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トップページ > 過去問研究室(健康保険法)> 平成23年健保-第2問(健康保険の保険給付) | |||||
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健康保険の保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (A)被保険者が故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行われないため、自殺により死亡した場合の埋葬料は支給されない。 (B)健康保険法は、業務外の事由による疾病等に関して保険給付を行うこととされているが、当面の暫定的な措置として、被保険者が5人未満である小規模な適用事業所に所属する法人の代表者(労働者災害補償保険法の特別加入となっている者及び労働基準法の労働者の地位を併せ保有すると認められる者を除く。)であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、業務上の事由による疾病等であっても、健康保険による保険給付の対象となる。ただし、傷病手当金は支給されない。(参考問題) (C)継続して1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者及び共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、被保険者の資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けている者は、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から傷病手当金を受けることができる。ただし、資格喪失後に任意継続被保険者になった場合は、その傷病手当金を受けることはできない。 (D)被保険者資格を喪失後に傷病手当金の継続給付を受給している者が、老齢又は退職を支給事由とする年金である給付であって政令で定めるもの(以下「老齢退職年金給付」という。)の支給を受けることができるとき、老齢退職年金給付は支給されない。 (E)被保険者資格(任意継続被保険者及び特例退職被保険者を除く。)を取得する前にかかった疾病又は負傷の資格取得後の療養について、療養の給付を受けることはできるが、傷病手当金は支給されない。
(A)誤り 法116条、昭和26年3月19日保文発721号 被保険者又は被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行わないこととされている。(絶対的給付制限) しかしながら、自殺は故意に基づく事故だが、死亡は最終的1回限りの絶対的な事故であるとともに、この死亡に対する保険給付としての埋葬料は、被保険者であった者に生計を依存していた者で埋葬を行う者に対して支給されるという性質のものであるから、給付制限には該当しないものとして取り扱うこととされている。 よって、「自殺により死亡した場合の埋葬料は支給されない。」とした問題文は誤りとなる。 (B)正解だった 健康保険法は、業務外の事由による疾病等に関して保険給付を行うこととされていたため、業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病は、健康保険の給付対象とならなかった。一方、法人の代表者又は業務執行者(以下「代表者等」という。)は、原則として労働基準法上の労働者に該当しないため、労働者災害補償保険法に基づく保険給付も行われない。 しかしながら、極めて小規模な事業所の法人の代表者等については、その事業の実態等を踏まえ、当面の措置として、次のとおり取り扱うこととされていたが、法律改正により「平成15年7月1日保発701002号」通達が廃止されたため参考問題とする。 (1)健康保険の給付対象とする代表者等について 被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険による保険給付の対象とすること。 (2)労災保険との関係について 法人の代表者等のうち、労働者災害補償保険法の特別加入をしている者及び労働基準法上の労働者の地位を併せ保有すると認められる者であって、これによりその者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関し労災保険による保険給付が行われてしかるべき者に対しては給付を行わないこと。 このため、労働者災害補償保険法の特別加入をしている者及び法人の登記簿に代表者である旨の記載がない者の業務に起因して生じた傷病に関しては、労災保険による保険給付の請求をするよう指導すること。 (3)傷病手当金について 業務遂行上の過程において業務に起因して生じた傷病については、小規模な法人の代表者等は、一般的には事業経営につき責任を負い、自らの報酬を決定すべき立場にあり、業務上の傷病について報酬の減額等を受けるべき立場にない。こうしたことも踏まえ、法第108条第1項(傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整)の趣旨にかんがみ、法人の代表者等が、業務遂行上の過程において業務に起因して生じた傷病については、傷病手当金を支給しないこと。 ※健康保険法の改正により、平成25年10月1日より被保険者又は被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行うこととされた。しかしながら、被保険者又はその被扶養者が法人の役員であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は行われないこととされた。 この法改正により、平成15年7月1日保発701002号は廃止された。通達では、小規模な法人の代表者等の業務に起因する保険事故の場合、傷病手当金は支給されないこととされていたが、この法改正により傷病手当金も支給されることになった。 (C)誤り 法104条 被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者であって、その資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができることとされている。 この資格喪失後の傷病手当金の継続給付の要件を満たしている者が、任意継続被保険者となった場合であっても傷病手当金の継続給付を受けることができる。 よって、「資格喪失後に任意継続被保険者になった場合は、その傷病手当金を受けることはできない。」とした問題文は誤りとなる。 しかしながら、資格喪失後の傷病手当金の継続給付の要件を満たしている者であっても特例退職被保険者となった場合は傷病手当金の継続給付を受けることはできない。(法附則3条5項) (D)誤り 法108条4項 資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受けるべき者が、老齢退職年金給付の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しないこととされているが、その受けることができる老齢退職年金給付の額(当該老齢退職年金給付が2以上あるときは、当該2以上の老齢退職年金給付の額の合算額)を360で除して得た額(その額に1円未満の端数がある場合には、当該額を切り捨てた額)額が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給することとされている。 よって、「老齢退職年金給付は支給されない。」とした問題文は誤りとなる。 (E)誤り 法99条、昭和26年5月1日保文発1346号 被保険者資格取得前にかかった疾病又は負傷の資格取得後の療養についても傷病手当金、療養の給付は支給されることとされている。 よって、「傷病手当金は支給されない。」とした問題文は誤りとなる。 |
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