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■社会保険労務士試験過去問研究室




■平成24年健保-第3問(法令全般関係)

健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(A)傷病手当金の受給中に出産手当金が支払われるときは、傷病手当金の支給が優先され、その期間中は出産手当金の支給は停止される。

(B)被保険者が傷病手当金の支給を受けたが、その支給期間が終わっても治癒せず、その療養のために労務に服しなかったため収入がなかった場合は、当該被保険者負担分の保険料は免除され事業主負担分のみ納付する義務を負う。

(C)訪問看護は、医師、歯科医師又は看護師のほか、保健師、助産師、准看護師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士が行う。

(D)7月1日に被保険者資格を取得した者については、標準報酬月額の定時決定を行わず、資格取得時に決定された標準報酬月額を、原則として翌年の6月30日までの1年間用いることになっている。

(E)被保険者が3月15日から4月10日まで同一の医療機関で入院療養を受けた場合は、高額療養費は3月15日から3月31日までの療養に係るものと、4月1日から4月10日までの療養に係るものに区分される。



■解説

(A)誤り
法103条1項
出産手当金と傷病手当金とは、その性格はともに生活保障であるから、両者が競合するときはいずれか一つを支給すれば、その目的が達せられるのであり、健康保険法では、出産手当金の支給事由が発生していれば傷病手当金の支給を停止されることになっている。(競合した場合は出産手当金が優先)
よって、「傷病手当金の支給が優先され、その期間中は出産手当金の支給は停止される。」とした問題文は誤りとなる。
なお、出産手当金を支給すべき場合において傷病手当金が支払われたときは、事務の簡素化を図るため、その支払われた傷病手当金は、出産手当金の内払いとみなす調整規定が設けられている。

(B)誤り
法161条、昭和2年9月2日保理第3240号
被保険者が法定期間傷病手当金を受けたが疾病が治癒せず、これが療養のため労務に服しないために収入の途がない場合であっても、被保険者である間は保険料を負担すべき義務は負わなければならない。
よって、問題文のような規定は存在せず、誤りの肢となる。

(参考)
保険料の負担に関する解釈

(1)保険料徴収の特例に該当するに至った場合等を除いては、被保険者の資格を有する限り、保険料は負担しなければならない。(昭和2年8月18日保理第2664号)

(2)休職で休んでいても使用関係が存続していれば、被保険者としての資格を喪失したのではないから、保険料の負担義務を負わなければならない。(昭和29年7月1日保文発第7494号)(昭和30年6月20日保文発第5510号)

(C)誤り
法88条1項、則68条
指定訪問看護の内容は、かかりつけの医師(主治医)の指示に基づいて、訪問看護ステーションの看護師その他、保健師・助産師・准看護師・理学療法士・作業療養法士・言語聴覚士が居宅を訪問し、病状の観察、清拭、じょく瘡の処置、カテーテル等の管理、リハビリテーションあるいは家族への療養上の指導等のサービスの提供を行うものである。
よって、訪問看護を行う者に「医師、歯科医師」は含まれておらず問題文は誤りの肢となる。

(D)誤り
法41条3項、法42条2項
標準報酬月額は、毎年7月1日現在において決定し、決定された標準報酬月額は、その年の9月1日から翌年の8月まで1年間は原則として固定することとされている。
しかし、6月1日から7月1日までの間に被保険者資格を取得した者については、7月1日現在において定時決定を行うとしても、それはすなわち資格取得時の決定と同一となるので、定時決定は行わず、資格取得時に決定された標準報酬月額をもって原則として翌年8月までの標準報酬月額とすることとされている。
よって、「翌年の6月30日までの1年間」とした問題文は誤りとなる。

(E)正解
法115条、令41条1項
被保険者またはその被扶養者が同一の月にそれぞれ一つの病院、診療所、薬局、指定訪問看護事業者その他の者ごとに支払った医療保険上の自己負担額が負担限度額を超える場合、またはこれらの自己負担額のうち合算対象基準額(70歳未満の者については21,000円以上、70歳以上の者についてはすべての自己負担額が合算の対象となる。)以上のものを合算した額が負担限度額を超える場合に高額療養費が支給される。
よって、高額療養費の支給は月ごとに支給要件を判断することになり、問題文の事例の場合「3月15日から3月31日までの療養」、「4月1日から4月10日までの療養」に区分して判断されることになる。

  

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