険者資格得喪の要件とするが、その資格得喪の効力発生を保険者の確認を要すこととしており、保険者の確認があるまでは、資格の得喪の要件が備わってもその効力は発生しない。



■解説

(A)誤り
法38条
任意継続被保険者は、次のいずれかに該当するに至った日の翌日(4から6までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失することになっている。
(1)任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき
(2)死亡したとき
(3)保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く)
(4)被保険者となったとき
(5)船員保険の被保険者となったとき
(6)後期高齢者医療の被保険者等となったとき
よって、すべての資格喪失事由について「その日からその資格を喪失する」とした問題文は誤りとなる。

(B)正解
法184条、法185条
健康保険組合は、共同してその目的を達成するため、健康保険組合連合会を設立することができる。連合会を設立しようとするときは、規約を作り、厚生労働大臣の認可を受けなければならず、連合会は、設立の認可を受けた時に成立することとされている。
よって、問題文は正解となる。
なお、健康保険組合連合会は、健康保険組合を会員とする公法人であって、会員たる組合の共同の目的を達成することを在立の目的としている。健康保険組合連合会は、本来、任意加入の団体であるが、組合員である被保険者の共同の福祉を増進するため必要があると認める場合には、厚生労働大臣は、健康保険組合に対し加入命令を発することができることになっている。

(C)誤り
法35条、昭和26年11月28日保発第5177号
被保険者(任意継続被保険者を除く。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は適用除外に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得することになっている。
試みに使用される者についても、雇い入れの当初より被保険者とすることとされており、「@の場合、試みに使用される者については適用されない」とした問題文は誤りの肢となる。

(参考)
試用期間中の場合

事業所の規定により一定期間は臨時又は試みに使用すると称し又は雇用者の出入が頻繁で永続するか否か不明であるからと称して資格取得届を遅延させるものは臨時使用人と認めず、雇い入れの当初より被保険者とする。(昭和26年11月28日保発第5177号)

(D)誤り
法159条
育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料を徴収しないこととされている。
よって、保険料免除期間の開始月を「その育児休業等を開始した日の属する月の翌月から」とした問題文は誤りとなる。

(E)誤り
法35条、法36条、法39条、昭和2年2月25日保理第983号、昭和3年7月3日保発第480号
被保険者資格の得喪は、事業主との使用関係の有無により決められるが、この使用関係の有無を判断する場合には、事実上の使用関係があるか否かで判断され、事業主との間の法律上の雇用関係の在否は、使用関係を認定する参考に過ぎないとされている。
よって、「画一的かつ客観的な処理の要請から、形式的な雇用契約の有無によって判断される」とした問題文は誤りとなる。
なお、被保険者の資格の取得および喪失は、保険者等の確認によってその効力を生ずるものであるとされているが、これは、資格得喪の関係が確認により形成されるという意味ではなく、確認は、その関係の在否を公の権威をもって確定する、すなわちその関係に公の確定力を付与することであるとされている。
したがって、資格の取得または喪失という法律関係は法35条または法36条に該当する事実が発生したときに当然生ずるが、その法律関係は、いわば潜在的な法律関係であり、それが具体的に保険給付の支給、保険料の徴収、支払というような法律効果を発生するためには、確認という行為により、その法律関係が公に確認されなければならないのである。

(参考通達)
1.使用されるに至った日
「其の業務に使用せらるるに至りたる日」とは、事実上の使用関係の発生した日。(昭和3年7月3日保発第480号)
2.発令日と着任日が異なる場合
「業務に使用せらるるに至った日」は、勤務すべき辞令を発せられたる日、赴任又は着任した日と一致する必要はない。→事実上の使用関係が発生した日が資格取得日になる。(昭和2年2月25日保理第983号)
3.資格取得届洩が発見された場合
事業場調査をした場合に、資格取得届洩が発見された場合は、すべて事実の日に遡って資格取得させる。(昭和5年11月6日保規第522号)
4.使用されなくなった日
「其の業務に使用せられざるに至った日」とは、事実上も使用関係が存在しなくなった日。(昭和3年7月3日保発第480号)
5.在籍しているが事実上は使用関係が消滅している場合
雇用契約は存続していても、事実上の使用関係がないものについては、被保険者資格を喪失させること。(昭和25年4月14日保発第20号)
6.休職の場合の取扱い
被保険者が休職となり、休職中給料が全然支給されない場合で、名義は休職であっても実質は使用関係の消滅とみられる場合においては資格喪失させる。(昭和6年2月4日保発第59号)

  

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